「韓国で美容医療を受けたら、どうやって税金を返してもらうのですか」——手続きの方法を探している方に、まずお伝えしなければならないことがあります。
この還付制度の期限は、条文のうえでは2025年12月31日で切れています。 2026年8月31日時点で確認できる最新の条文にも、延長の規定は見当たりません。ですので、いま渡韓して手続きをしようとしても、受けられない状態です。
そのうえで、この記事では「どういう仕組みだったのか」を条文にそって書きます。制度がどう組み立てられていたかを知っておくと、今後もし延長された場合にすぐ動けますし、いまクリニックの案内を読むときにも、それが古い情報かどうかを見分けられるようになります。
先にお伝えしておくと、この記事は手続きの再現ではなく、仕組みの解説です。いま同じ手順を踏んでも還付は受けられません。それでも書いておく理由は、日本語で流れている「韓国の美容医療は免税になる」という情報の多くが、この仕組みがあった時期のまま止まっているからです。何がどう組み立てられていたのかを知っておけば、古い案内に出会ったときに、自分で判断できます。
制度の全体像
まず、根拠になっていた条文です。

この条文と、その下位の規則である施行令を合わせると、手続きは次の登場人物で回っていました。
| 登場人物 | 役割 |
|---|---|
| 外国人観光客 | 還付を受ける本人 |
| 特例適用医療機関 | 韓国の保健福祉部長官に登録した医療機関。ここで受けた施術だけが対象 |
| 還付窓口運営事業者 | 実際に税金を返す事業者。医療機関とは別 |
| 税務署 | 不正があった場合に医療機関から徴収する |
大事なのは、還付するのはクリニックではなく「還付窓口運営事業者」だったという点です。クリニックは書類を出す役で、お金を返す役は別の事業者でした。
条文に出てくる韓国語も、日本語と対応させておきます。案内文や書類で見かけたときに、意味がすぐ分かります。
| 韓国語の表記 | 日本語 | 何を指すか |
|---|---|---|
| 조세특례제한법 | 租税特例制限法 | 還付の根拠になっていた法律 |
| 부가가치세 | 付加価値税 | 日本の消費税にあたる税金 |
| 의료용역공급확인서 | 医療用役供給確認書 | 医療機関が発行していた書類 |
| 환급창구운영사업자 | 還付窓口運営事業者 | 実際にお金を返していた事業者 |
| 외국인관광객 | 外国人観光客 | 還付を受ける本人 |
この表の3つめ、医療用役供給確認書が手続きの中心にありました。これがなければ、ほかがそろっていても手続きは進みませんでした。
条文は残っていますが、期限が切れています
「廃止されたのですか」と聞かれることがあります。正確にはそうではありません。条文そのものは法律に残っていて、適用の期限だけが切れた状態です。
この制度は、もともと期限つきで始まり、期限が来るたびに延長されてきました。条文の末尾には、その改正の履歴が並んでいます。

6回にわたって改正されてきた条文が、いまは延長されないまま止まっています。ですので「もう二度と使えない」とも「まだ使えるはず」とも言えず、延長の改正が入っていない状態と書くのがいちばん正確です。この経緯は韓国の美容医療の免税はいつまでかにくわしくまとめました。
自分で条文を確認する方法
制度の話は、人づてに聞くほど古くなります。原文を自分で開けるようにしておくと、いつでも最新の状態を確かめられます。
まず、韓国の法令には「施行日」という日付がついています。開いた画面の上部に表示されますので、そこを最初に見てください。

法律の本体は大枠だけを決めていて、細かい条件は「施行令」という下位の規則に置かれています。こちらにも施行日があります。

確認の手順は、次の3つだけです。
- 施行日を見ます——いつ時点の条文を読んでいるのかを、最初に確かめます
- 期限の日付を探します——「까지」(まで)という語のうしろに日付があります
- 改正の履歴を見ます——条文の末尾に、これまでの改正日が並んでいます
韓国語のページですが、ブラウザの翻訳機能を使えば大意はつかめます。ただし日付と条番号は翻訳に頼らず、数字をそのまま読んでください。 ここだけは、翻訳の揺れに影響されない部分です。
手続きの流れ
施行令の条文には、流れがかなり細かく定められています。

条文から読み取れる流れを、順番に並べます。
- 登録された医療機関で施術を受ける——どのクリニックでもよいわけではありませんでした。韓国の保健福祉部に外国人患者の受け入れ機関として登録している医療機関に限られます。
- 医療機関が「医療用役供給確認書」を発行する——施術を提供したときに、この書類を本人に渡します。あわせて、還付窓口運営事業者へ電子的に送ることになっていました。
- 本人が還付窓口に確認書を提出する——ここに期限があります。施術を受けた日から3か月以内です。
- 還付窓口が本人に還付または送金する——この時点で本人にお金が戻ります。
- 還付窓口が医療機関に証明書を送る——還付した事実を証明する書類です。
- 医療機関が還付窓口に立て替え分を支払い、申告時に控除を受ける——ここは医療機関側の精算です。
利用する側から見ると、実質的にやることは「登録された医療機関を選ぶ」「確認書を受け取る」「3か月以内に還付窓口へ出す」の3つでした。
利用する側の作業と、裏側で動いていた作業を分けて並べると、こうなります。
| 段階 | 利用する側がやること | 裏側で動いていたこと |
|---|---|---|
| 施術の前 | 登録された医療機関かどうかを確かめる | — |
| 施術の当日 | 確認書を受け取る | 医療機関が確認書を発行し、還付窓口へ電子的に送る |
| 施術後3か月以内 | 確認書を還付窓口に出す | 還付窓口が本人へ還付または送金する |
| そのあと | — | 還付窓口が医療機関へ証明書を送り、医療機関が精算する |
表の右側は、利用する側からは見えない部分です。見えないところに手順が多いほど、途中で止まりやすくなります。 この制度で「もらった書類をなくした」「そもそも書類の存在を知らなかった」という話が出やすかったのは、この構造によるものと読めます。
見落とされやすかった条件が2つあります
ひとつ目は、医療機関の登録です。 外国人患者の受け入れ機関としての登録は、要件を満たして手続きをした医療機関だけが持っています。日本語の案内が充実しているクリニックでも、この登録があるとは限りません。「還付できますか」と直接聞くのがいちばん確実でした。
ふたつ目は、3か月という期限です。 施術を受けた日から3か月以内に還付窓口へ確認書を提出する必要がありました。渡韓して施術を受け、帰国してから手続きをしようとして、書類の存在に気づかないまま期限が過ぎてしまう、という流れが起こりやすい設計でした。
また、施行令には医療機関側への罰則にあたる規定もありました。事実と違う確認書を出した場合や、対象にならない施術で還付が行われた場合は、税務署がその医療機関から税額と加算税を徴収する、という内容です。制度を利用する側から見ると、医療機関が確認書の発行に慎重になる理由がここにあった、と読めます。
登録された医療機関かどうかは、いまでも調べられます
還付制度の期限は切れていますが、医療機関の登録という枠組みそのものは続いています。 外国人患者を受け入れる医療機関には登録の義務があり、その一覧は韓国の公式サイトで誰でも無料で検索できます。
登録の有無は、還付が使えるかどうかとは別に、外国人の受け入れ体制を行政に届け出ているかどうかの目安になります。調べ方は実際の画面つきで韓国の美容クリニックの登録を調べる方法にまとめました。1分ほどで終わります。
いま渡韓する方が実際にやること
制度が使えない状態である以上、やるべきことは手続きではなく、費用の確認に変わります。
表示価格が税込みかどうかを聞いてください。 韓国のクリニックの価格表示は税込みと税別が混在しています。以前は「あとで戻る」という前提がありましたが、いまはありません。
見積もりは総額で受け取ってください。 施術の単価だけでなく、麻酔代、アフターケアの薬代、追加が必要になった場合の費用まで含めて聞いておくと、比較がしやすくなります。
「免税されます」という案内を見たら、書かれた時期を確認してください。 制度があった時期のまま更新されていない記事や案内が残っています。
確認したい項目を、聞き方まで含めて並べます。
| 聞くこと | 日本語での言い方 | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 税の扱い | 「この金額に付加価値税は含まれていますか」 | 表示の仕方が、クリニックによって違います |
| 合計 | 「今日払う合計はいくらになりますか」 | 単価の足し算と合わないことがあります |
| 追加の可能性 | 「途中で追加になる可能性はありますか」 | 診察の結果で内容が変わることがあります |
| 麻酔・薬代 | 「麻酔やアフターケアの薬は別料金ですか」 | 別立てになっていることがあります |
| 支払い方法 | 「カードは使えますか」 | 現金のみという場面もあります |
| 明細 | 「明細をもらえますか」 | 帰国後に見返す材料になります |
とくに3つめが、あとから効いてきます。
「アクアピールで予約し診察した結果LDMも一緒にと勧められてうけたので料金が予定よりも高くなりましたが皆さんとても親切で施術も気持ちよく満足です。」
この方は納得されていますが、予定より高くなる場面自体は珍しくありません。 追加を勧められたときに、その場で「今日はここまでにします」と言えるかどうかで、支払う金額が変わります。
「他院は個数制限がありましたがこちらはないので追加料金気にせず安心して施術ができました。」
料金の組み立て方も、クリニックによって違います。数で決まるのか、時間で決まるのか、範囲で決まるのか。ここを先に聞いておくと、比べられるようになります。支払いの実務は韓国の美容クリニックの支払い方法に、価格の考え方は韓国の美容医療の価格にまとめました。
日本語では、どこまで確認できるのか
費用や税の話は、施術の説明よりも一段むずかしい話題です。日本語対応をうたっていても、その中身には幅があります。
- 常勤の日本人スタッフや通訳がいる——費用の内訳まで、その場で確認できます
- 日本語窓口が予約対応のみ——当日の会計では通じないことがあります
- 翻訳アプリ——金額の条件を詰める場面では行き違いが起きやすくなります
段階ごとに、費用の話がどこまで進むかを並べると、次のようになります。
| 段階 | 施術の説明 | 金額の内訳 | 追加を断る |
|---|---|---|---|
| 常勤の通訳・日本人スタッフ | 日本語 | 日本語で確認できます | その場で伝えられます |
| 通訳が予約制 | 予約した時間のみ | 会計の時間に通訳がいないことがあります | 難しい場面があります |
| 日本語の分かるスタッフが少しいる | 単語が中心 | 金額の数字は通じます | 理由まで伝えるのは難しくなります |
| 翻訳アプリ | アプリ越し | 数字は伝わります | 行き違いが起きやすくなります |
いちばん差が出るのは、右端の「追加を断る」です。金額を聞き取るだけならどの段階でもできますが、断る・保留する・持ち帰るという意思を伝えるには、それなりの段階が要ります。
「カウンセリングが日本語で対応してくれます!丁寧で、必要ないものは必要ないとはっきり伝えてくれます。料金も良心的で、日本人でも安心して来店できます。」
「日本から初めて利用させていただきました。予約もLINEからでき、日本語対応の、スタッフの方が親切にしてくれ不便もなく日本よりすごく安くできてよかったです。」
実際に利用された方の声にも、この差は出ています。
「日本語対応もかなり安心感があり、最初から最後まで日本語で問題ありませんでした」
「日本語が話せる方が多いのでスムーズで助かりました」
一方で、こうした声もあります。
「高い追加料金をお金払ったのに残念」
費用にかかわる行き違いは、あとから取り返しがつきません。予約の段階で「会計のときも日本語で確認できますか」と聞いておくことをおすすめします。日本語対応の見分け方は韓国の美容クリニックは日本語で受けられるかにまとめています。
よくある質問
Q. いま渡韓した場合、還付の手続きはできますか。
条文上の期限は2025年12月31日までとなっており、2026年8月31日時点で延長の規定は確認できません。したがって、現時点では手続きできない状態です。
Q. どのクリニックでも手続きできたのですか。
できませんでした。韓国の保健福祉部長官に登録した医療機関で受けた施術だけが対象でした。日本語対応の有無とこの登録は別のものです。
Q. 手続きの期限はどれくらいでしたか。
施術を受けた日から3か月以内に、医療用役供給確認書を還付窓口運営事業者に提出することとされていました。
Q. お金はクリニックから戻ってきたのですか。
いいえ。還付するのは「還付窓口運営事業者」で、クリニックとは別でした。クリニックは医療用役供給確認書を発行し、還付窓口へ電子的に送る役割でした。
Q. どの施術が対象だったのですか。
付加価値税が免除されない施術、つまり美容目的で課税される施術が対象でした。どの施術がそれにあたるかは韓国の肌管理や美容皮膚科は免税の対象だったのかで条文にそって整理しています。
Q. 制度が延長されたかどうかは、どこで分かりますか。
韓国の法令の原文にあたるのが確実です。条文の期限の日付と、末尾の改正の履歴を見てください。この記事の情報源に挙げた法令名と施行日が、確認の出発点になります。
Q. 医療用役供給確認書は、いまでももらえますか。
適用の期限が切れていますので、この書類を前提とした手続き自体が動いていません。案内で見かけた場合は、書かれた時期をご確認ください。
Q. 医療機関の登録は、いまも確認できますか。
できます。還付制度とは別に、外国人患者を受け入れる医療機関の登録の枠組みは続いています。調べ方は韓国の美容クリニックの登録を調べる方法にまとめました。
Q. 表示価格が税込みかどうかは、どこで分かりますか。
表示だけでは分からないことが多いので、カウンセリングの場で直接お聞きください。「この金額に付加価値税は含まれていますか」と聞けば伝わります。
この記事の情報源
韓国の国家法令情報センターで公開されている法令の原文を直接確認して書いています。掲載した画像はいずれもその原文の画面です。
- 租税特例制限法 第107条の3/2026年6月2日施行版(法律第21738号)
- 租税特例制限法施行令 第109条の3/2026年7月1日施行版(大統領令第36423号)
※ 本記事は2026年8月31日時点で確認できた条文にもとづく整理であり、税務上の助言ではありません。個別の手続きについては医療機関または税務の専門家にご確認ください。