渡韓して肌管理を受けようと決めたとき、多くの方が最初にすることは「いくらかかるのか」を調べることだと思います。ところが、調べれば調べるほど金額の幅が広がって、結局いくら用意すればいいのか分からなくなる——という声をよく聞きます。
理由ははっきりしています。韓国の肌管理は、施術名だけでは金額が決まらないからです。 回数、照射の数、薬剤の量、部位の範囲、初回価格かどうか、税込みかどうか。この条件がそろってはじめて一つの金額になります。条件がばらばらの数字をいくら集めても、自分の予算にはなりません。
ですので、この記事では金額の目安を書きません。代わりに、予算という「箱」をどう組み立てるかを書きます。箱の形が決まっていれば、カウンセリングで出てきた見積もりがその箱に入るかどうかを、その場で判断できます。金額を先に決めるのではなく、配分を先に決める、という考え方です。

予算は「総額の上限」ではなく、4つの配分で考えます
「十万円くらい」と総額だけを決めて渡韓すると、当日にほぼ確実に迷います。その金額のうち、どこまでが施術に使えるお金なのかが決まっていないからです。
先に、四つに分けてください。
| 配分 | 内容 | 決め方 |
|---|---|---|
| ①施術費 | 実際に受ける施術そのものの費用 | 予算の中心。ここだけを「予算」と呼ばないようにします |
| ②予備費 | 当日に内容が変わったときのための余白 | ①とは別に、あらかじめ取り分けておきます |
| ③移動と滞在の費用 | 航空券・宿泊・現地の移動・食事 | 施術費と同じ財布で考えないほうが安全です |
| ④帰国後のケア費 | 保湿や日焼け止めなど、続けるために必要なもの | 忘れられやすい配分です |
この四つを分けておくと、当日の判断が一気に楽になります。「予算オーバーかどうか」ではなく、「①の枠に収まるか、②を使うのか」という判断に変わるからです。
とくに②の予備費は、あるかないかで当日の落ち着きがまったく違います。予備費がゼロだと、少しでも提案が変わったときに、その場で断るか受けるかの二択になってしまいます。
予備費を先に取り分けておく理由
カウンセリングでは、予約した内容と違う提案を受けることがあります。これは必ずしも悪いことではありません。実際に肌を見てから、より適した施術に変えたほうがよい、という判断が入ることもあるからです。
問題は、予算に余白がないと、その提案を落ち着いて検討できないことです。
「予約した施術より高額な施術をお勧めされるか怖かったんですが、そんなこともなかったです!」
この投稿のように、身構えていたけれど何もなかった、という場合も多くあります。ただ、身構えている状態そのものが、判断を鈍らせます。予備費という形で最初から余白を持っておくと、「その提案は予備費の範囲か、超えるか」という基準で考えられるようになります。
予備費の使いどころは、だいたい次のどれかです。
- カウンセリングで、より適した施術に変わった場合の差額
- 麻酔や、施術後のケアが別料金だった場合
- 部位を追加した場合
- 二回目を滞在中に入れることにした場合
いずれも「予定になかったけれど、受ける意味がある」場面です。だからこそ、断るための予算ではなく、選ぶための予算として持っておきます。
「1回いくら」ではなく「1回あたりの中身」で考えます
予算を組むときに、いちばん間違えやすいのが「1回」という単位です。韓国のクリニックのメニューには、回数がまとまった形のものや、範囲で区切られた形のものがあります。
「取りたいほくろの状態を見て全顔取り放題を勧めてくれました。」
この投稿の「取り放題」のように、数ではなく範囲で区切られた売り方があります。数で数えると割高に見えるものが、範囲で見ると逆になることもありますし、その反対もあります。単価だけを比べても意味がないのは、このためです。
ですので、予算を当てるときの単位はこう置き換えます。
| 見えている表示 | 予算に入れる前に確認すること |
|---|---|
| 「1回◯◯」 | その1回に、照射の数や薬剤の量はどこまで含まれますか |
| 「◯回セット」 | 期限はありますか。渡韓の回数で使い切れますか |
| 「取り放題」「◯◯パック」 | 範囲はどこまでですか。追加になる条件はありますか |
| 「初回限定」 | 二回目以降の金額はいくらですか |
| 「◯◯付き」 | 付いてくるものは何ですか。断ると安くなりますか |
とくに回数がまとまったメニューは、渡韓の回数と噛み合っているかを必ず確認してください。滞在中に使い切れない回数を買ってしまうと、次に渡韓するまで使えないまま期限が来ることがあります。渡韓のペースと施術の間隔がかみ合っているかどうかは、買う前に必ず確認してください。
金額そのものを動かしている条件の分解は、韓国の肌管理の値段はどう決まるのかのほうが詳しいです。予算を組む前に一度読んでおくと、見積もりの読み方が変わります。
税込みかどうかで、予算はずれます
韓国では、美容を目的とした施術に付加価値税がかかります。これは慣習ではなく、法令に定めのあることです。

黄色く示された部分を読むと、しみ・そばかす・肝斑の治療、ニキビの治療、脱毛、植毛、刺青とその除去、脂肪を溶かす施術、皮膚再生、美白、老化に対する施術、毛穴の縮小——といった内容が並んでいます。肌管理として受けるメニューの多くが、ここに含まれます。
つまり、韓国側では「美容目的の施術には税がかかる」ことが前提になっています。あとは、クリニックの表示価格がその税を含んだ金額なのか、含まない金額なのか、という違いだけです。
ここが予算に直結します。表示が税別だった場合、最後に上乗せされる分をあらかじめ見込んでおかないと、会計の場で足りなくなります。カウンセリングで「この金額は付加価値税を含みますか」と一言確認するだけで防げます。
なお、外国人が受けた美容目的の医療について税の還付を受けられる制度が過去にありましたが、条文上の期限の扱いは変わっています。この点は韓国の美容医療の免税はいつまでかで法令の原文を確認してまとめました。「還付があるから」という前提で予算を組むのは、いまは避けたほうが安全です。
支払いの方法によって、実質の負担が変わります
予算の話には、支払いの手段も含まれます。同じ金額でも、どう払うかで手元の負担は変わります。
- カードで支払う場合——為替の換算方法と、事務手数料が上乗せされることがあります。決済のときに韓国のウォン建てか日本円建てかを選べる場合、どちらが有利かは条件によります
- 現金で支払う場合——両替のレートがそのまま効いてきます。空港・市中・現地の両替所で差が出ます
- その場で決済するか、後日請求か——韓国のクリニックは、施術を受けたその日に会計を済ませる形が一般的です
この最後の点は、日本と感覚が違うところなので、実際の声を引いておきます。
「その場で決済なので、後から請求されることもないです!」
その場で完結するということは、その場で金額が確定するということでもあります。裏を返せば、会計の前に内訳を確認しておかないと、あとから照会するのが難しくなります。明細を受け取り、内訳を写真に残しておくことをおすすめします。支払い手段ごとの実務は韓国のクリニックでの支払い方法にまとめました。
予算がふくらむ、典型的な場面
予算が想定を超えるのは、たいてい決まった場面です。先に知っておけば、その場で慌てずに済みます。
| 場面 | 何が起きるか | 備え |
|---|---|---|
| カウンセリングで肌を見たあと | より適した施術を提案され、金額が変わります | 予備費の枠を先に決めておきます |
| 麻酔が必要だと分かったとき | 別料金の場合があります | 予約時に「麻酔は含まれますか」と聞きます |
| 部位を追加したくなったとき | 範囲が広がるほど加算されます | 追加した場合の金額を先に聞きます |
| 施術後のケア用品をすすめられたとき | 薬やパックが別会計になります | ④の配分から出すと決めておきます |
| 回数がまとまったメニューをすすめられたとき | 一度に払う金額が大きくなります | 滞在中に何回受けられるかで判断します |
どれも、金額が上がること自体が問題なのではありません。想定していなかったことが問題です。 表にある五つを事前に知っているだけで、当日の受け止め方が変わります。
予算を守るための、当日の運用
予算は、決めた時点ではなく、当日の運用で守られます。実際にやることは三つだけです。
一つめは、カウンセリングの最初に予算を数字で伝えることです。 「今日はこのくらいで考えています」と最初に言っておくと、その範囲で組んでもらえます。あとから言うと、すでに組まれた提案を崩す形になり、お互いに気まずくなります。予算を伝えることは、値切りではありません。条件を伝えているだけです。
二つめは、総額で見積もりを出してもらうことです。 施術ごとの単価が並んだ紙ではなく、今日払う金額の合計を一つの数字で出してもらいます。麻酔、アフターケア、税を含めた形です。
三つめは、その場で決めきらない選択肢を持っておくことです。 提案された内容が予備費を超える場合、「今日は予約した内容だけにして、次回に検討します」と言って構いません。その場で断ることは、失礼にはあたりません。
判断に迷う場面で助けになるのは、はっきり伝えてくださる担当者です。
「カウンセリングで「今はやらなくていい施術」ははっきり伝えてくれるので、以前からとても信頼しています。」
いま必要ではないものを、必要ではないと言ってもらえるかどうか。これは予算を守るうえで、いちばん大きい要素かもしれません。
帰国後にかかる分も、予算に入れておきます
配分の④です。忘れられやすいのですが、施術のあとに続けるものにも費用がかかります。
- 保湿や鎮静のためのスキンケア用品
- 日焼け止め(施術のあとは、とくに大事になります)
- 施術によっては、処方された外用薬
- 日本で受け継ぐケアがある場合、その費用
ここを予算に入れていないと、帰国後に「思ったより続かない」という形で表れます。とくに、複数回で仕上げていく前提の施術を受けた場合、帰国後の過ごし方が結果に影響します。施術費と渡航費を同じ財布で考えないほうがよいのは、このためでもあります。
予算が決められないときは、最小構成から組みます
「そもそも、いくらに設定すればいいのか分からない」という段階の方も多いと思います。その場合は、上限から考えるのをやめて、下から積むやり方に切り替えてください。
まず、今回いちばん解決したい悩みを一つだけ選びます。次に、その悩みに対して一回で受けられる最小の構成を組んでもらいます。ここまでが下限です。そのうえで、予備費を足した金額が、今回の現実的な枠になります。
この組み方には利点が二つあります。
- 一回目で使い切らないので、合わなかったときの損が小さくなります。 はじめてのクリニックであれば、説明のしかたや日本語の通じ方を確かめる回として使えます
- 二回目以降の判断材料が手元に残ります。 一回受けてみて、肌がどう反応したかを見てから次を決められます
はじめてのクリニックであれば、一回目は相性を確かめる回として使う、という考え方もあります。
逆に避けたいのは、下限を決めないまま「予算はこのくらい」と上限だけを伝えることです。上限だけを伝えると、その上限に合わせた構成が出てくることになります。悩みを一つに絞って最小構成を聞き、そのうえで枠を決める。この順番のほうが、結果的に無駄が出ません。
予算は、日程と連動しています
意外に見落とされるのが、予算と滞在日数の関係です。
赤みや皮むけが出る施術は、帰国の直前に受けると、移動中に負担がかかります。つまり、滞在の後半に受けられる施術は限られます。 その結果、滞在が短いほど、一日に組める内容が絞られ、使える予算の上限も自然に下がります。
逆に、滞在が数日あるのであれば、一日目に診断と負担の軽い施術を置き、反応を見てから二回目を入れる、という組み方ができます。この場合は、二回目のぶんを予備費とは別に見込んでおく必要があります。
日程が先に決まっている方は、その日程で受けられる内容を先に絞ってから予算を組むほうが早いです。
日本語では、どこまで確認できるのか
予算の話は、施術の説明よりも一段むずかしい話題です。数字と条件が同時に出てくるうえに、その場で判断を求められます。
日本語対応をうたっている施設でも、対応の中身には幅があります。予算に関していえば、会計の場面まで日本語が使えるかどうかが決定的です。
- 常勤の通訳の方がいらっしゃる——内訳も税の扱いも、その場で確認できます
- 予約対応だけが日本語——当日の会計では通じないことがあります
- 翻訳アプリでの対応——施術の説明はできても、条件を詰める場面では行き違いが起きやすくなります
実際の投稿にも、通訳の方が入ったことで安心できたという声が多くあります。
「お店も環境も綺麗で、カウンセリングも日本語の通訳さんがついてくれて親身に対応してくれました。」
一方で、金額に関する行き違いは後から取り返しがつきません。ですので、予約の問い合わせの段階で「会計のときも日本語で確認できますか」と聞いておくことをおすすめします。この一言に対する答え方で、その施設の日本語対応がどの段階までのものか、かなり分かります。通訳がどの場面に入るのかは韓国のクリニックの通訳事情にまとめました。
よくある質問
Q. 予算はいくらくらい用意すればよいですか。
金額の目安をお伝えすることはできません。受ける施術の種類、回数、照射の数や薬剤の量、部位の範囲で大きく変わるためです。代わりに、施術費・予備費・移動と滞在の費用・帰国後のケア費という四つに分けて、そのうち施術費にいくらまで使うかを自分で決めてから、カウンセリングでその範囲に収まる組み方を相談してください。
Q. 予算を先に伝えると、高いものをすすめられませんか。
逆のことが起きやすいです。予算を伝えないと、選択肢を広く提示するしかないため、結果として高い提案が並ぶことがあります。最初に「今日はこのくらいで」と数字で伝えておくと、その範囲で組んでもらえます。値切りではなく、条件の共有として伝えてください。
Q. 表示価格は税込みですか、税別ですか。
施設によって異なります。韓国では美容を目的とした施術に付加価値税がかかることが法令で定められているため、表示が税別であれば会計時に上乗せされます。カウンセリングの場で「この金額は付加価値税を含みますか」と確認してください。
Q. 現金とカードでは、どちらがよいですか。
一概には言えません。カードは為替の換算方法や事務手数料が条件によって変わりますし、現金は両替のレートがそのまま効きます。どちらか一方に寄せるより、両方使える状態にしておくほうが安全です。会計はその場で済ませる形が一般的なので、当日に使える手段を確認しておいてください。
Q. 回数がまとまったメニューは、買ったほうが得ですか。
渡韓の回数で使い切れるかどうかで決まります。滞在中に受けられる回数、次に渡韓できる時期、そのメニューに期限があるかどうか。この三つを確認してから判断してください。使い切れない前提で買うと、単価が安く見えても総額では高くなります。
※ 本記事は費用の考え方を整理したものであり、特定の金額や医療機関を案内するものではありません。料金・税の扱い・支払い方法は医療機関ごとに異なります。実際の金額は、必ずカウンセリングで見積もりをご確認ください。