「韓国で注射系の施術を受けたいのですが、どれがおすすめですか」——この質問には、そのままでは答えられません。理由は単純で、注射というのは施術の名前ではなく「入れ方」の名前だからです。何を入れるかによって、狙う場所も、変化の出方も、費用の決まり方も、まったく別のものになります。
たとえるなら、「飲み物のおすすめは何ですか」と聞かれているようなものです。喉が渇いているのか、温まりたいのか、目を覚ましたいのかによって答えが変わります。注射も同じで、乾燥を埋めたいのか、肌そのものを変えたいのか、動きを抑えたいのか、形を足したいのか——この四つのどれを求めているかで、選ぶものが分かれます。
この記事では、韓国の美容皮膚科のメニューに並ぶ注射系の施術を、目的の系統ごとに整理します。そのうえで、悩みから逆に引く早見表と、費用が決まる仕組み、そして使われる薬剤が韓国で承認されたものかどうかを自分で確認する方法までお伝えします。金額そのものは施設とメニューで変わりますので、ここでは金額が動く要素の説明にとどめます。

「おすすめ」が決まらない理由
まず、なぜ一般論としての「おすすめ」が成立しないのかを説明します。
注射系の施術は、次のように分解できます。
| 要素 | 中身 |
|---|---|
| 何を入れるか | 薬剤の種類。ここで狙う場所が決まります |
| どのくらい入れるか | 量。費用に直結します |
| どこに入れるか | 部位。顔全体か、目の下だけか、といった範囲です |
| どの深さに入れるか | 浅い層か、深い層か。狙いによって変わります |
| どうやって入れるか | 手で打つか、機械で打つか |
つまり、同じ名前のメニューでも、この五つの組み合わせが違えば別物になります。ですので「一番おすすめの注射」を先に決めることはできません。先に決まるのは自分の悩みのほうで、施術はそのあとから決まります。
注射は四つの系統に分けると整理できます
韓国のメニュー表に並ぶ注射系の施術は、狙いによって大きく四つに分けられます。この分け方を頭に入れておくと、メニュー表を見たときに迷いません。
| 系統 | やっていること | 主に向く悩み |
|---|---|---|
| 水分・ツヤを足す系統 | 保水にかかわる成分を浅い層に入れます | 乾燥、ツヤ不足、化粧のりの悪さ |
| 肌そのものに働きかける系統 | 肌の状態に作用する成分を入れます | 肌質、キメ、毛穴、目周りの薄い皮膚 |
| 動きを抑える系統 | 筋肉の動きに作用する製剤を入れます | 表情でできるしわ、輪郭の張り |
| 形やボリュームにかかわる系統 | 立体感を出す目的で入れます | へこみ、ボリュームの不足 |
系統1 水分・ツヤを足すもの
いわゆる水光注射がここに入ります。極細の針で、顔全体に細かく分けて入れていく方法が一般的です。狙いは保湿とツヤで、肌質そのものを作り変えるものではありません。旅行前のコンディション調整として受ける方が多い系統です。
この系統の詳しい中身、機械打ちと手打ちの違いについては水光注射を薬剤の種類から整理した記事にまとめてあります。
系統2 肌そのものに働きかけるもの
スキンブースターと呼ばれる系統です。入れる成分によってさらに分かれ、肌のキメや毛穴、目周りの薄い皮膚など、時間をかけて変えていくことを目的にします。一回で完結するものではなく、間隔をあけて複数回重ねる前提で組まれることが多い系統です。
この系統を選ぶかどうかの判断材料はスキンブースターの選び方をまとめた記事に書いています。
系統3 動きを抑えるもの
ボトックスと呼ばれる系統です。表情の動きでできるしわや、筋肉の張りによる輪郭の広がりに対して使われます。入れた瞬間に変わるものではなく、数日から一、二週間かけて効いてくるのが特徴で、そして効果は永続しません。時間が経てば戻ります。
製剤の種類や効き方についてはボトックスを製剤から整理した記事を、輪郭に関する使われ方については小顔にかかわる施術をまとめた記事をご覧ください。
系統4 形やボリュームにかかわるもの
へこんだ部分に立体感を出す目的で使われる系統です。狙いが「足す」ことにあるため、ほかの三つとは考え方が違います。入れる場所と量の設計が結果を大きく左右しますので、相談の時間がいちばん長くなる系統でもあります。
悩みから逆に引く早見表
ここまでを、悩み側から引ける形に並べ直します。相談の場でそのまま使える表です。
| 気になっていること | 見当をつける系統 | 相談で伝える言葉 |
|---|---|---|
| 乾燥する、ツヤがない | 水分・ツヤを足す系統 | 「うるおいを足したいです」 |
| 化粧のりが悪い | 水分・ツヤを足す系統 | 「肌の表面を整えたいです」 |
| 毛穴が気になる | 肌に働きかける系統 | 「毛穴を目立たなくしたいです」 |
| 肌のキメが粗い | 肌に働きかける系統 | 「肌質そのものを変えたいです」 |
| 目の下が薄く見える | 肌に働きかける系統 | 「目の下の皮膚が気になります」 |
| 表情でしわが出る | 動きを抑える系統 | 「動いたときのしわが気になります」 |
| 顔の横幅が気になる | 動きを抑える系統 | 「輪郭の張りが気になります」 |
| へこみが気になる | 形にかかわる系統 | 「立体感を出したいです」 |
注意点をひとつ。この表は自己診断の道具ではありません。 実際に何を使うかは、肌を見た医師が判断します。この表の役割は、相談の入口で自分の希望を言葉にするためのものです。言葉にできていれば、提案の精度が上がります。
実際の口コミにも、複数の系統を組み合わせて受けている例が出てきます。
「オンダリフト、チタニウムリフト、眉間ボトックスを受けました。受付、通訳、院長先生皆様が優しくて安心して施術することができました!またお願い!」
韓国では、複数の施術を同じ日にまとめて受けるのが一般的です。系統をまたいで組むこともよくあります。ここで大事なのは、組み合わせの理由を説明してもらうことです。なぜその組み合わせなのかが分かれば、納得して受けられます。
費用は「一本いくら」では決まりません
注射系の費用でいちばん誤解されやすいのが、ここです。メニュー表の数字だけを見比べても、比較になりません。費用は次の要素で動きます。
| 要素 | 費用への影響 |
|---|---|
| 薬剤の種類 | 系統が違えば、そもそも価格帯が別になります |
| 量 | 同じ薬剤でも、入れる量で金額が変わります |
| 単位の数え方 | 量の数え方が施設によって違うことがあります |
| 範囲 | 顔全体か、部分かで変わります |
| 回数のまとめ買い | 複数回分をまとめると、一回あたりが下がる形が一般的です |
| 初回価格かどうか | 初回だけの価格が設定されていることがあります |
| 同日の組み合わせ | ほかのメニューと同じ日に受けると、まとめた価格になることがあります |
| 税込みか税別か | 表示のしかたが施設によって違います |
このなかでいちばん見落とされるのが量と単位です。量で費用が動く施術なので、「何を、どれだけ入れるのか」を確認しないまま金額だけを比べても意味がありません。相談の場では、次のように聞いてください。
- 「使う薬剤の名前を教えてください」
- 「入れる量はどれくらいですか」
- 「この金額は税込みですか」
- 「初回だけの価格ですか、それとも通常の価格ですか」
そして、書面に残るかどうかを確認してください。 同意書や明細に薬剤名と量が書かれていれば、あとから振り返ることができます。口頭だけのやり取りは、記憶に頼るしかなくなります。次に渡韓したときに「前回と同じもので」と言えるようにしておくためにも、書面に残しておく意味があります。
丁寧な相談を受けられたという声も、実際に多くあります。
「カウンセリングにゆっくり時間をかけていただきました。仕上がりもだいぶ想像通りでしたし、施術が少し痛かったのですがその旨を伝えた時には麻酔を追加して頂けました🫶
またよろしくお願いいたします!」
「想像通りでした」という言葉は、相談の時点で認識がそろっていた証拠です。時間をかけて話せる場をつくること自体が、結果の満足度につながります。
薬剤が韓国で承認されたものか、自分で確認できます
ここからが、現地にいるからこそお伝えできる部分です。韓国では、医薬品の承認情報が公的なサイトで公開されていて、誰でも無料で検索できます。

上の画面は、韓国の食品医薬品安全処が運営する医薬品等の情報検索です。製品名の欄に韓国語で入力して検索すると、該当する品目が一覧で表示されます。表示された件数がそのまま画面に出ますので、どれだけの品目が登録されているかも分かります。
結果には、製品名・企業名・承認番号・承認日が並びます。冒頭に載せた画像は「히알루론산나트륨」(ヒアルロン酸ナトリウム)で検索した結果です。同じように、ほかの成分でも調べられます。

この確認でできること、できないことを、正直に整理しておきます。
| できること | できないこと |
|---|---|
| その成分の製剤が韓国で承認されているか確認できます | その施設が実際に何を使うかは分かりません |
| 承認番号と承認日が確認できます | 効果の程度は分かりません |
| どの企業の製品かが分かります | 自分に合うかどうかは分かりません |
ですので、この確認は下調べの材料として使ってください。そのうえで、相談の場で「使う薬剤の名前を教えてください」と聞き、必要であれば施術の前に容器を見せてもらう、という流れが現実的です。実際に、見せることに応じてくださる施設はあります。
繰り返し受けている方の口コミには、確認の丁寧さが記憶に残っている様子が出ています。
「2回目の施術ですが、とても良くしてもらいました。今回はFOMAをやってもらいました。あとのかぼちゃピールも、最後の確認もとても丁寧でした。またお願いしたいです(^^)」
「最後の確認」という言葉が出てくること自体が、確認の場が設けられていることを示しています。
ダウンタイムと日程の関係
注射系を選ぶときにもうひとつ効いてくるのが、帰国日との距離です。針を使う施術である以上、跡や内出血が出る可能性はどの系統にもあります。特に皮膚の薄い部位では出やすくなります。
| 見ておく点 | 考え方 |
|---|---|
| 施術直後 | 針の跡や赤みが残ることがあります |
| 内出血 | 出た場合、数日から一週間ほど残ることがあります |
| メイク | 当日は避けるよう案内されることがあります |
| 帰国日との距離 | 人前に出る予定から逆算して日を決めます |
ですので、帰国の翌日に大事な予定がある方は、滞在の初日に受けておくほうが余裕を持てます。逆に、しばらく在宅で過ごせるのであれば、選べる範囲は広がります。この事情は相談の場では聞かれない限り伝わりませんので、自分から先に言ってください。「帰国の翌日に人前に出ます」の一言で、提案される内容が変わります。
日本語では、どこまで確認できるのか
注射系の施術は、言葉が通じるかどうかが結果に直結する分野です。理由は三つあります。
第一に、薬剤名と量という金額に直結する会話が発生します。第二に、施術中に痛みのやり取りがあります。第三に、どこにどれだけ入れるかという希望を、細かく伝える必要があります。どれも、翻訳アプリ越しでは詰めきれない種類の会話です。
| 対応の段階 | 注射系でどこまで通じるか |
|---|---|
| 日本人スタッフや常勤の通訳がいる | 薬剤名・量・部位の希望まで、その場で確認できます |
| 日本語ができるカウンセラーがいる | 相談は進みます。施術室での声かけは要確認です |
| 予約対応のみ日本語 | 予約はできますが、当日の細かい指定は難しくなります |
| 翻訳アプリでの対応 | 大枠は伝わりますが、量や部位の詰めで行き違いが起きやすくなります |
確認しておくべきなのは、相談だけでなく施術室でも日本語が続くかどうかです。相談は日本語だったのに、施術室に入ると韓国語だけになる、という段差が起きることがあります。注射系は施術中のやり取りが多い分、この段差が響きます。
予約の段階で、次の三つを聞いておいてください。
- 「施術中も日本語で声をかけてもらえますか」
- 「使う薬剤の名前と量を、日本語で教えてもらえますか」
- 「痛みが強いときは、その場で伝えても大丈夫ですか」
三つ目に「はい」と返ってくるかどうかは、けっこう大きな違いです。実際に、伝えたら対応してもらえたという声があります。
「先生もとても丁寧でよかったです。
スムーズに対応して頂けました。
時間も伝えた通りで対応していただけました。
カウンセリングの方も優しかったです!
またお願いしたいです。」
「時間も伝えた通りで」というのは、こちらの事情が伝わっていたということです。伝えられる環境かどうかが、そのまま体験の質になります。
よくある質問
Q. 初めてなら、どの系統から始めるとよいですか。
悩みによります。乾燥やツヤの不足が気になっているなら水分を足す系統が入口になりやすく、表情のしわが気になっているなら動きを抑える系統の話になります。まず自分の悩みを一つに絞って相談されることをおすすめします。
Q. 複数の系統を同じ日に受けても大丈夫ですか。
韓国では組み合わせて受けるのが一般的です。ただし順番や間隔には理由がありますので、自己判断で詰め込まず、その日の組み方は医師と相談のうえで決めてください。
Q. 効果はどのくらい続きますか。
系統によって考え方が違います。動きを抑える系統は時間が経てば戻りますし、肌に働きかける系統は複数回重ねたあとのほうが変化を感じやすいという声が多くなります。いずれも個人差がありますので、目安は診察の場で確認してください。
Q. 痛みはどれくらいですか。
部位と薬剤と入れ方によって変わります。麻酔のクリームを使う場合が多いものの、痛みがゼロになるわけではありません。強いと感じたときにその場で伝えられるかどうかを、予約の段階で確認しておくと安心です。
Q. 使う薬剤を事前に知ることはできますか。
相談の場で聞けば教えてもらえます。成分名が分かれば、韓国の食品医薬品安全処のサイトでその成分の製剤が承認されているかを自分で確認できます。ただし、実際に何を使うかは施設と医師の判断によりますので、最終的には現地での確認が必要です。
※ 本記事は現地で確認できた公開情報と口コミをもとにした一般的な整理であり、医学的な助言ではありません。適応の有無、量、回数、リスクの説明は必ず医療機関での診察にもとづいて受けてください。掲載した検索画面は、韓国の食品医薬品安全処が公開している情報の画面です。