「クリニックで受けた分の免税は、帰りの空港でやればいいのですか」——渡韓を控えた方から、この質問をよくいただきます。買い物をしたときに空港のカウンターで手続きをした経験があると、医療の分も同じ場所でできるように思えてしまいます。
結論から書きます。韓国の法令の条文を確認したかぎり、医療を受けたときの付加価値税(日本の消費税にあたる税金)の還付は、買い物の還付とは経路が違う組み立てでした。 空港のカウンターにその書類を持って行けば完結する、という形ではありません。
さらに現在は、この制度の根拠となる条文に書かれた適用の期限が、2025年12月31日で止まったままになっています。2026年8月31日時点で確認できる条文にも、延長の規定は見当たりませんでした。以下、条文の原文を実際に開いて確認した内容と、そのうえで空港での過ごし方をどう考えればよいかを整理します。

「免税」という言葉が、三つの違うものに使われています
まず、この言葉の使われ方を分けます。ここが混ざったままだと、空港で何をすればよいのかが決まりません。
| 呼び方 | 何のことか | 手続きの場所 |
|---|---|---|
| 店頭での免税 | 買い物のときに、その場で税を引いてもらう形 | お店の会計の場 |
| 購入後の還付 | 買い物のあとに、書類を使って税の還付を受ける形 | お店で書類を受け取り、所定の窓口へ |
| 医療の還付 | 美容を目的とした医療を受けたときの付加価値税の還付 | 医療機関と還付の窓口の事業者を経由 |
三つめだけが、まったく別の制度です。根拠となる条文も別で、必要な書類も別で、経路も別でした。この記事で扱うのは三つめだけです。一つめと二つめについては、本記事では条文を確認しておりませんので、扱いません。
この混同が起きやすいのには理由があります。日本語では、どれも「免税」の一語で呼ばれてしまうからです。値引きのことを免税と言う場面もあれば、税の還付の手続きのことを免税と言う場面もあります。案内の文章を読むときも、会計の場で説明を受けるときも、その言葉がどれを指しているのかを一度置き換えてみると、話が通りやすくなります。
クリニックの窓口で「免税」という言葉を聞いたときに、この三つのどれを指しているのかを一度確かめると、あとの行き違いが減ります。その場での確かめ方は会計前に区別したいことにまとめています。
医療の還付は、条文ではこういう流れでした
韓国の「租税特例制限法」という法律の第107条の3、およびその施行令の第109条の3に、外国人観光客が美容を目的とした医療を受けた場合の付加価値税の還付について定めた規定があります。

条文から読み取れる流れを、順番に並べます。
- 対象になるのは、韓国の保健福祉部長官に登録した医療機関で受けた医療でした
- 対象になる医療は、付加価値税が免除されない医療、つまり美容を目的として課税の対象になる施術でした
- 医療機関が「医療用役供給確認書」という書類を発行し、還付窓口の事業者へ電子的に送ることになっていました
- 還付を受ける方は、医療を受けた日から3か月以内に、その確認書を還付窓口の事業者に提出することとされていました
この四つを見ていただくと分かるのですが、手続きの起点は医療機関であって、空港ではありません。 書類は医療機関が発行し、電子的に送られます。そして提出の期限も「医療を受けた日から3か月以内」と、出国の日ではなく施術の日から数えられていました。
二つめの条件についても補足します。対象は「付加価値税が免除されない医療」でした。韓国では、治療を目的とする医療には付加価値税がかかりませんが、美容を目的とした施術には課税されます。この課税される分について還付する、という組み立てでした。つまり、還付の対象になる施術は、そもそも課税されている施術に限られていた、ということになります。
手続きの詳しい流れについては還付の流れの整理に別途まとめています。
だから、空港で完結する話ではありませんでした
買い物の還付は、お店で書類を受け取って、決められた窓口で手続きをする形が知られています。この形を医療にも当てはめてしまうと、「空港のカウンターに行けばよい」という理解になります。
けれども条文の組み立ては違いました。医療の場合は、医療機関がその医療機関として登録されていることが前提にあり、書類の発行も医療機関が行い、その先も還付窓口の事業者を経由する形でした。空港という場所は、条文のどこにも手続きの中心として出てきません。
ですから、次のように整理しておくと安全です。
- 空港に着いてから、クリニックの分を何とかしようとしても、その場では始められませんでした
- 起点は施術を受けた医療機関であり、確認していただくべき相手も医療機関でした
- 出国の日ではなく、施術の日を起点にした期限が置かれていました
そもそも、その医療機関が対象になる登録をしているかどうかも、あらかじめ確認できる情報でした。次の項でご説明します。
「対象になる医療機関」は、あらかじめ確認できました
条文の一つめの条件をもう一度見てください。対象になるのは、韓国の保健福祉部長官に登録した医療機関で受けた医療でした。つまり、どの医療機関で受けても対象になったわけではありません。
この登録は、外国人患者の受け入れについて定めた韓国の法律にもとづくもので、要件を満たして手続きをした医療機関だけが持っています。そして、登録した機関の一覧は公開されており、日本にいながら無料で検索できます。

制度が使えない状態のいまでも、この確認には意味があります。登録しているかどうかは、外国人の受け入れについて手続きを済ませているかどうかを示す、公開された事実だからです。免税とは切り離して、渡韓前の確認の一つとしてお使いいただけます。
空港に着くまでに、手元にそろえておくもの
免税の手続きがない前提でも、帰国のときに手元にあると安心なものがあります。三つだけ挙げます。
| そろえておくもの | なぜ必要か |
|---|---|
| 施術の明細(何を、いくらで受けたか) | 帰国後に確認が必要になったときの元になります |
| 施術後のケアについての案内 | 移動中や帰国後の過ごし方の判断に使います |
| 連絡先(医療機関の窓口) | 気になることが出たときに問い合わせられます |
一つめは、その場で受け取れることがほとんどです。二つめは口頭での説明になることがありますので、聞いた内容をその場でメモに残しておくと確実です。三つめは、予約のときに使った連絡の経路をそのまま残しておけば足ります。
空港で慌てる原因の多くは、手続きそのものではなく「何かやり残していないか」という不安です。この三つがそろっていれば、その不安はかなり小さくなります。
そして、条文の期限は2025年12月31日で止まっています
ここまでは「制度があった時期にはどうだったか」という話です。現在の状況も書きます。
条文に書かれた適用の期限は「2025年12月31日まで」です。2026年8月31日時点で確認できる最新の条文にも、この日付がそのまま残っており、延長の規定は見当たりませんでした。

ただし「廃止された」と書くのは正確ではありません。条文そのものは法律に残っています。この制度はもともと期限つきで始まり、2016年から2022年まで6回にわたって延長されてきた性格のものです。いまは、期限が切れたまま延長の改正が入っていない状態にあたります。今後どうなるかは、この記事の執筆時点では分かりません。
より詳しい経緯は条文で確認した免税の現状にまとめていますので、あわせてご覧ください。
空港で慌てないために、渡韓中にしておくこと
制度が使えない状態である以上、空港でできることはほとんどありません。そのぶん、渡韓中にやっておくことをはっきりさせておいたほうが、帰りが楽になります。
ひとつめは、会計の場で税の扱いを確認しておくことです。 表示されている金額が税を含むのかどうかを、支払う前に一言確認します。韓国のクリニックの価格表示は、税込みのところと税別のところが混在しています。
ふたつめは、明細を受け取っておくことです。 何をいくらで受けたのかが残っていれば、あとから確認が必要になったときにも困りません。支払いの手段や領収書の扱いについては支払い方法の整理にまとめています。
みっつめは、空港での時間を、免税の手続きに充てる前提で組まないことです。 医療の分については、その場でできることがありません。出発の時間配分は、通常どおりお考えください。
なお、渡韓の最終日に施術を入れる場合は、税の話とは別の理由で余裕を見ておいたほうが安心です。赤みが出る前提の施術であれば、移動の時間や機内での過ごし方に影響します。施術のあとに気をつけることは、その場で説明していただけますので、聞いた内容をメモに残しておいてください。空港に着いてから思い出そうとすると、たいてい細かいところが抜けます。
費用の見方を、還付のない前提に切り替えます
以前は「あとで戻ってくる分がある」と考える余地がありました。いまはその前提が使えません。ですから、見積もりの受け取り方を変えたほうが安全です。
| 確認する項目 | なぜ確認するのか |
|---|---|
| 表示は税込みか税別か | 最終の支払額が変わります |
| 何回ぶんの案内か | 一回の案内と複数回の案内では前提が違います |
| どの範囲・部位か | 範囲によって金額の前提が変わります |
| 照射数や薬剤の量 | 数で決まる施術は、ここが総額に効きます |
| 初回だけの案内か | 二回目以降は前提が変わることがあります |
| 麻酔やケアの費用が含まれるか | 別立てになっている場合があります |
この六つをそろえたうえで総額を聞いておけば、会計の場での驚きはほとんどなくなります。どれも難しい質問ではありませんので、相談の最後にまとめてお尋ねください。
実際、説明を丁寧に受けられたという声は多くあります。
「本日、シミ取りしてきました。スタッフの皆さんみんな優しい方で、相談にものってくれて施術後のケアをわかりやすく教えてくださいました。また韓国に来た時は必ず来ます。」
「広い綺麗なクリニックで優しく対応してくれました。施術終わってリフティングの効果もすぐ出そうでまた来たいです。#DAYBEAU#KOREAN CLINIC #MYEONGDONG2#LIFTING#BOTOX」
説明を受けられる環境であれば、税の扱いについても同じように聞けます。聞きにくさを感じる必要はありません。実際、費用や税について質問することは、韓国の医療機関でも珍しいことではありません。外国から来られた方を日常的に受け入れている場所であれば、こうした質問には慣れていらっしゃいます。
むしろ、聞かずに帰ってから気づくほうが困ります。会計の場は、その日のうちに確認できる最後の機会です。金額の内訳と、税の扱いと、次に受けるとしたらいつごろかという三点だけは、その場で確かめておくことをおすすめします。
日本語では、どこまで確認できるのか
費用や税の話は、施術の説明よりも一段むずかしい話題です。日本語対応をうたっている場合でも、どの段階まで日本語で通じるかには幅があります。
- 常勤の日本人スタッフや通訳がいる場合——費用の内訳も、税の扱いも、その場で日本語で確認できます
- 日本語の窓口が予約対応だけの場合——当日の会計の場では通じないことがあります
- 翻訳アプリで対応する場合——施術の説明はできても、金額の条件を詰める場面では行き違いが起きやすくなります
金額にかかわる話は、あとから取り返しがつきません。予約の段階で「会計のときも日本語で確認できますか」と聞いておくことをおすすめします。この一言への答え方で、その医療機関の日本語対応がどの段階までのものか、かなり分かります。
「#ppeummyeongdong
#globalmyeongdong
ピーリングをしました!綺麗な内装、
清潔なトイレや洗面台、丁寧な接客でとても満足できました!
日本語を話せるスタッフの方が
何人もいらっしゃるので、
日本人でも安心です!」
日本語を話せる方が複数いらっしゃる場合、会計の場面でも同じように対応していただける可能性が高くなります。人数まで書かれている口コミは、この点を判断するのに役立ちます。
よくある質問
Q. 空港のカウンターで、クリニックで受けた分の還付は受けられますか。
条文で定められていた医療の還付は、医療機関が確認書を発行し、還付窓口の事業者を経由する組み立てでした。空港が手続きの中心として条文に出てくることはありません。加えて、条文上の適用の期限は2025年12月31日までとなっており、2026年8月31日時点で延長の規定は確認できませんでした。
Q. 買い物の免税と、医療の還付は同じ手続きですか。
別のものです。根拠となる制度も、必要な書類も異なります。この記事で扱っているのは、美容を目的とした医療を受けた場合の付加価値税の還付についての規定のみです。買い物についての制度は、本記事では確認しておりません。
Q. 空港での手続きに時間を取られないためには、何を確認しておけばよいですか。
医療の分については、その場でできることがありません。渡韓中に、会計の場で表示金額が税込みかどうかを確認し、明細を受け取っておいてください。出発の時間配分は通常どおりお考えいただいて差し支えありません。
Q. クリニックで「免税」と言われました。どういう意味でしょうか。
言葉が三つの違うものに使われていますので、その場で確かめられることをおすすめします。「それは価格の割引という意味ですか、それとも税の還付の手続きのことですか」と聞くと、はっきりします。金額に関わる話ですので、遠慮なくお尋ねください。
Q. 2026年に渡韓した場合はどうなりますか。
条文上の期限は2025年12月31日までとなっており、2026年8月31日時点で確認できる最新の条文にも延長の規定は見当たりませんでした。したがって、現時点ではこの制度による還付は受けられない状態にあたります。表示価格が税込みかどうかを、支払いの前にご確認ください。
※ 本記事は2026年8月31日時点で確認できた条文にもとづく情報の整理であり、税務上の助言ではありません。制度は改正される場合があります。実際の手続きや個別の判断については、医療機関または税務の専門家にご確認ください。