韓国でボトックスを受けようと調べていると、必ず出てくるのが製剤の話です。「アラガン製を指定したほうがいい」「韓国製は持続が短い」——こうした書き込みを目にして、迷っている方は多いと思います。
先に、このページの立場をはっきりさせておきます。持続期間について、具体的な月数をこのページで断定しては書きません。 製剤、投与量、打った部位、その方の筋肉の使い方によって変わるものですし、公開されている資料から「どの製剤なら何か月」と一律に示せる根拠を、私たちは確認できていないからです。確かめられないことを数字で書くと、それを信じて渡韓した方に迷惑がかかります。
その代わり、確かめられることだけを書きます。韓国で使われている製剤が本当に承認されたものかどうかは、韓国政府の公開データベースで誰でも無料で確認できます。 持続期間が何によって変わるのか、カウンセリングで何を聞けば自分のケースの見通しが立つのかも、順番に整理しました。

「アラガン製なら長持ちする」は、確かめられる話なのか
まず、用語の整理からです。
「ボトックス」という言葉は、日本ではこの種の注射の総称として使われることが多いのですが、もともとは製剤の商品名です。そして「アラガン」は、その製剤をつくっている製薬会社の名前です。つまり「アラガン製のボトックス」というのは、特定の会社がつくった特定の製剤を指しています。
一方、韓国では複数の製剤が承認されており、クリニックによって扱っている製剤が異なります。ですので「韓国でボトックスを受ける」と言っても、実際に何が注射されるのかは、そのクリニックに聞かないと分かりません。
ここで大事なのは、「どの製剤か」と「どれくらい持つか」は、直接には結びつかないということです。持続期間は製剤だけで決まるものではなく、後述するいくつもの要因が絡みます。にもかかわらず「アラガン製だから長持ちする」という一文だけが独り歩きしているのが、いまの情報環境です。
ですので、確認すべきことはこう置き換えられます。
- そのクリニックが使う製剤の名前は何か
- その製剤は、韓国で正式に承認されているか
- 何単位を、どこに打つのか
- その条件で、どれくらいの見通しになるのか(クリニックの説明として聞く)
このうち1と2は、ご自身で確かめられます。3と4はカウンセリングで聞くことです。ボトックスそのものの基礎については韓国のボトックスの基本にまとめていますので、はじめての方はそちらもあわせてご覧ください。
持続期間が変わる要因を分解する
なぜ「何か月持つ」と一律に言えないのか。効き方の仕組みから考えると分かりやすくなります。
この注射は、筋肉を動かす信号の伝達を一時的に抑えるものです。抑えられた状態は永続しません。時間の経過とともに神経の側が回復し、筋肉が再び動くようになっていきます。つまり「切れる」のではなく、少しずつ戻っていくという性質のものです。だからこそ、戻るまでの時間には個人差が出ます。
見通しに影響する要因を整理します。
| 要因 | どう影響するか |
|---|---|
| 打った部位 | よく動かす筋肉ほど、戻りが早く感じられることがあります |
| 投与量(単位数) | 少なめだと効き方も戻り方も変わります |
| 打った回数の履歴 | 初回か、繰り返しているかで感じ方が変わることがあります |
| 筋肉の強さ・使い方 | 表情の癖や噛みしめの強さは人によって違います |
| 目的 | シワを目立たなくしたいのか、輪郭の印象を変えたいのかで見方が変わります |
| 製剤 | クリニックによって扱いが異なります |
この表を見ていただくと、「製剤」は要因のひとつでしかないことが分かると思います。SNSで「持続が短かった」という感想を見かけても、その方の部位も単位数も履歴も分かりません。他人の持続期間の感想は、自分の見通しの参考にはなりにくいというのが実際のところです。
だからこそ、自分の条件で聞くしかありません。「私は◯◯に打つ予定で、単位数はこれくらいと言われました。この条件だと、どのくらいで戻ってくると考えておけばよいですか」——この聞き方をすると、一般論ではない答えが返ってきます。
韓国で使われている製剤を、公式データベースで確かめる
ここからは、ご自身でできる確認作業です。韓国の食品医薬品安全処(食薬処)は、承認された医薬品の情報を公開しています。日本からでも、無料で検索できます。

検索欄に韓国語で「보툴리눔」(ボツリヌス)と入力して検索すると、承認されている製剤の一覧が表示されます。冒頭に載せた画像がその結果です。
一覧では、次の情報が確認できます。
- 製品名
- 取り扱っている企業の名前
- 承認番号
- 承認日(韓国語で「허가일」)
つまり、クリニックから製剤の名前を聞いておけば、それが韓国で承認されたものかどうかを自分で照合できるということです。カウンセリングの場で「この製剤は何という名前ですか」と聞き、韓国語表記をメモしておくと、あとから確認できます。
ただし、注意点があります。このデータベースで分かるのは「承認されているかどうか」までです。 持続期間の優劣や、どの製剤が自分に合うかまでは分かりません。承認情報は出発点であって、結論ではありません。製剤についての一般的な考え方は製剤の選び方にも整理しています。
「単位」で比べないと、価格の比較になりません
もうひとつ、渡韓前に知っておいていただきたいのが単位の話です。
この注射の量は「単位(ユニット)」で表されます。そして、クリニックの価格表示には二つの形があります。
| 表示のしかた | 見え方 | 注意すること |
|---|---|---|
| 単位あたりの価格 | 一見すると安く見えます | 必要な単位数によって総額が変わります |
| 部位ごとの定額 | 総額が分かりやすいです | 何単位入っているかを確認する必要があります |
たとえば、単位あたりの価格が安くても、提案される単位数が多ければ総額は変わります。逆に部位ごとの定額でも、含まれる単位数が少なければ、効果の感じ方が変わることがあります。
ですので、比べるときは必ず「単位数」と「総額」の両方を聞いてください。片方だけでは比較になりません。
そして、費用については確定した金額をこのページに書くことはしません。クリニックごとに違い、時期によっても変わるためです。目安を出してもらうときは、次の項目を最初に確認しておくと、会計で驚かずに済みます。
- 表示価格に付加価値税が含まれているか
- 麻酔(クリーム麻酔など)の費用が含まれているか
- 何単位が含まれる価格なのか
- 左右差の調整などで再来院が必要になった場合、追加の費用がかかるのか
施術当日の流れと、痛みについて
当日の流れそのものは、それほど複雑ではありません。受付、カウンセリング、必要に応じて麻酔クリーム、注射、そして注意事項の説明という順で進むのが一般的です。詳しい流れはカウンセリングの流れにまとめています。
痛みについては、感じ方に個人差があります。日本語の口コミを読んでいると、痛みに弱いと伝えたときの対応が、満足度に直結していることがよく分かります。
「カウンセリングにゆっくり時間をかけていただきました。仕上がりもだいぶ想像通りでしたし、施術が少し痛かったのですがその旨を伝えた時には麻酔を追加して頂けました🫶」
言えば対応してもらえた、というのがここでの要点です。我慢しないで、その場で伝えてください。 痛みへの向き合い方については痛みが不安な方へでも扱っています。
複数の施術を同じ日に組み合わせる方も多くいます。
「カウンセリングを受けて、それぞれに合った施術をしていただき、私はボトックス、LDM.ボルニューマ、アクアピールをしてもらいました。施術も丁寧で手際がよく、疲れ切った顔がとても明るくなり、大満足です!」
ただし、組み合わせるほど当日の所要時間は延びます。帰国日が近い方は、そこも見込んで予約時間を決めてください。
カウンセリングで聞くべき質問リスト
ここまでの内容を、その場で使える形にまとめます。予約が取れたら、この六つをメモに入れておいてください。
- 今日使う製剤の名前を教えてください(韓国語の表記も控えます)
- 何単位を、どこに打ちますか
- この条件だと、どのくらいで戻ってくると考えておけばよいですか
- 効果が出るまでに何日くらいかかりますか
- 左右差が出た場合、どう対応してもらえますか。追加費用はかかりますか
- 今日は決めずに持ち帰ってもよいですか
6番目を入れているのは、その場で決めさせようとするかどうかが、そのクリニックの姿勢を映すからです。落ち着いて説明してくれるところは、持ち帰りにも応じてくれます。
「丁寧でわかりやすいカウンセリングで必要な施術をおすすめしてくれました!」
「カウンセリングは丁寧で分かりやすくとても良かったです。」
こうした声が繰り返し出てくるクリニックは、説明に時間を使う運用になっていると考えられます。逆に、質問をしても一般論しか返ってこない、単位数を聞いても曖昧なままという場合は、その日は決めずに持ち帰るという判断があってよいと思います。渡韓の日程は限られていますが、納得しないまま受けて後悔するほうが、時間の損失としては大きくなります。
聞いた内容は、その場でスマートフォンにメモしてください。カウンセリングと会計で担当が変わることがあり、口頭で聞いた条件が会計時に伝わっていない、ということが起こり得ます。製剤名・単位数・総額の三つは、必ず文字で残しておくことをおすすめします。
「持続が短い」と感じたときに、まず疑うこと
渡韓して受けた方から、「思ったより早く戻ってきた気がする」という感想を聞くことがあります。このとき、すぐに製剤のせいだと決めつけるのは早いかもしれません。順番に確かめられることがあります。
まず、いつから数えているかです。 この注射は打った直後に効くものではなく、少しずつ変化が出てきます。効果を感じ始めた時点を起点にするのか、施術日を起点にするのかで、体感の長さが変わります。施術前に「効果を感じ始めるのはいつごろですか」と聞いておくと、この混乱を避けられます。
次に、単位数です。 同じ部位でも、入れた単位数が違えば感じ方は変わります。前回と比べているのであれば、前回の単位数と今回の単位数を照らし合わせてみてください。控えていなければ、次回からは必ずメモしておくことをおすすめします。
そして、比べている相手です。 SNSや口コミで見た「◯か月持った」という話は、その方の部位・単位数・筋肉の使い方での結果です。条件が違えば結果も違います。他人の数字と比べるより、自分の前回と比べるほうが、はるかに意味のある比較になります。
そのためにも、施術のたびに記録を残しておくと役に立ちます。日付、製剤名、部位、単位数、効果を感じ始めた日、戻ってきたと感じた日。この六つを控えておけば、次にカウンセリングを受けるときの材料になります。
施術後に気をつけること
当日と数日間の過ごし方についても、クリニックから説明があります。内容はクリニックによって違うので、必ずその場で確認して、書き留めてください。 渡韓中は予定が詰まりがちなので、聞いたつもりで忘れてしまうことがあります。
一般的に説明されることが多いのは、次のような点です。
- 打った部位を強くこすったり、押したりしないこと
- 当日の激しい運動、飲酒、長風呂やサウナについての注意
- 施術後にどのような症状が出たら連絡すべきか
- 次に受けるとしたら、どのくらい空けるとよいか
渡韓中は観光やお買い物の予定が入っていることが多いので、その日の残りの予定を伝えたうえで注意事項を聞くのが実際的です。「このあと汗蒸幕に行く予定があるのですが、大丈夫ですか」と具体的に聞けば、具体的な答えが返ってきます。
帰国後に気になることが出てきた場合の連絡方法も、忘れずに確認しておいてください。連絡手段が日本語で使えるものかどうかまで聞いておくと、いざというときに困りません。
日本語では、どこまで確認できるのか
製剤の名前、単位数、持続の見通し。ここまで挙げてきた質問は、どれも日本語で正確にやり取りできるかどうかにかかっています。施術の説明よりも一段細かい話なので、片言のやり取りでは詰めきれません。
日本語対応には段階があります。
- 通訳が同席する——製剤名も単位数も、その場で確認できます
- 受付だけ日本語——カウンセリングの細部では通じないことがあります
- 翻訳アプリのみ——単位数のような数字の話は、行き違いが起きやすくなります
実際の声を見ると、通訳が同席したことで安心できたという記述が多く見られます。
「いろいろ不安でしたが、通訳さんも同席でカウンセリングをゆっくりして下さり、安心して受けることができました。」
予約の段階で聞いておくとよいのは、次の二点です。
- カウンセリングに日本語の通訳は同席しますか
- 使用する製剤の名前を、日本語で教えてもらえますか
二つ目は、意外と踏み絵になります。製剤名をその場で答えられる体制になっているかどうかで、説明の丁寧さがある程度見えてきます。答えが曖昧な場合は、当日もう一度確認するつもりで臨んでください。
よくある質問
Q. アラガン製を指定することはできますか。
クリニックによって扱っている製剤が異なるため、指定できるかどうかはそのクリニック次第です。予約の段階で「どの製剤を扱っていますか」「指定はできますか」と聞いておくのが確実です。当日になってから希望を伝えても、在庫の関係で対応できないことがあります。
Q. 韓国製の製剤は、日本で承認されているものと違うのですか。
韓国で使われる製剤は、韓国の食品医薬品安全処の承認を受けたものです。日本で承認されている製剤と同一とは限りません。承認の有無は、本文で紹介した公開データベースで製剤名から確認できます。ご自身が納得できるかどうかは、製剤名を聞いたうえで判断してください。
Q. 持続期間は結局どれくらいですか。
このページでは具体的な月数を断定して書いていません。部位、単位数、これまでの履歴、筋肉の使い方によって変わるうえ、公開資料から一律の数字を示せる根拠を確認できていないためです。ご自身の条件を伝えたうえで、カウンセリングで見通しを聞いてください。それがいちばん確実です。
Q. 効果が思ったほど出なかった場合、どうすればよいですか。
まず、効果が出るまでに時間がかかることがあります。どのくらい待って判断すればよいかを、施術前に確認しておいてください。そのうえで左右差や物足りなさが残った場合の対応と、追加費用がかかるかどうかも、施術前に聞いておくと安心です。帰国後の対応がどうなるかも、あわせて確認しておくことをおすすめします。
Q. 帰国日の前日に受けても大丈夫ですか。
注射の跡や一時的な赤みが出ることがあります。帰国後にすぐ人前に出る予定があるかどうかを含めて、カウンセリングで相談してください。予約時に帰国日を伝えておくと、無理のない提案が出てきやすくなります。
※ 本記事は、韓国政府が公開している情報と、公開されている日本語の口コミをもとに現地から整理したものです。医療上の助言ではなく、特定の製剤や医療機関を推奨するものでもありません。適応・投与量・持続の見通し・リスクについては、必ず医療機関で直接ご確認ください。