「韓国で美容医療を受けると、税金が戻ってくると聞いた」——渡韓を考えている方から、いまいちばん多く聞かれるのがこの話です。そして最近は「もう終わったらしい」という情報も一緒に流れてきます。
結論から書きます。この制度の根拠となる韓国の法律の条文には、「2025年12月31日まで」と書かれています。 2026年8月31日時点で確認できる最新の条文にも、その日付がそのまま残っていました。つまり、いま渡韓して美容医療を受けても、この制度による還付は受けられない状態です。
ただし「廃止された」と書くのは正確ではありません。この期限は過去に6回、繰り返し延長されてきた経緯があります。そのあたりも含めて、法令の原文を実際に開いて確認した内容をそのまま載せます。
まず、条文の原文です
韓国の「租税特例制限法(조세특례제한법)」という法律の、第107条の3にあたる部分です。国家法令情報センターで公開されている原文の画面です。

この法律のなかに、外国人観光客が美容目的の医療を受けたときの付加価値税(日本の消費税にあたる税金)の還付について定めた条文があります。

黄色く示した部分が期限です。韓国語で「2025년 12월 31일까지」、日本語にすると「2025年12月31日まで」となります。この日までに提供を受けた医療について還付できる、という書き方です。
条文の趣旨を日本語で整理すると、次のようになります。
- 対象になるのは、韓国の保健福祉部長官に登録した医療機関で受けた医療である
- その医療機関で、2025年12月31日までに提供を受けたものが対象である
- 医療機関は「医療用役供給確認書」という書類を発行し、還付窓口の事業者に電子的に送る
- 還付を受けたい人は、医療を受けた日から3か月以内に、その確認書を還付窓口の事業者に提出する
「廃止」ではなく「延長されていない」状態です
ここが誤解されやすいところなので、丁寧に書きます。
先ほどの条文の画像をもう一度よく見ると、期限のうしろに改正の履歴が並んでいます。

2016年、2017年、2018年、2019年、2020年、2022年。6回にわたって改正されてきました。 この制度はもともと期限つきで始まり、期限が来るたびに延長されてきた、という性格のものです。
そして2022年12月31日の改正で「2025年12月31日まで」となり、その後、2026年8月31日時点で確認できる条文には、それ以上の延長が入っていません。
ですので、正確な言い方はこうなります。
※ 制度そのものが法律から削除されたわけではありません。条文は残っていますが、適用される期限が2025年12月31日で切れたまま、延長の改正が入っていない状態です。今後延長されるかどうかは、この記事の執筆時点では分かりません。
「終わった」という情報も、「まだあるはず」という情報も、どちらもこの状態の一面を見て言っているものだと考えられます。
誰が対象だったのか(施行令の原文)
法律の本体は大枠だけを決めて、細かい条件は「施行令」という下位の規則に任せています。そちらも確認しました。


読み取れる条件を整理します。
| 項目 | 条文で定められていた内容 |
|---|---|
| 対象になる人 | 「外国人観光客等に対する付加価値税及び個別消費税特例規程」で定める外国人観光客 |
| 対象になる医療機関 | 医療海外進出および外国人患者誘致支援に関する法律にもとづき登録した医療機関 |
| 対象になる医療 | 付加価値税が免除されない医療、つまり美容目的で課税対象になる施術 |
| 経路 | 登録した誘致業者が案内した場合/本人が直接その医療機関を訪れた場合 |
| 必要書類 | 医療用役供給確認書 |
| 期限 | 医療を受けた日から3か月以内に還付窓口へ提出 |
ここで大事なのは、どの医療機関でも対象になったわけではないという点です。韓国の保健福祉部に「外国人患者の受け入れ機関」として登録している医療機関に限られていました。この登録は誰でもできるものではなく、要件を満たして手続きをした医療機関だけが持っています。
もうひとつ、対象は「付加価値税が免除されない医療」でした。韓国では治療目的の医療には付加価値税がかかりませんが、美容目的の施術には課税されます。この課税される分について還付する、という組み立てでした。
いま渡韓を考えている方が、実際に気をつけること
制度が使えない状態である以上、費用の見方を切り替えたほうが安全です。
表示価格が税込みかどうかを、必ず確認してください。 韓国のクリニックの価格表示は、税込みのところと税別のところが混在しています。以前は「あとで還付されるから」と考える余地がありましたが、いまはその前提が使えません。カウンセリングの場で「この金額は付加価値税を含みますか」と一言確認するだけで、想定外の差を防げます。
「免税されます」という案内を見かけたら、時期を確かめてください。 日本語で書かれた案内記事のなかには、制度があった時期に書かれたまま更新されていないものが残っています。書かれた日付が2025年より前であれば、いまの状況とは違う可能性があります。
見積もりは総額で受け取ってください。 施術ごとの単価だけでなく、麻酔代、アフターケアの薬代、再診が必要な場合の費用まで含めた総額を聞いておくと、比較がしやすくなります。
日本語では、どこまで確認できるのか
この記事を読んでいる方がいちばん不安なのは、「そもそもこういうことを現地で日本語で聞けるのか」という点だと思います。
費用や税の話は、施術の説明よりも一段むずかしい話題です。日本語対応をうたっているクリニックでも、対応の中身には幅があります。
- 常勤の日本人スタッフや通訳がいる——費用の内訳や税の扱いまで、その場で確認できます
- 日本語ができる相談窓口が予約対応のみ——当日の会計の場では通じないことがあります
- 翻訳アプリで対応——施術の説明はできても、金額の条件を詰める場面では行き違いが起きやすくなります
実際に韓国のクリニックを利用した方の声にも、この差ははっきり出ています。
「日本語が通じるので安心してカウンセリングや施術を受けられました」
「日本語対応もかなり安心感があり、最初から最後まで日本語で問題ありませんでした」
一方で、こういう声もあります。
「説明がないまま」
「高い追加料金をお金払ったのに残念」
費用にかかわる話は、あとから取り返しがつきません。予約の段階で「会計のときも日本語で確認できますか」と聞いておくことをおすすめします。この一言に対する答え方で、そのクリニックの日本語対応がどの段階までのものか、かなり分かります。
よくある質問
Q. 2026年に渡韓した場合、還付は受けられますか。
条文上の期限は2025年12月31日までとなっており、2026年8月31日時点で確認できる最新の条文にも延長の規定は見当たりません。したがって、現時点では受けられない状態です。
Q. 制度は完全になくなったのですか。
条文そのものは法律に残っています。ただし適用の期限が切れたまま、延長の改正が入っていない状態です。この制度は2016年から2022年まで6回延長されてきた経緯があるため、今後どうなるかは現時点では分かりません。
Q. 2025年12月31日までに受けた施術なら、いまからでも還付を申請できますか。
条文では、医療を受けた日から3か月以内に還付窓口の事業者へ医療用役供給確認書を提出することとされています。2025年内の施術であれば、この3か月はすでに過ぎている計算になります。個別の事情については、施術を受けた医療機関に直接お問い合わせください。
Q. 空港で買い物をしたときの免税とは違うものですか。
違います。買い物の免税や還付は別の制度にもとづくもので、ここで説明しているのは医療を受けた場合の付加価値税の還付についての規定です。
Q. どの施術が対象だったのですか。
施行令では「付加価値税が免除されない医療」と定められていました。韓国では治療目的の医療には付加価値税がかからず、美容目的の施術には課税されます。この課税される施術が対象という組み立てでした。個別の施術がどちらにあたるかは、医療機関の判断によります。
この記事の情報源
この記事の内容は、韓国の国家法令情報センターで公開されている法令の原文を直接確認して書いています。掲載した画像は、いずれもその原文の画面です。
- 租税特例制限法 第107条の3/2026年6月2日施行版(法律第21738号)
- 韓国語の条文名:「외국인관광객 미용성형 의료용역에 대한 부가가치세환급 특례」
- 租税特例制限法施行令 第109条の3/2026年7月1日施行版(大統領令第36423号)
- 韓国語の条文名:「외국인관광객 미용성형 의료용역에 대한 부가가치세 환급 특례」
※ 本記事は2026年8月31日時点で確認できた条文にもとづく情報の整理であり、税務上の助言ではありません。制度は改正される場合があります。実際の手続きや個別の判断については、医療機関または税務の専門家にご確認ください。