韓国の美容皮膚科でカウンセリングを受けると、ひとつの施術だけで話が終わることは、あまりありません。「これとこれを一緒にすると、こういう組み立てになります」という提案が出てくるのが普通です。そのなかでも、日本語の情報でよく一緒に並ぶのが、リジュランとスキンボトックスという二つの名前です。
この二つは、名前が並んで出てくるわりに、狙っているところがそれぞれ違います。そして違うからこそ、同じ日に受けられるのか、順番はどうするのか、金額はどう数えるのか、という質問が出てきます。日本語の紹介記事では、この部分が「一緒に受ける人が多いです」で終わってしまっていることが少なくありません。
この記事では、渡韓の前に決めておくべきことを、確認できる資料を見ながら整理します。効果を約束する記事ではありませんし、金額の相場を並べる記事でもありません。カウンセリングの場で自分の判断ができるように、材料をそろえるための記事です。
名前が並んでいても、性格は別ものです
まず、二つの言葉の位置づけを整理します。どちらも注射という形は共通していますが、そこから先が違います。
| リジュランと呼ばれる施術 | スキンボトックスと呼ばれる施術 | |
|---|---|---|
| どんな名前か | 製品の名前として日本語圏に広まった呼び方 | 打ち方に着目した呼び方で、通常のボトックスとは分けて案内されることが多い |
| 何を入れるか | ポリデオキシリボヌクレオチドナトリウムという成分名で説明されることがあります | ボツリヌス毒素の製剤で、韓国語では「보툴리눔」と表記されます |
| 数え方 | 使う量と回数で数えられることが多い | 単位(단위)や部位で数えられることが多い |
| 確認すべきこと | 一回あたりの量、回数の計画 | 使う製品名、単位、打つ範囲 |

表を見て分かるとおり、数え方の物差しからして違います。ですので、「二つ合わせていくらですか」とだけ聞くと、答えが出てこないことがあります。それぞれの数え方を先に聞いてから、合計を出してもらうほうが、話が早く進みます。
もうひとつ大事なのは、日本語の呼び名と、現地での呼び名が一致しないことがあるという点です。日本語では一語で呼んでいるものが、現地では成分名や製品名で呼ばれていることがあります。だからこそ、次の章の確認手順が効いてきます。
使われる製剤を、自分で確認する
韓国では、医薬品の承認情報が公開されていて、誰でも無料で検索できます。カウンセリングで名前を出された製剤が、韓国で承認されたものかどうかは、この仕組みで確認できます。

この画面から読み取れることが、二つあります。
ひとつは、単位ごとに別の品目として登録されているという点です。画面には「50단위」「150단위」「200단위」という表記の製品が、それぞれ別の行として並んでいます。単位が違えば別の品目として扱われている、ということです。カウンセリングで「何単位使いますか」という話が出るのは、この構造とつながっています。
もうひとつは、承認日が製品ごとに違うという点です。2013年のものから2026年のものまで並んでいます。新しく承認されたものもあれば、長く使われてきたものもある、という状態が読み取れます。
同じように、成分名でも検索できます。

ここで大切なのは、この一覧で分かるのは承認の有無までということです。効果があるかどうか、その方に合っているかどうかは、この画面では分かりません。ですので、使い方はこうなります。
- 使う製品名を、その場で韓国語の表記のまま書いてもらう
- 承認の一覧で検索し、承認された製品かどうかを見る
- 自分に合うかどうかは、医師の説明で確認する
三つ目が本体です。公開情報で確認できるのは、あくまで制度上の位置づけまでになります。それぞれの施術の概要は韓国のリジュランの受け方と韓国のボトックスの受け方にまとめています。
「同じ日に受けられますか」という質問について
いちばん多い質問が、これだと思います。滞在日数が限られているので、まとめて受けたい——という事情はよく分かります。
ただ、この質問の答えは、医療機関の方針と、その方の肌の状態で変わります。ですので、ここで「大丈夫です」と書くことはできません。代わりに、質問の仕方を変えることをおすすめします。
- ×「同じ日にできますか」——はい/いいえの答えしか返ってきません
- ○「同じ日にする場合と、日を分ける場合で、何が変わりますか」——理由まで説明してもらえます
後者の聞き方をすると、順番の考え方、間隔の考え方、当日の所要時間、追加でかかる費用まで、まとめて出てきます。渡韓の日程が決まっているなら、その日程を先に見せてしまうのがいちばん早い方法です。
実際の記録にも、こちらの状態を伝えたら、想定と違う提案が返ってきたというものがあります。
「今回も顎の下が気になるって言ったら脂肪じゃなく唾液腺だからボトックス打ちましょうって教えてくれてとても有難かったです。」
自分で決めてから行くのではなく、気になっている場所と、こちらの事情を伝えて、組み立ててもらう——この順番のほうが、結果的に納得のいく形になりやすいと思います。施術の順番の考え方は施術を受ける順番の決め方でも扱っています。
費用は何で決まるのか

金額そのものは、医療機関ごと・時期ごと・状態ごとに動きます。ここで整理するのは、何によって金額が変わるのかという仕組みです。この形で聞けば、どこで聞いても同じ物差しで比べられます。
| 決まり方の要素 | リジュラン側で聞くこと | スキンボトックス側で聞くこと |
|---|---|---|
| 量 | 一回あたりどれだけ使う前提か | 何単位を使う前提か |
| 範囲 | 顔全体か、部分か | どの部位に、どの範囲で打つか |
| 回数 | 何回の計画か、間隔はどれくらいか | 今回だけか、継続する前提か |
| 製品 | どの製品を使うか | どの製品を使うか |
| 併用 | 麻酔・パック・照射が含まれるか | 麻酔が含まれるか |
| 条件 | 初回価格かどうか | 初回価格かどうか |
| 税 | 表示が税込みか税別か | 表示が税込みか税別か |
二つを組み合わせる場合、この表を二列とも埋めてから合計を出す——この順番で聞くと、あとで「思っていた金額と違う」ということが起きにくくなります。
そして、組み合わせの提案が出たときに気になるのが、「必要以上にすすめられているのではないか」という点だと思います。この不安については、実際の記録に、そのままの言葉が残っています。
「丁寧なカウンセリングをしてくださって、自分に合う施術を教えてくださったのでよかったです!予約した施術より高額な施術をお勧めされるか怖かったんですが、そんなこともなかったです!」
不安に思うこと自体は自然なことですし、予算の上限を先に伝えておくだけで、提案の幅は現実的なところに収まります。遠慮して黙っているより、先に言ってしまうほうが結果的に話が早くなります。二つを同じ日に受ける場合の費用の考え方は複数の施術を同じ日に受けるときの費用でも整理しています。
順番と間隔の考え方
順番と間隔は、医療機関の方針によって説明が分かれる部分です。ここで断定することはできませんが、渡韓の計画を立てるときに考えておくべき軸は決まっています。
滞在日数から逆算する。 何日いられるのかによって、組める形が変わります。日程を先に伝えておくと、その中で成立する提案をしてもらえます。
帰国日との距離を考える。 処置のあとに注意事項が付くことがあります。帰国日に長い移動や屋外の予定が入っているなら、その前日に何を受けるかは考えどころになります。
次回があるかどうかを決めておく。 今回で完結させたいのか、次の渡韓に続ける前提なのかで、今回受けるべきものが変わります。次回の予定が未定であることも、伝えておいて損はありません。
当日の所要時間を先に聞く。 二つ組み合わせると、受付から会計までの時間は当然のびます。その日のほかの予定を入れる前に、目安を聞いておくと安全です。
カウンセリングで伝えると、話が早くなること
こちらから先に出しておくと、提案の質が上がる情報があります。順番に並べます。
| 伝えること | なぜ効くのか |
|---|---|
| 気になっている場所(鏡を見て指せる状態で) | 言葉での説明より速く、正確に伝わります |
| 滞在日数と帰国日 | 組める形がその場で絞られます |
| 予算の上限 | 提案が現実的な範囲に収まります |
| 今回で終える前提か、続ける前提か | 一回完結型と複数回型では方針が変わります |
| 過去に受けたことがあるか、そのときどうだったか | 同じことを繰り返さずに済みます |
| ダウンタイムをどこまで許容できるか | 帰国日や仕事の予定から逆算できます |
このうち、過去に受けたことがあるかは伝え忘れが多い項目です。日本で受けたことがある場合も含めて、いつごろ・何を受けたかを伝えておくと、話が具体的になります。
体験談の金額を、そのまま予算にしない
組み合わせの施術は、体験談に書かれている金額の幅がとくに大きくなります。理由ははっきりしていて、組み合わせの中身が人によって違うからです。同じ「リジュランとスキンボトックスを受けた」という一文でも、量が違い、単位が違い、範囲が違い、回数が違えば、金額が一致するほうが不思議です。
ですので、体験談を読むときは、金額そのものではなく、その金額に付いている条件を拾うようにしてください。条件が書かれていない金額は、残念ながら比較の材料にはなりません。
| 体験談で拾うとよい情報 | なぜ拾うのか |
|---|---|
| 書かれた時期 | 料金の設定も体制も変わります |
| 受けた内容の内訳 | 何と何を組み合わせたのかで金額が変わります |
| 量や単位の記載 | 数え方が分かってはじめて比べられます |
| 初回かどうか | 初回限定の条件だったかもしれません |
| 税込みか税別か | 表示の基準が違えば額も違います |
| 日本語で受けたかどうか | 条件の理解度が違ってきます |
こうして条件をそろえていくと、比べられる体験談は思ったより少ないということに気づくと思います。それでよいのです。数を集めるより、条件のそろった記録をいくつか見つけるほうが、判断の役に立ちます。
そして、いちばん条件のそろった記録は、ご自身の一回目になります。今回受けた内容を、量・単位・範囲・回数・総額・税の扱いまで含めて書き残しておけば、次回の渡韓では比較の基準として使えます。渡韓の回数を重ねるほど、この記録が効いてきます。
日本語では、どこまで確認できるのか

ここまで挙げてきた確認事項は、量、単位、範囲、回数、間隔、総額、税の扱い——どれも細かい数字と条件の話です。日常会話よりも一段むずかしい部類に入ります。
日本語対応には段階があります。予約の段階で、どの段階なのかを確かめておくことをおすすめします。
- 常勤の日本人スタッフや通訳がいる——量や単位の話まで、その場で詰められます
- 予約や受付までが日本語——カウンセリングや会計では通じないことがあります
- 翻訳アプリでの対応——大枠は伝わりますが、数字と条件の確認では取りこぼしが出やすくなります
実際に利用した方の記録には、この差がそのまま表れています。
「初めて利用しましたが、日本語対応できるスタッフが在籍しているため安心して施術を受けることができました。」
「流暢な日本語で案内していただき、当初予定していたよりも良いプランの提示をいただきました。」
二つ目の記録が示しているのは、言葉が通じると、提案の中身まで変わることがあるという点です。こちらの事情が正確に伝われば、それに合わせた組み立てが返ってきます。逆に、通じないまま進むと、無難な提案しか出てきません。予約の連絡で「カウンセリングと会計のときも日本語で確認できますか」と一言たずねる——ここが出発点になります。
よくある質問
Q. リジュランとスキンボトックスは、何が違うのですか。
どちらも注射という形は共通していますが、使われる製剤も、金額の数え方も違います。リジュランはポリデオキシリボヌクレオチドナトリウムという成分名で説明されることがあり、スキンボトックスはボツリヌス毒素の製剤で、韓国語では「보툴리눔」と表記されます。数え方も、量で数えるものと単位で数えるもので分かれます。
Q. 同じ日に両方受けられますか。
医療機関の方針とその方の状態によって変わりますので、一律には言えません。カウンセリングでは「同じ日にする場合と日を分ける場合で何が変わりますか」という聞き方をすると、理由まで説明してもらえます。渡韓の日程を先に見せておくと、その中で成立する形を提案してもらえます。
Q. 使われる製剤が韓国で認められたものか、自分で調べられますか。
調べられます。韓国の食品医薬品安全処が医薬品の承認一覧を公開しており、製品名や成分名で検索すると、製品名・企業名・承認番号・承認日まで表示されます。ただし、そこで分かるのは承認の有無までで、効果や適否を示すものではありません。
Q. 「単位」という言葉が出てきますが、どう考えればよいですか。
承認一覧では「50단위」「150단위」「200단위」のように、単位ごとに別の品目として登録されています。ですので、カウンセリングでは「何単位を使う前提の金額か」を確認しておくと、金額の比較ができるようになります。必要な単位数は状態によって変わりますので、そこは医師の説明で確認してください。
Q. 二つ合わせた金額を先に知ることはできますか。
それぞれの数え方が違うため、まず片方ずつの条件(量・単位・範囲・回数・製品・併用・初回価格かどうか・税の扱い)を確認し、そのうえで合計を出してもらうのが確実です。予約の連絡の段階で、麻酔やアフターケアを含めた総額を聞いておくことをおすすめします。
この記事で確認した資料
- 韓国の食品医薬品安全処が運営する医薬品情報の検索画面および承認一覧(製品名・成分名での検索結果)
- 実際に韓国の医療機関を利用した日本語話者の記録
※ 本記事は、公開されている資料の画面と、実際に利用した方の記録をもとに整理したものであり、診断や治療の助言ではありません。適した施術や量は一人ひとり異なります。実際の判断は、必ず医療機関でのカウンセリングでご確認ください。