日本のクリニックのページに出ている値段と、韓国のクリニックのページに出ている値段。この二つを並べて、どちらが安いかを判断しようとしたことのある方は多いと思います。そして、並べてみたものの、何だか比べられている気がしない——という感覚を持たれた方も、同じくらい多いのではないでしょうか。
その感覚は正しいです。二つの数字は、そもそも違うものを数えた金額であることがほとんどです。 何単位を打つのか、どの製剤を使うのか、「額」という言葉がどこまでの範囲を指すのか、その金額が初回だけの条件つきなのか、表示に税が含まれているのか。これらがそろっていない状態で数字だけを並べても、大小の判断はできません。
この記事では、具体的な金額を書きません。書いてしまうと、読まれた時点ですでに古くなっている可能性がありますし、条件の違う金額を並べることこそが誤解のもとだからです。代わりに、比べるために何をそろえればよいのかを、韓国側の表示の仕組みから整理します。

値段を比べる前に、「何の値段か」をそろえます
比較というのは、条件を一つだけ変えて、残りをそろえる作業です。国を変えて比べたいのであれば、国以外の条件はできるだけそろえておく必要があります。
ところが、日本と韓国では価格表の作り方そのものが違います。日本では「部位いくら」という書き方が多く見られますが、韓国では「単位いくら」「一回いくら」「セットでいくら」など、複数の数え方が混在しています。この時点で、同じものを数えていません。
ですので、比較のはじめの一歩は、両方の表示を「同じ土俵の言葉」に置き換えることになります。具体的には、次の六つをそろえます。
そろえる条件は、六つあります
| そろえる条件 | 確認したいこと | そろっていないと起きること |
|---|---|---|
| 単位の数 | 何単位を打つ金額なのか | 単位数が違えば、金額差は当然生まれます |
| 製剤 | どの製剤を使う前提の金額か | 製剤が違えば、別の商品の値段を比べています |
| 部位の範囲 | 「額」「エラ」がどこまでを指すか | 範囲が違えば、施術内容が違います |
| 回数・期間 | 一回分か、複数回分をまとめた金額か | 一回分と数回分を並べてしまいます |
| 条件の有無 | 初回だけ/セットだけの金額か | 二回目以降に同じ金額では受けられません |
| 税の扱い | 表示に付加価値税が含まれるか | 最後の請求で印象が変わります |
この六つがそろって、はじめて「同じものの値段」になります。逆に言えば、六つのうち一つでも不明なら、その数字は比較に使えません。 使えない数字を並べて悩むより、足りない情報を先に埋めるほうが早道です。
以下、それぞれについて韓国側の事情を補足します。
単位——同じ製剤でも、単位ごとに別の品目として登録されています
ボトックスの金額を語るうえで、いちばん大事な言葉が「単位」です。日本語でも韓国語でも同じ考え方で使われています。
韓国の食品医薬品安全処が公開している医薬品の承認一覧を見ると、この点がはっきり分かります。同じ会社の同じ系統の製剤であっても、「50単位」「150単位」「200単位」のように、単位ごとに別の品目として登録され、それぞれに承認番号と承認日が付いています。

つまり、「ボトックス一回いくら」という表示だけでは、実際に何単位を使う前提なのかが分かりません。同じ部位でも、必要な単位数は筋肉の大きさや効かせたい程度によって変わります。ですので、カウンセリングで単位数が決まるまで、正確な金額は出ません。
日本のクリニックの表示と比べるときも同じです。日本側が「一部位いくら」と書いていて、韓国側が「一単位いくら」と書いているなら、まず日本側が何単位相当なのかを確認しないと並べられません。この確認をしないまま数字を比べると、単に「小さい数字」と「大きい数字」を見ているだけになります。
単位や製剤で金額がどう動くかについては、韓国のボトックスの相場は何で決まるのかのほうで詳しく整理していますので、あわせてご覧ください。
製剤——名前が違えば、比べているものが違います
韓国では複数の会社がボツリヌス製剤を製造・販売しており、承認一覧にもさまざまな製品名が並んでいます。輸入された製剤が使われることもあります。
ここで大事なのは、製剤が違えば、それは別の商品だという点です。「ボトックス」という言葉は日本でも韓国でも一般名詞のように使われていますが、実際に打たれるものには一つひとつ製品名があります。金額の差の一部は、この製剤の違いから来ています。
ですので、比較の場面では「どの製剤を使う前提の金額ですか」と聞いておくのが確実です。製剤の名前が分かれば、韓国で承認されたものかどうかは公開の一覧で誰でも確認できます。手順はボトックスの製剤の確認方法にまとめました。
会計のときに、使った製剤の名前を記録に残しておくこともおすすめしています。二回目以降、同じ製剤で受けたいのか、変えてみたいのかを判断する材料になります。
部位の名前は、範囲がそろっているとは限りません
「額」「眉間」「目尻」「エラ」——部位の呼び方は日本語と韓国語で対応していますが、その言葉がどこまでの範囲を指すかは、施設によって違うことがあります。
たとえば「額」と書かれていても、生え際に近い部分まで含める場合と、動きの強い中心部分だけを指す場合があります。範囲が違えば、必要な単位数も変わりますし、当然、金額も変わります。
比較のときには、部位の名前ではなく「どこからどこまでに打つのか」で確認してください。カウンセリングでは、鏡を見ながら実際に指し示してもらうのがいちばん確実です。言葉のやり取りだけだと、行き違いが起きやすい部分です。
複数の部位を一緒に受ける場合は、さらに注意が必要です。組み合わせによって、単体で受けるときと金額の組み立てが変わることがあります。この点は口角ボトックスの値段の決まり方でも触れています。
初回だけの条件が付いた表示と、通常の表示
韓国のクリニックの価格表示には、期間限定の企画や初回限定の条件が付いていることがあります。この形自体は珍しいものではありませんが、比較に使う数字としては扱いが難しくなります。
理由は二つあります。一つは、二回目以降は同じ金額で受けられない場合があること。もう一つは、その金額に条件(他のメニューとの組み合わせ、期間、対象者など)が付いている場合があることです。
実際に、企画中の価格で受けられたという声もあります。
「イベント中でリーズナブルな価格で対応いただきました。いくつかクリニックは行ったことありますが、クレンジングをしてカウンターで待たされることが多かったですが、こちらではカウンセリングもクレンジングも背術を行う個室でやってくださるため、すっぴんを誰にも見られずに過ごせると思います。」
こうした機会があること自体は良いことだと思います。ただ、その金額を「通常の値段」として日本側と比べてしまうと、判断を誤ります。 比べるときは通常の金額どうしで並べて、条件つきの金額は「今回だけの上振れ分」として別に扱うと、次回の予定も立てやすくなります。
税の扱いを含めないと、印象が変わります
韓国では、治療を目的とした医療には付加価値税がかかりませんが、美容を目的とした施術は課税の対象として扱われています。 韓国の付加価値税法施行令には、美容目的として扱われる施術の名前が具体的に並んでいます。

そのため、クリニックの表示価格が税込みなのか税別なのかで、最後に支払う金額の印象が変わります。表示のしかたは施設によって違いますので、「この金額は付加価値税を含みますか」と一言確認するだけで、想定外の差を防げます。
日本側の表示と比べるときも、どちらも税込みか、どちらも税別か、をそろえてください。片方だけ税込みの数字を並べると、差が実態より大きく見えます。事前に金額を確かめる手順はクリニックで値段を確認する方法にまとめています。
「渡韓1回の総額」に入る項目を並べます
ここまでは施術そのものの金額の話でした。ただ、日本で受けるか韓国で受けるかを比べるのであれば、移動と滞在を含めた総額で見ないと、比較としては片手落ちになります。
| 区分 | 日本で受ける場合 | 渡韓して受ける場合 |
|---|---|---|
| 施術の費用 | かかります | かかります |
| 往復の移動 | 国内の交通費 | 航空券・空港からの移動 |
| 滞在 | 不要な場合が多い | 宿泊費 |
| 通訳・言語 | 不要 | 体制によっては費用が生じる場合があります |
| 再診・修正 | 通いやすい | もう一度渡韓するか、日本で相談することになります |
| 時間 | 半日程度 | 数日 |
この表を見ていただくと分かるとおり、施術の費用だけを比べても答えは出ません。 とくに大きいのが最後の二行です。打ったあとに左右差が気になった、思ったより効きが強かった、といったときに、すぐ相談に行けるかどうかは金額に換算しにくい部分です。
逆に、もともと渡韓の予定がある方、ほかの施術もあわせて受ける方であれば、移動と滞在の費用は複数の施術で分け合う形になります。この場合は総額の見え方がまったく変わります。費用全体の分け方は美容の費用の内訳で項目ごとに整理しました。
比較表は、自分の手で作るしかありません
インターネット上の比較記事は、条件がそろっていないまま数字だけを並べていることが少なくありません。ですので、最後は自分の条件で作り直すしかありません。
作り方はむずかしくありません。次の欄を用意して、日本側と韓国側の両方を埋めていくだけです。埋まらない欄があれば、それが確認すべき項目になります。
| 記入する欄 | 日本のクリニック | 韓国のクリニック |
|---|---|---|
| 打つ部位(範囲を言葉で) | ||
| 使う単位の数 | ||
| 製剤の名前 | ||
| 一回分か、複数回分か | ||
| 条件つきの金額かどうか | ||
| 税込みか税別か | ||
| 再診が必要な場合の扱い |
この表が埋まった時点で、はじめて数字を並べる意味が出てきます。そして多くの場合、埋めていく途中で「そもそも同じ内容ではなかった」ということに気づきます。
なぜ韓国のほうが金額が抑えられる場面があるのか、その背景についてはなぜ韓国は安いと言われるのかで整理しています。
金額の相談そのものを遠慮される方もいらっしゃいますが、伝えてよい内容です。実際に、金額の相談に応じてもらえたという声もあります。
「通訳さんが同席していただき大変わかりやすく細かいカウンセリングをしていただきました!金額の相談も受けていただき感謝です。」
値段以外の差も、同じ表に置いておきます
最後に一つ。値段だけをそろえても、判断の材料としては足りません。説明の丁寧さ、担当する方の専門性、施設の体制といった要素も、同じ表の隣に置いておくことをおすすめします。
実際に、金額の高い施術ほど、誰が担当するのかを基準に選ばれた方の声があります。
「良いレビューを見てウルセラで伺いました。ウルセラは決して安価なメニューでは無いので、カウンセリングから施術まで全員皮膚科専門医であるこちらのクリニックを選びました。院内の内装はとても清潔感があり、壁にはたくさんの論文が張り出されていました。(韓国内で多くの論文書いており、沢山の引用をされているそうです!)アクセスも良く、安心できるクリニックだと思うので渡韓での美容が初めての方にもおすすめできます。日本語を話せるカウンセラーさんの方も数名いらっしゃいました✨」
こうした情報は数字になりませんが、選ぶときの重みとしては金額と同じくらい大きいと思います。とくに、注射系の施術は打つ方の判断が結果に直結します。値段の欄の隣に「誰が、どう説明してくれたか」の欄を作っておくと、あとで見返したときに納得のいく選択ができます。
日本語では、どこまで確認できるのか
ここまで書いてきた六つの条件は、すべてカウンセリングで日本語で聞ける内容かどうかにかかっています。聞けなければ、条件はそろいません。
金額と単位の話は、施術の説明よりも一段むずかしい話題です。数字と条件が同時に出てきますので、翻訳アプリだけでは行き違いが起きやすくなります。日本語対応をうたっていても、その中身には段階があります。
- 常勤の日本人スタッフや通訳の方がいる——単位数、製剤名、税の扱いまでその場で確認できます
- 予約の問い合わせだけ日本語——当日の会計の場では通じないことがあります
- 翻訳アプリで対応——施術の説明はできても、条件を詰める場面では取りこぼしが出やすくなります
日本語対応の段階の見分け方は日本語対応の段階にまとめました。
予約の段階で、次の言い方をそのまま使っていただけます。「カウンセリングのときに、使う単位の数と製剤の名前を日本語で確認できますか」「表示されている金額に付加価値税は含まれますか」。この二つの答え方で、その施設で条件をそろえられるかどうかが、かなり分かります。
よくある質問
Q. 結局、日本と韓国ではどちらが安いのでしょうか。
条件をそろえずに答えられる質問ではありません。単位数・製剤・部位の範囲・回数・条件の有無・税の扱いがそろって、はじめて比較になります。さらに、渡韓される場合は移動と滞在を含めた総額で見る必要があります。この記事では、その条件をそろえる手順をご案内しています。
Q. 「一回いくら」と書かれている表示は、何単位のことですか。
表示だけでは分かりません。同じ部位でも必要な単位数は方によって変わりますし、施設によって前提が違います。カウンセリングで「今回は何単位を使いますか」と確認してください。単位が決まってはじめて、金額が確定します。
Q. 製剤の名前は、聞いても教えてもらえますか。
使用する製剤について尋ねることは、通常の質問です。名前が分かれば、韓国の食品医薬品安全処が公開している一覧で承認の有無を誰でも確認できます。会計のときに記録として残しておくと、二回目以降の判断材料になります。
Q. 表示価格に税が含まれているかは、どう聞けばよいですか。
「この金額は付加価値税を含みますか」と、そのまま聞いていただければ通じます。韓国では美容を目的とした施術は課税の対象として扱われており、表示のしかたは施設によって異なります。カウンセリングの段階で確認しておくと、会計のときの差を防げます。
Q. 初回限定の金額は、比較に使ってもよいですか。
比較の基準としては、通常の金額を使われることをおすすめします。初回限定の金額は条件つきであることが多く、二回目以降は同じ条件で受けられない場合があります。今回の支払いの見込みとしては使えますが、継続して受ける前提で比べるのであれば、通常の金額どうしで並べてください。
※ 本記事は、韓国で施術を受けることを検討されている方に向けて、金額の比較のしかたを構造として整理したものです。具体的な費用は施設・施術内容・使用する製剤・単位数によって異なり、この記事では金額を提示していません。実際の金額と施術の適否は、医療機関でのカウンセリングでご確認ください。