「韓国のクリニックのメニュー表に『기미』と書いてあったのですが、これはシミのことでしょうか」——渡韓を考えている方から、この形のご質問をよくいただきます。似た質問で「『잡티』と『기미』は違うものですか」と聞かれることもあります。
結論から申し上げると、日本語の「シミ」にあたる韓国語はひとつではありません。 見え方や成り立ちによって、いくつもの言葉が使い分けられています。そしてカウンセリングの席では、その使い分けがそのまま提案の中身につながっていきます。
翻訳アプリに通すと、どの言葉もまとめて「シミ」と出てくることがあります。日本語としては間違っていないのですが、それだと元の言葉が持っていた区別が消えてしまいます。この記事では、韓国の公的な文書に実際に出てくる表記を見ながら、どの言葉が何を指しているのかを整理します。

「シミ」にあたる韓国語は、ひとつではありません

まず、よく出てくる言葉を並べます。読み方は、おおよその目安としてお考えください。
| 韓国語 | おおよその読み方 | 日本語で近い言い方 |
|---|---|---|
| 기미 | キミ | シミ。とくに輪郭のぼやけた、広がりのあるものを指して使われることが多い言葉です |
| 주근깨 | チュグンケ | そばかす |
| 잡티 | チャプティ | 細かいものやくすみを、まとめて指すときの言い方です |
| 흑색점 | フクセクチョム | 黒色点。輪郭のはっきりした小さなものを指す言い方です |
| 색소모반 | セクソモバン | 色素母斑 |
| 색소침착 | セクソチムチャク | 色素沈着 |
| 검버섯 | コムボソッ | 年齢とともに出てくるものを指して使われる言い方です |
ここで大事なのは、これらが「同じものの言い換え」ではないという点です。カウンセリングで「기미ですね」と言われた場合と「잡티が多いですね」と言われた場合では、そのあとに続く話が変わります。
なお、それぞれがどの状態にあたるのかという医学的な判断は、この記事では扱えません。肌を見て判断するのは医師の仕事です。ここで整理しているのは、あくまで言葉のほうの対応です。
法令の条文でも、四つの言葉が並べて書かれています
言葉が使い分けられていることは、韓国の公的な文書からも確認できます。
冒頭に載せた画像は、韓国の付加価値税法施行令の条文です。黄色く示された部分の冒頭に、こう書かれています。
「색소모반 · 주근깨 · 흑색점 · 기미 치료술」
色素母斑・そばかす・黒色点・기미の治療術、という並びです。四つが中黒で区切られて、別々の言葉として並んでいます。 そのうしろには「여드름 치료술」(ニキビ治療術)、「피부미백술」(皮膚美白術)、「피부재생술」(皮膚再生術)、「모공축소술」(毛穴縮小術)といった施術名が続きます。
法律の条文でわざわざ四つを書き分けているということは、韓国語の側でこの区別が生きているということです。翻訳アプリでまとめて「シミ」と出てきたときに、元の文にどれが書かれていたのかを見ておくと、話が正確になります。
ちなみにこの条文は、税金の扱いを定めたものです。美容を目的とした施術として並んでいる、という文脈で書かれています。ここで確認していただきたいのは税の話ではなく、公的な文書のなかでも四つの言葉が別々に扱われているという事実のほうです。日本語の記事のなかには、これらをまとめて「シミ」と書いているものが少なくありません。悪意があるわけではなく、日本語にすると同じ言葉になってしまうからです。
シミに対して韓国でどんな施術が提案されるのかについては韓国のシミ取りに整理していますので、施術そのものを知りたい方はそちらをご覧ください。
メニュー表に出てくる、施術のほうの言葉
肌の状態を表す言葉が分かったら、次はメニュー表の言葉です。こちらは数が少ないので、覚えやすいと思います。
| 韓国語 | おおよその読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 시술 | シスル | 施術 |
| 레이저 | レイジョ | レーザー |
| 토닝 | トニン | トーニング |
| 미백 | ミベク | 美白 |
| 재생 | ジェセン | 再生 |
| 부위 | プウィ | 部位 |
| 회 | フェ | 回(回数の単位) |
| 부가세 | プガセ | 付加価値税の略 |
メニュー表で金額の横に「1회」と書かれていれば1回あたり、「5회」と書かれていれば5回分という意味です。ここを読み違えると、桁がずれて見えます。
「부가세 별도」と書かれていれば付加価値税は別、「부가세 포함」と書かれていれば込みという意味です。この二語を拾えるかどうかで、表示価格の受け取り方が変わります。 価格の条件をそろえる話はシミ取りの価格は何で変わるのかにまとめています。
薬や注射の名前は、韓国語の成分表記で確認できます
カウンセリングで薬や注射の話が出たとき、名前だけを聞いても判断がつきません。ただ、韓国語の成分名が分かれば、公的な仕組みで確認する道があります。

この画面は、韓国の食品医薬品安全処が公開している医薬品の一覧を、成分名の韓国語表記で検索した結果です。列の見出しは左から「제품명」(製品名)、「업체명」(企業名)、「허가번호」(承認番号)、「허가일」(承認日)となっています。
ここから読み取れるのは、同じ成分でも、製品名は複数あるということです。ですから、カウンセリングで出てきた名前が製品の名前なのか成分の名前なのかを分けて聞いておくと、あとで調べるときに迷いません。
聞き方は、次の形が短くて済みます。
- 「これは成分の名前ですか、製品の名前ですか」
- 「成分の名前を、韓国語で書いていただけますか」
書いてもらった韓国語をそのまま検索窓に入れれば、承認の有無まで自分で確認できます。名前が製品のものか成分のものかを分けておくだけで、調べられる範囲がぐっと広がります。
カウンセリングでそのまま使える、短い言い方

長い文章は必要ありません。短い言い方を三つ四つ持っておくだけで、伝わり方が変わります。
| 伝えたいこと | 韓国語 |
|---|---|
| このシミが気になります | 이 기미가 신경 쓰여요 |
| 何回受ける必要がありますか | 몇 번 받아야 하나요? |
| かさぶたはできますか | 딱지가 생기나요? |
| 痛いです。少し休ませてください | 아파요. 잠깐 쉬어도 될까요? |
| この金額に付加価値税は含まれていますか | 이 금액에 부가세 포함인가요? |
| 日本語ができる方はいらっしゃいますか | 일본어 하시는 분 계세요? |
発音に自信がなくても、画面に表示して見せるだけで通じます。むしろ、書いて見せるほうが確実です。
実際に受けた方の記録にも、質問への答え方が丁寧だったことを挙げている声が多く残っています。
「質問しても丁寧に答えてくださり、施術中も何か質問があれば丁寧に対応していただきました。」
「細かく要望を聞いてから施術してくれるので安心です。また来たいと思いました。」
言葉が通じるかどうかより、言葉を受け取ってもらえる場かどうかのほうが、体験の差になっているように見えます。渡韓前に用意しておく言葉は渡韓前に用意しておく言葉にまとめています。
呼び方が変わると、話の進み方も変わります
言葉の区別にこだわる理由は、それが実務につながっているからです。
たとえば、輪郭のぼやけた広がりのあるものとして「기미」と呼ばれた場合と、輪郭のはっきりした小さなものとして「흑색점」と呼ばれた場合とでは、そのあとに続く話の組み立てが変わってきます。面として全体を整えていく話になるのか、点として個別に扱う話になるのかで、回数の考え方も、当日の所要時間も、帰国後の過ごし方も変わるからです。
もちろん、どう呼ぶか、どの方向で進めるかを決めるのは医師です。ただ、その場で使われた言葉を控えておくかどうかは、受ける側にできることです。控えてあれば、別の日に別のところで相談したときに、話が最初からになりません。
聞き方は難しくありません。「いま言われた言葉を、韓国語で書いていただけますか」と一言お願いするだけです。書いてもらった韓国語は、そのまま検索にも使えますし、次のカウンセリングでも使えます。
翻訳アプリを使うときに、ずれやすいところ
便利ですが、癖があります。三つだけ知っておくと安全です。
ひとつめは、複数の言葉がひとつに丸まることです。 先ほどの「기미」「잡티」「색소침착」は、どれも「シミ」や「色素沈着」と出てくることがあります。訳文だけを見ていると、区別が消えます。元の韓国語を控えておくと、あとから調べ直せます。
ふたつめは、商品名やブランド名を訳してしまうことです。 名前は訳す対象ではありませんので、訳文が不自然なときは、その部分は名前だと考えてください。
みっつめは、数字と単位の周りです。 「회」(回)や「부위」(部位)が抜けて訳されると、金額の意味が変わってしまいます。数字の前後は、訳文ではなく元の表記を見るようにしてください。
もうひとつ、音声で訳す機能を使うときの注意があります。クリニックの室内は、機器の音や空調の音が入ることがあります。マイクが拾いきれないと、途中の言葉が抜けたまま訳されます。抜けたことに気づかないまま話が進むのがいちばん困りますので、大事な確認は音声ではなく、画面に文字で出して見せるほうが安全です。金額と回数の確認は、とくにそうしていただきたいところです。
言葉を記録として持ち帰ると、二回目が早くなります
渡韓で肌の相談をされる方の多くは、一度で終わりにしません。二回目からを楽にするために、次の五つだけ書き留めておくことをおすすめします。
| 記録するもの | 具体的に | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 呼ばれた言葉 | 「기미」「잡티」など、韓国語のまま | 次の相談で、同じ前提から始められます |
| 施術の名前 | メニュー表の韓国語表記 | 同じ名前でも中身が違うことがあるためです |
| 回数と部位 | 「몇 회」「어느 부위」 | 金額の前提がここで決まります |
| 次の時期 | いつごろ、と言われたか | 日程の組み立てに直結します |
| 使われたもの | 薬や注射があれば、その名前 | 成分名が分かれば、あとから確認できます |
書くのが大変であれば、メニュー表と説明の紙を写真に撮っておくだけでも十分です。韓国語のまま残しておくのがコツです。日本語に訳して書き留めると、先ほどの「丸まる」現象がここでも起きてしまいます。
クリニックを調べるときにも、韓国語の名前が要ります
韓国語の言葉は、施術の場だけでなく、事前に調べる場面でも使います。

これは、外国から来た方の受け入れ登録をした医療機関を照会する画面です。入力欄に入っている「피부과」は皮膚科という意味です。この画面は韓国語だけで作られていますので、調べるには韓国語の名前が必要になります。
日本語の記事やSNSで見かけた名前は、日本語表記やカタカナ表記になっていることがあります。その場合、韓国語の正式名称をどこかで確認しないと、この画面では探せません。照会の手順そのものは受け入れ登録を調べる方法に画面つきでまとめています。
日本語では、どこまで確認できるのか
ここまで韓国語の話を書いてきましたが、実際には「日本語だけでどこまでいけるのか」が、いちばん知りたいところだと思います。現地から見た範囲で、正直に書きます。
予約の段階は、日本語だけで進むことが多いです。 日本語の問い合わせ窓口を持っているところは増えています。
カウンセリングの席は、クリニックによって差が大きい部分です。 日本語ができるカウンセラーの方がいる場合と、通訳の方が入る場合と、翻訳アプリで進める場合があります。肌の状態をどう呼ぶかという細かい話は、この席で出てきます。ここで言葉が届かないと、「シミ」とだけ言われて終わってしまい、どの言葉で呼ばれていたのかが分からないまま進みます。
「通訳のイムソヒさんがとても丁寧で親切でした!」
「日本語も上手方がたくさんいらっしゃいます!」
施術中と会計は、また別の段階です。 途中で痛みを伝えたり、金額の条件を確認したりする場面が残っています。
予約のときに「カウンセリングのときに、肌の状態を日本語で説明していただけますか」と一言入れておくと、どの段階まで日本語が届くのかが分かります。答え方そのものが情報になります。
よくある質問
Q. 「기미」は日本語の「シミ」と同じ意味ですか。
日本語の「シミ」に近い言葉ですが、完全に同じではありません。韓国語では「기미」のほかに「잡티」「흑색점」「색소침착」などが使い分けられています。カウンセリングでどの言葉が使われたのかを控えておくと、あとで調べ直すときに役立ちます。
Q. 「잡티」と言われました。どういう意味でしょうか。
細かいものやくすみをまとめて指すときによく使われる言い方です。どの状態にあたるのかという判断は、肌を見た医師が行うものですので、この記事では申し上げられません。気になる場合は、その場で「どの部分を指していますか」と聞いて、鏡で示してもらうのが確実です。
Q. 韓国語が読めなくても、メニュー表は理解できますか。
数字と単位が読めれば、かなりのところまで進みます。「회」(回)、「부위」(部位)、「부가세 포함」(付加価値税込み)、「부가세 별도」(付加価値税別)の四つを拾えると、表示価格の意味がずれにくくなります。
Q. 翻訳アプリだけでカウンセリングを受けても大丈夫でしょうか。
説明を受けるところまでは進みます。ただし、肌の状態を表す言葉が丸まって訳されることがあるため、区別が消えやすい点には注意が必要です。可能であれば、通訳の方が入る時間帯を選んで予約されることをおすすめします。
Q. 施術名の韓国語も覚えたほうがよいですか。
すべて覚える必要はありません。「시술」(施術)、「레이저」(レーザー)、「토닝」(トーニング)が読めれば、メニュー表の大枠はつかめます。個別の施術名は、その場で書いてもらって写真に撮っておくほうが確実です。
この記事の情報源
この記事に掲載した画像は、いずれも韓国の公的なサイトの画面を直接確認して撮影したものです。
- 付加価値税法施行令 第35条/美容目的の診療として列挙されている施術の部分
- 条文中の表記:「색소모반 · 주근깨 · 흑색점 · 기미 치료술」ほか
- 韓国 食品医薬品安全処が公開している医薬品の承認一覧/成分名「트라넥삼산」での検索結果
- 韓国保健産業振興院が運営するサイトの「유치기관 현황조회」の入力画面
※ 本記事は2026年8月31日時点で確認できた情報にもとづく、言葉の対応についての整理です。診断や治療についての助言ではありません。肌の状態がどれにあたるかの判断は医師が行うものですので、実際の判断は医療機関にご確認ください。