「韓国の美容クリニックは安い」——渡韓を考えはじめたとき、いちばん最初に目にする言葉ではないでしょうか。実際に価格表を並べてみると、日本で見慣れた金額とは違う数字が出てきますので、そこで気持ちが動く方は多いと思います。
ただ、現地でカウンセリングを受けた方から聞く話は、少し違います。「思っていた金額と違った」「安いと聞いて行ったのに、最終的にはそこまでではなかった」。この行き違いは、施術の内容が途中で変わったから起きるというより、そもそも「安い」と書かれていた金額が何に対する金額だったのかを確かめないまま出発してしまったことから起きています。
このページでは、具体的な金額を並べることはしません。かわりに、韓国の美容クリニックで見かける「安い」という表示を4つの型に分けて、それぞれ何を確かめれば総額が確定するのかを整理します。金額そのものを調べるより、この読み方を持って行くほうが確実です。なお、そもそもなぜ韓国では価格が下がりやすいのかという仕組みについては、韓国の美容医療はなぜ安いのかで別にまとめています。

「安い」と書かれているとき、何が安いのか
まず前提の確認です。日本語で紹介されている韓国の価格は、次のどれかを指していることがほとんどです。
- そのクリニックが期間を区切って出している価格
- はじめて来院する方に向けて設定された価格
- 複数回分をまとめたときの、1回あたりに割り戻した価格
- 何かと組み合わせたときの価格
つまり、「常にその金額で受けられる」という意味の安さではないことが多いということになります。これは韓国だけの話ではありませんが、日本語で情報を探すときには、書き手がどの条件の金額を見て書いたのかが分からないまま数字だけが伝わりやすいので、差が生まれやすくなります。
もうひとつ、価格表そのものが公開されていない場合もあります。カウンセリングで肌の状態を見てから提案が決まるという流れが一般的ですので、最終的な金額は当日まで確定しないという前提で考えておくほうが落ち着いて判断できます。
ですから、渡韓前にやるべきことは「いちばん安いところを探すこと」ではなく、目にした金額がどの型のものかを見分けて、確かめる質問を決めておくことになります。
表示価格の4つの型
見かける「安い」を分解すると、次の4つに整理できます。
| 型 | どういう金額か | 確かめること |
|---|---|---|
| ①初回限定型 | はじめて来院する方に向けて設定された金額 | 2回目以降も同じ金額か |
| ②まとめ受け型 | 複数回分をまとめた金額を、1回あたりに割り戻したもの | 何回分の金額か・途中でやめられるか |
| ③数量型 | 1回に含まれる照射の数や薬剤の量が少なく設定されているもの | 1回に何ショット・何ccが含まれるか |
| ④税別・追加別型 | 税や麻酔代、薬代などが別になっているもの | 税込みか・当日ほかに必要な費用があるか |
ひとつの提示のなかに、この4つが同時に含まれていることもあります。たとえば「初回限定・3回分・部分照射・税別」という形です。この場合、表に出ている数字だけを日本の金額と並べても、比べたことにはなりません。
以下、それぞれの型で何が起きやすいのかを見ていきます。
型①と型②——「その一回だけ」の価格かどうか
初回限定型とまとめ受け型は、性格が似ています。どちらも「今回だけ」あるいは「まとめて受けるなら」という条件つきの金額だからです。
初回限定型で確認したいのは、2回目以降の金額です。肌に働きかける施術には、複数回を前提にしているものが少なくありません。1回で完結する前提の施術かどうかによって、初回価格の意味はまったく変わってきます。1回で終わる予定なら初回価格はそのまま受け取ってよい情報ですし、続ける前提なら2回目以降の金額のほうが重要になります。
まとめ受け型で確認したいのは、次の3つです。
- 何回分の金額か——「1回あたり」と書かれていても、その金額で1回だけ受けられるとは限りません
- 有効期限があるか——渡韓のたびに使う形になりますので、次にいつ来られるかと合わせて考える必要があります
- 途中でやめたときの扱い——残った分をどうするかは、クリニックごとに決められています
実際に受けた方の声のなかにも、期間を区切った価格で受けられたという話は多く出てきます。
「イベント中でリーズナブルな価格で対応いただきました。いくつかクリニックは行ったことありますが、クレンジングをしてカウンターで待たされることが多かったですが、こちらではカウンセリングもクレンジングも背術を行う個室でやってくださるため、すっぴんを誰にも見られずに過ごせると思います。」
「キャンペーン価格でかなりお得に受けられて、正直この内容でこの値段はすごいと思います。」
こうした価格が用意されていること自体は、渡韓する側にとって不利な話ではありません。問題になるのは、その金額が続くと思い込んで日程や予算を組んでしまったときです。「次に来たときも同じ金額ですか」と一言聞いておけば、この行き違いは避けられます。
型③——1回に含まれる数と量がそろっていない
比較をいちばん難しくしているのが、この型です。
照射する施術であれば、1回に当てる数が決まっています。注入する施術であれば、1回に使う量が決まっています。この数や量はクリニックが設定しているもので、同じ施術名でも同じとは限りません。数や量が半分であれば金額が下がるのは当然ですし、それは安さというより内容の違いになります。
ですので、金額を並べるときは「1回いくら」ではなく、「1回に何が、どれだけ含まれているのか」まで聞いてください。この確認をしないまま数字だけを比べても、比較にはなりません。値段が何によって動くのかという全体の構造は、韓国の肌管理の値段はどう決まるのかにまとめてあります。
また、施術中に「もう少し足しますか」と提案されることもあります。肌を見たうえでの提案ですので不自然な話ではありませんが、足せばその分の金額も足されます。 どこまでなら足してよいかを、自分のなかで先に決めておくと、その場で落ち着いて答えられます。
型④——税と、価格表に載らない費用
韓国では、美容を目的とした施術は課税の対象として扱われています。ここは法令に定めのある部分です。そのうえで、表示価格が税込みか税別かは統一されていません。 同じ施術名でも、片方は税込みの表示、もう片方は税別の表示ということが起こります。
さらに、価格表に載らない費用が発生することもあります。渡韓前に想定しておきたいのは次のようなものです。
| 項目 | 何のための費用か |
|---|---|
| 麻酔・鎮痛の費用 | 痛みが出やすい施術で使われるもの |
| 薬代・軟膏代 | 施術後に処方されることがあります |
| アフターケアの費用 | 直後のケアが別料金になっている場合があります |
| 再診の費用 | 経過を見てもらう場合にかかることがあります |
これらは「隠れた費用」ではなく、あらかじめ聞けば教えてもらえる費用です。聞かないまま当日を迎えるので差が出ます。カウンセリングの最後に「今日、ほかにかかる費用はありますか」と確認しておくのがいちばん確実です。
支払いの方法によっても、当日の段取りは変わります。現金で払うのか、カードで払うのかを渡韓前に決めておくと、当日は金額の中身だけに集中できます。
確かめる順番——この順に聞くと、総額が出ます
聞く内容が多いと感じるかもしれませんが、順番を決めておけば1〜2分で終わります。
| 順番 | 質問 | これで確定すること |
|---|---|---|
| 1 | この金額は何回分ですか | 型② |
| 2 | 1回に含まれる数や量はどれだけですか | 型③ |
| 3 | 2回目以降も同じ金額ですか | 型① |
| 4 | この金額は税金を含みますか | 型④ |
| 5 | 今日、ほかにかかる費用はありますか | 追加分 |
| 6 | 今日の合計はいくらになりますか | 総額 |
最後の質問がいちばん大事です。「合計でいくらか」を出してもらってから決めるという順番にしておくと、途中で内容が増えても金額の全体像を見失いません。
カウンセリングは押し切られる場ではなく、相談する場です。実際、こういう声もあります。
「カウンセラーさんは根気強く施術内容の相談に乗ってくださり、嫌な顔もせず色々と提案していただきました!」
聞くこと自体を遠慮する必要はありません。
「安すぎる」と感じたときに見るところ
金額が想定よりかなり低いときに、まず疑うべきなのは「質」ではなく前提の違いです。次の順で確認すると、たいていは説明がつきます。
- 回数の前提が違う——1回分ではなく、複数回をまとめたときの割り戻しかもしれません
- 数量の前提が違う——照射の数や薬剤の量が、比べている相手より少ないかもしれません
- 範囲の前提が違う——顔全体ではなく、部分だけを指しているかもしれません
- 税と追加分が別——表示に含まれていないものがあるかもしれません
この4つを確かめても説明がつかないほど低い金額であれば、そこではじめて内容を詳しく確認する段階になります。何の機器を使うのか、誰が担当するのか、使う薬剤は何か。この3つを日本語で説明してもらえるかどうかは、ひとつの判断材料になります。地域ごとの価格の傾向については、江南の美容クリニックは本当に安い?も合わせてご覧ください。
金額に納得しても、仕上がりに納得できないことがあります
費用の話をするときに、いちばん見落とされやすいのがここです。金額に納得して受けても、結果に納得できなかった場合、そのあとの対応も含めて考える必要があります。
実際、こういう声もあります。
「3点ボトックス(おでこ 眉間 あご)とハイフをお願いしました。クリニックもとてもキレイで、カウンセリングも日本人の方が日本語で丁寧(早口でしたが)にしてくださいましたし、施術も優しく丁寧だったのですが、10日経ってスポックアイブロウになりました。おでこボトックスは過去にも施術歴ありますが初めてなのでショックです。日本の別のクリニックで 補正を相談します。他が素晴らしかっただけに残念です。」
この方は、対応そのものは丁寧だったと書かれています。それでも、思っていた仕上がりと違ったときには、帰国後に相談する先を探すことになります。この可能性を織り込んでおくかどうかで、価格の見え方は変わります。
ですので、金額を確認するときに、もう一問だけ足しておくことをおすすめします。「思っていた状態と違ったとき、どう相談すればよいですか」。この答え方には、そのクリニックの姿勢がはっきり出ます。
出発前に決めておく、自分の側の基準
ここまではクリニック側の表示の話でしたが、行き違いを減らすためにいちばん効くのは、実は自分の側の基準を先に決めておくことです。基準がないまま現地に立つと、目の前に出てきた金額が高いのか安いのかを判断する材料がありません。
決めておきたいのは、次の3つだけです。
| 決めておくこと | 具体的には | 現地で効いてくる場面 |
|---|---|---|
| 今回の上限 | 今回の渡韓で使う金額の上限 | 追加を提案されたとき |
| 今回の目的 | いちばん気になっている部位・悩みを1つ | 提案が広がったとき |
| 続けるかどうか | 今回だけか、次も来る前提か | 初回価格とまとめ受けの判断 |
上限を決めておくと、提案された内容が上限を超えたときに「今日はここまでにします」と言えます。目的を1つに絞っておくと、複数の提案が出てきたときに優先順位をその場でつけられます。そして続けるかどうかを決めておくと、初回だけの金額とまとめ受けの金額のどちらで考えればよいかが自動的に決まります。
この3つを決めていくだけで、当日の判断はずいぶん楽になります。逆に、この3つが決まっていないまま「安いところを探す」ところから始めると、提示された金額を評価する軸そのものがないため、その場の雰囲気で決めることになりがちです。
なお、上限を伝えること自体は失礼にはあたりません。予算を伝えたうえで、その範囲で提案してもらうという進め方は、現地でもよく行われています。
日本語では、どこまで確認できるのか
ここまで挙げた質問は、施術の説明よりも一段むずかしい話題です。金額の条件を詰める場面ですので、通じているつもりで通じていないと、そのまま差になって返ってきます。
日本語対応をうたっていても、対応の中身には幅があります。
- 常勤の日本人スタッフや通訳がいる——回数・数量・税・追加分まで、その場で詰められます
- 予約の窓口だけ日本語——当日の会計の場では通じないことがあります
- 翻訳アプリで対応——施術の説明はできても、条件を詰める場面では行き違いが起きやすくなります
実際に受けた方の声にも、この差は出ています。
「日本?の方が通訳してくださり喋れなくても大丈夫でした」
予約の段階で「会計のときも日本語で確認できますか」と聞いておくと、その答え方でどの段階までの対応なのかがかなり分かります。日本語対応の段階の見分け方は、日本語対応はどこまでしてもらえるのかでも詳しく整理しています。
よくある質問
Q. 結局、いちばん安いところを選べばよいのでしょうか。
金額だけで選ぶと、比べている前提がそろっていない可能性があります。回数・数量・範囲・税の4つをそろえたうえで並べてはじめて、比較になります。そろえた結果として安いのであれば、それは根拠のある安さになります。
Q. 初回価格は、信用してよいものですか。
条件つきの金額であること自体は、めずらしいものではありません。大事なのは、2回目以降の金額を先に聞いておくことです。1回で終える予定なら初回価格をそのまま予算にしてかまいませんが、続ける前提なら2回目以降の金額で考えたほうが安全です。
Q. 予約の前に、総額を教えてもらうことはできますか。
おおよその範囲であれば、事前に聞けることが多いです。ただし、肌の状態を見てから提案が決まるという流れが一般的ですので、確定するのは当日のカウンセリングの場になります。事前の問い合わせでは「この施術を受ける場合、当日ほかにかかる費用はありますか」まで聞いておくと、当日の見通しが立ちます。
Q. 表示価格に税が含まれているかどうかは、どう確認しますか。
その場で「この金額は税金を含みますか」と聞くのがいちばん確実です。韓国では美容を目的とした施術が課税の対象として扱われていますので、税込みか税別かで最終的な支払額は変わります。
Q. 現地で追加を提案されたら、断ってもよいのでしょうか。
断って問題ありません。提案は肌を見たうえでのものですが、受けるかどうかを決めるのはご本人です。その場で判断しにくいときは「今日は予定していた分だけにします」と伝えれば十分です。上限を先に決めておくと、迷わずに答えられます。
※ 本記事は価格の決まり方と確認方法を整理したものであり、特定の医療機関や施術をすすめるものではありません。実際の金額・条件は医療機関ごとに異なりますので、必ずカウンセリングの場でご確認ください。施術の適否については医師にご相談ください。