韓国でヒアルロン酸の相談をしようと思って調べはじめると、たいてい途中で手が止まります。製剤の名前がいくつも出てきて、どれとどれが同じ土俵の話なのかが分からなくなるからです。
しかも、日本で聞いたことのある名前と、韓国の料金表に並んでいる名前が一致しないことがあります。名前が違うだけで中身は近いものもあれば、名前が似ていても用途が違うものもあります。ここを名前だけで比べようとすると、いつまでも決まりません。
この記事では、製剤の名前を覚えるのではなく、比べるための軸を六つ持つという考え方で整理します。軸さえ決まっていれば、はじめて見る名前が出てきても、その場で位置づけられるようになります。施術そのものの全体像は韓国のヒアルロン酸の基本にまとめていますので、あわせてご覧ください。

「種類」という言葉が、三つの層をまとめて指しています
まず、ここを分けさせてください。ヒアルロン酸の「種類」と言うとき、実際には三つの違う層の話が混ざっています。
ひとつめは、製品としての種類です。 メーカーがつけている名前です。料金表に並んでいるのはたいていこれで、いちばん目につきます。ただ、名前そのものからは中身が読み取れません。
ふたつめは、性質としての種類です。 かたさ、粒子の大きさ、なじみ方といった、製品の性格です。同じメーカーでも、性質の違う製品を何種類も出しているのが普通です。比較の実体は、ほとんどここにあります。
みっつめは、使い方としての種類です。 どの部位に、どの層に、どれくらいの量を入れるか。同じ製品でも、使い方が違えば結果は別のものになります。
「どの製品がよいですか」という質問に一つの答えが返ってこないのは、この三つが分かれていないためです。順番としては、三つめ(何をしたいか)から決めて、二つめ(どんな性質が必要か)に落とし、最後に一つめ(どの製品か)を選ぶ流れになります。
比較の軸① かたさと、粒子の大きさ
ヒアルロン酸の製剤は、一般に、かたく形を保ちやすいものから、やわらかく広がりやすいものまで幅があります。これは製造の過程で決まる性質で、製品ごとに設計が違うと説明されます。
かたい性質のものは、高さを出したり輪郭を作ったりする使い方に向くとされます。反対にやわらかい性質のものは、皮膚の浅いところや、動きの多い部分になじませる使い方に向くとされます。
ここで気をつけたいのは、かたい=よい、ではないという点です。目的が違えば、必要な性質も変わります。やわらかい部分にかたい製剤を入れれば違和感が出ますし、支えが必要な部分にやわらかい製剤を入れても意図した形にはなりません。
カウンセリングでは、製品名を聞く前に「この部位には、かためとやわらかめのどちらを使う想定ですか」と聞いてみてください。この質問に理由つきで答えが返ってくるかどうかで、説明の丁寧さがだいたい分かります。
比較の軸② どの層に、どの部位に入れるか
同じ「ヒアルロン酸」でも、皮膚の浅いところに入れる場合と、深いところに入れる場合では、目的も選ぶ製剤も変わります。
部位についても同じです。動きの少ない部分と、表情でよく動く部分では、求められる性質が違います。よく動く部分にかたい製剤を入れると、動いたときに不自然になりやすいと説明されます。
そのため、比較するときは「製品名を並べる」のではなく、「部位ごとに、何を使う想定か」を並べるほうが実際的です。
- 額やこめかみのように、面で高さを出したい部分
- 鼻や顎のように、線や形を作りたい部分
- 涙袋や口元のように、動きがあってやわらかさが必要な部分
この三つに分けるだけでも、話がかなり整理されます。二か所以上を相談する場合は、部位ごとに別の製剤を提案されることも珍しくありません。
比較の軸③ 持続の長さは、何で決まるのか
「どれくらいもちますか」は、いちばんよく出る質問です。ただ、これに一つの数字で答えるのはむずかしいところです。持続の長さは、製剤だけで決まるものではないからです。
| 持続を左右する要素 | 内容 |
|---|---|
| 製剤の性質 | かたさや設計によって、なじみ方と残り方が変わります |
| 入れた部位 | 動きの多い部分ほど、変化が早く出やすいとされます |
| 入れた層 | 浅い層と深い層では、経過の見え方が変わります |
| 入れた量 | 量が少なければ、変化を感じるまでの期間も短くなります |
| 体質と生活 | 個人差があり、一律の数字にはなりません |
料金表や案内に持続の目安が書かれていることはありますが、それは条件がそろった場合の目安です。ご自身の場合にあてはまるかどうかは、カウンセリングで部位と量を決めたうえで確認してください。
比較のときは、「持続◯か月」という数字を横に並べるのではなく、「この部位にこの量を入れた場合、次はいつごろ相談に来るのが目安ですか」と聞くほうが、実際の計画が立てられます。
比較の軸④ 麻酔の成分が入っているかどうか
製剤のなかには、注入時の痛みを和らげる目的で、麻酔の成分をあらかじめ含んでいるものがあります。同じ製品名でも、麻酔成分を含む型と含まない型が別に用意されていることがあります。

痛みの感じ方には個人差がありますので、麻酔が効きにくいと感じたことがある方は、その旨を先に伝えておいてください。当日、痛みが強くなってから伝えるより、はじめに言っておくほうが対応の幅が広くなります。
実際に、伝えるタイミングで後悔したという記録もあります。
「麻酔が効きにくい事を最初に伝えていましたが、糸リフトの施術中とても痛くて我慢できずにいると麻酔を足してもらえて声かけもしてくれましたが、最初にもっと言っておくべきだったかもしれません(^_^;)」
麻酔の扱いは、製剤の選択とセットで考える部分です。比較表を作るときは、この列も入れておくことをおすすめします。
比較の軸⑤ 韓国で承認されている製剤かどうかは、自分で確認できます
これは、韓国で受けるときに使える確認方法です。韓国では、食品医薬品安全処が承認した品目の一覧を公開しています。成分名や製品名で検索すると、製品名・企業名・承認番号・承認日が表示されます。
この記事の冒頭に載せた画像が、その検索結果です。ヒアルロン酸ナトリウムを意味する韓国語で検索したもので、承認されている品目が並んでいます。
使い方としては、カウンセリングで提案された製剤の名前を控えておき、あとで検索してみる、という順番になります。その場で調べる必要はありません。 名前を控えておくこと自体が、次の相談や、日本に戻ってからの相談で役に立ちます。
注入する系統の施術については注射系の施術の選び方にも整理していますので、はじめての方はそちらもご覧ください。
比較の軸⑥ 量の数え方と、金額が動く単位
ヒアルロン酸は、量の単位で数えるのが一般的です。ここが、他の施術と価格の見え方が違うところです。
比較で問題になるのは、同じ「1回」でも、量の前提が違うという点です。片側だけの想定なのか両側なのか、一本単位なのか、部位をまとめた設定なのか。ここがそろっていない状態で金額だけを並べても、比較にはなりません。
見積もりを受け取ったら、次の四点を確認してください。
- 使う製剤の名前
- 使う量と、その数え方(本数か、量の単位か)
- その量で、どの部位まで対応する想定か
- 表示されている金額に、付加価値税が含まれているかどうか
韓国では、美容を目的とした施術は課税の対象として扱われます。表示が税込みか税別かで最後の金額が変わりますので、ここは必ず確認してください。金額の確認のしかたはクリニックでの値段の確認方法にまとめています。
韓国のカウンセリングでは、種類が入れ替わることがあります
これは、渡韓して受ける方が戸惑いやすいところです。韓国では、カウンセラーの方が相談に入り、当初考えていたものとは違う施術や製剤を提案されることがあります。
| 起きること | 考えられる理由 | その場でできること |
|---|---|---|
| 別の製剤をすすめられる | 部位や状態に対して、別の性質が合うと判断された | 「なぜそちらのほうが合うのですか」と理由を聞きます |
| 量を増やす提案が出る | 希望する形に対して、量が足りないと判断された | 予定の量で受けた場合の見え方を聞きます |
| 別の施術を追加で提案される | 悩みの原因が、注入では届かない部分にあると判断された | 今日はここまで、と範囲を決めて伝えます |
提案そのものは、必ずしも悪いものではありません。実際、当初の希望とは違う施術のほうが合っていた、という記録もあります。
「プランについては、カウンセリングの時に自分に合ったプランを勧められます。元々したかった施術以外の施術が適していると勧められました。」
一方で、押しの強さを負担に感じたという記録もあります。
「とても綺麗で親切。 キャンペーン価格のもので予約したがおすすめされたものをそのままやったので予算はオーバーした。効果はまだ不明。」
この差を分けるのは、理由の説明があるかどうかです。理由が説明され、断っても話が進む場合は、提案として受け取って差し支えありません。理由が示されないまま金額の高いほうへ誘導される場合は、いったん保留にしてよいと思います。
「また、押し売りではなく、本当に必要な施術を予算の範囲でお勧めしてくれました。」
予算の範囲を先に伝えておくと、提案の幅がその中に収まりやすくなります。カウンセリングの流れはカウンセリングの進み方に整理しています。
一度に決めきらず、段階に分ける考え方もあります
種類を比べていると、「いちばん合うものを一回で選びきらなければならない」という気持ちになりがちです。ただ、実際には段階に分ける進め方もあります。
初回は控えめな量にしておいて、経過を見てから次を考える、という組み立てです。入れた量が少なければ、思っていた見え方と違ったときの調整もしやすくなります。反対に、はじめから多めに入れてしまうと、変えたくなったときの手間が増えます。
渡韓して受ける場合は、ここに日程の制約が加わります。滞在中に一度で終わらせたいという事情はよく分かりますが、腫れや内出血が落ち着くまでには時間がかかりますので、当日の見え方だけで追加を決めるのはおすすめしません。追加したい場合は、次の渡韓のときに、と考えておくほうが落ち着いた判断ができます。
「今回はここまで、次はこの部位を相談する」という区切りを自分のなかに持っておくと、カウンセリングの場でも判断がぶれにくくなります。比較の表を作る目的も、突きつめればここにあります。
六つの軸を、一枚の表にそろえます
ここまでの軸を、そのまま持っていける形にしておきます。二か所以上で相談される場合は、同じ表を使うと比較になります。
| 確認する項目 | 相談先A | 相談先B |
|---|---|---|
| 提案された製剤の名前 | ||
| かためかやわらかめか、その理由 | ||
| 入れる部位と層 | ||
| 量と、その数え方 | ||
| 麻酔成分の有無 | ||
| 次に相談する目安の時期 | ||
| 表示金額が税込みかどうか | ||
| 修正や相談が必要になったときの窓口 |
埋まらない欄が出たら、それがそのまま質問すべきことになります。全部埋める必要はありませんが、空欄がどこかを把握したうえで決めることが大事だと考えています。
溶かせるかどうかも、種類選びの一部です
ヒアルロン酸を使った施術の特徴として、あとから溶かす処置ができる場合がある、という点が挙げられます。ここは他の注入系と違うところで、判断の負担を軽くしてくれる部分でもあります。
ただし、これも前提の確認が必要です。溶かす処置に対応しているか、その場合の費用がどうなるか、そして渡韓して受けた場合はどこで対応してもらうのか。とくに三つめは、帰国後に気になったときに効いてきます。
比較の段階で「もし気になったときは、どうすればよいですか」と一言聞いておくと、答え方に体制が出ます。この質問は、種類を比べるための質問というより、相談先を比べるための質問です。
日本語では、どこまで確認できるのか
製剤の種類の話は、施術のなかでも用語が多い分野です。日本語がどこまで届くかで、確認できる範囲がはっきり変わります。
予約の前に日本語で確認できることは、次のとおりです。日本語で相談ができるかどうか、カウンセリングに通訳の方が入るかどうか、そして提案された製剤の名前を書いたものをもらえるかどうか。三つめは意外と見落とされますが、名前が手元に残るかどうかで、あとから調べられるかが変わります。
当日に確認したいことは、提案が変わったときの理由です。ここは日本語で説明を受けられるかどうかが分かれ目になります。用語が多い話なので、翻訳アプリだけでは行き違いが起きやすくなります。
実際の記録にも、通訳の方が入ったことで負担が減ったという書き方がよく出てきます。
「予約はLINEで日本語・割と即レスでカウンセリングも韓国美女カウンセラーさんでしたが、通訳さんも居ましたし無理な勧誘はなかったです。」
予約のやりとりが日本語でできても、カウンセリングの席に通訳の方が入るかどうかは別の話です。製剤の種類まで詰める予定であれば、予約の段階で「カウンセリングは日本語で受けられますか」と確認しておいてください。
よくある質問
Q. 製剤の名前を覚えていないと、相談できませんか。
覚えていなくても相談はできます。むしろ「どの部位を、どうしたいか」を伝えるほうが先です。製剤は、その希望に合わせて選ばれるものだからです。ただ、提案された製剤の名前は控えておいてください。あとで調べたり、次の相談に使ったりできます。
Q. 日本で聞いた製剤名が、韓国の料金表にありません。
名称や取り扱いは国によって違います。名前が見つからない場合は、「日本でこういう性質のものを使ったことがあります」と性質を伝えて、近いものがあるかを聞いてみてください。名前より、かたさや使った部位のほうが伝わります。
Q. かたい製剤のほうが、長持ちしますか。
一概には言えません。持続は製剤の性質だけでなく、入れた部位、層、量、体質によって変わります。かたさは持続のためではなく、目的の形を作るために選ばれる性質だとお考えください。
Q. 複数の部位をまとめて相談しても大丈夫でしょうか。
問題ありません。ただ、部位ごとに提案される製剤や量が変わりますので、見積もりは部位ごとに分けて出してもらうようお願いしてください。まとめた金額だけだと、あとで一部だけ受ける判断ができなくなります。
Q. 提案された内容が、予約したものと違う場合はどうすればよいですか。
まず理由を聞いてください。理由に納得できて、金額も範囲内であれば受けてよいと思います。納得できない場合や、その場で判断できない場合は、「今日は予約した内容だけにします」と伝えて構いません。断ったうえで話が進むかどうかも、そのクリニックを知る材料になります。
※ 本記事は施術の選び方を整理したものであり、医学的な助言ではありません。製剤の適応や量の判断は、必ず医療機関でご相談ください。掲載時点で確認できた範囲の情報にもとづいており、取り扱いは変わることがあります。