江南(カンナム)で美容クリニックを探していると、同じような施術なのに、表示されている金額に大きな開きがあることに気づきます。「なぜここまで違うのか」「安いほうを選んで大丈夫なのか」——渡韓を控えた方から、いちばん多くいただく質問です。
先にお伝えしておきます。このページでは、確定した金額を書きません。 クリニックごとに違い、時期やキャンペーンでも変わるうえ、いま書いた数字は読まれるころには古くなっているからです。数字を書いて、それを信じて渡韓した方が会計で驚くことのほうが、よほど困ります。
その代わり、なぜ価格差が生まれるのかという仕組みと、総額で比べるための聞き方を整理します。この二つが分かっていれば、どのクリニックの価格表を見ても、ご自身で判断できるようになります。

そもそも「安い」が、何を指しているのか
比べる前に、言葉を整理します。「安い」には、少なくとも三つの意味が混ざっています。
1. 表示価格が安い 広告や価格表に出ている数字のことです。ここだけを見ると、比較は簡単に見えます。
2. 総額が安い 麻酔代、施術後のケア、薬代、追加の提案まで含めた、実際に支払う金額です。表示価格の順位と、総額の順位は、必ずしも一致しません。
3. 得られたものに対して安い 同じ施術名でも、当てる回数や設定が違えば、内容は変わります。金額だけを並べても、この違いは見えてきません。
多くの方が比べているのは1ですが、実際に効いてくるのは2と3です。このページでお伝えしたいのは、1から2へ、比べる対象を移してくださいということに尽きます。
なぜ韓国の美容医療が日本と比べて話題になりやすいのかという構造の話は、なぜ韓国は安いと言われるのかに別途まとめています。
価格差が生まれる、五つの理由
同じエリアの、同じ施術名で、なぜ差が出るのか。現地で価格表を見ていくと、要因はだいたい次の五つに整理できます。
| 要因 | 何が起きているか |
|---|---|
| 表示の基準が違う | 税込みで出しているか、税別で出しているか |
| 含まれる範囲が違う | 麻酔・アフターケア・薬代を含むか、別か |
| 回数・量が違う | 同じ施術名でも、当てる回数や注入量が異なります |
| 条件つきの価格 | 初回限定、コース契約前提、当日決済限定などの条件 |
| 立地とビルの規模 | 賃料や設備の水準は、価格に反映されます |
このうち、日本から見て特に見落とされやすいのが上の二つです。表示の基準と含まれる範囲が違えば、数字を並べても比較になりません。
表示の基準——韓国の付加価値税
冒頭に載せた画像は、韓国の付加価値税法施行令の原文です。ここには、美容を目的とする施術が課税の対象として列挙されています。 シミ治療術、ニキビ治療術、毛穴縮小術、皮膚再生術といった名前が並んでいるのが確認できます。
韓国では、治療を目的とする医療には付加価値税がかからない一方で、美容を目的とする施術には課税されます。 つまり、私たちが受けようとしているものの多くは、課税対象にあたります。
ここで問題になるのが、価格表示が税込みか税別かです。韓国のクリニックの表示は統一されておらず、税込みで出しているところと、税別で出しているところが混在しています。税別表示のところと税込み表示のところを並べて「こちらが安い」と判断すると、会計で差が出ます。
ですので、価格を聞くときの最初の一言は、これになります。
「この金額は、付加価値税を含んだ金額ですか」
たった一言ですが、比較の土台がここで揃います。
含まれる範囲——「別料金」がどこまであるか
もうひとつが、含まれる範囲です。同じ施術でも、次の項目が含まれるかどうかで総額は変わります。
- クリーム麻酔・注射麻酔の費用
- 施術後の鎮静ケア
- 処方される薬、塗り薬の代金
- 経過を見るための再診
- 施術前の肌診断
これらが「基本料金に含まれている」ところと、「すべて別」のところがあります。表示価格が安いところほど、別料金の項目が多いことがある——これは、価格表を見比べていくと見えてくる傾向です。断定はできませんが、確認する価値のある点です。
費用の比べ方については、費用の比較の考え方にも整理しています。
総額で比べるための、六つの質問
比べる対象を「総額」に移すために、カウンセリングで聞く内容を固定しておきます。この六つを、行くクリニックすべてに同じ順番で聞いてください。同じ質問をすれば、答えを並べて比べられます。
- この金額は、付加価値税を含んでいますか
- 麻酔の費用は含まれていますか。含まれない場合、いくらですか
- 施術後のケアと薬代は含まれていますか
- この価格は何回分ですか。単発で受けた場合はいくらですか
- 条件はありますか(初回限定・コース前提・当日決済など)
- 今日、追加を提案された場合、それぞれいくらですか
特に4は、渡韓して受ける方には重要です。コース契約が前提の価格だった場合、次にいつ韓国に来られるか分からない方にとっては、実質的に使えない条件になります。有効期限もあわせて聞いておいてください。
実際、価格の話がスムーズだったことを評価する声は多く見られます。
「その後お値段の話して麻酔して施術。全体的すごい丁寧で良かったです。」
会計の透明さについては、こんな声もあります。
「その場で決済なので、後から請求されることもないです!また、日本の方がいるので韓国語話せなくても大丈夫です!」
支払いの手段やタイミングについては、支払い方法にまとめています。
「安さ」を優先したときに、起きやすいこと
安いところを選ぶこと自体は、まったく問題ありません。実際、費用を抑えつつ満足したという声はたくさんあります。
「めっちゃ綺麗でコーヒーサービスもあり安価です。受付もカウンセリングスタッフも親切」
ただし、価格だけで決めたときに起きやすいことも、知っておいたほうが安全です。
当日、別の提案が出てくることがあります。 広告で見た価格の施術を受けるつもりで行ったところ、カウンセリングで別の内容をすすめられる、という流れです。すすめられた内容のほうが合っている場合もありますが、その場で判断を迫られると、冷静に比べられません。
対策はシンプルです。「今日は予定していたものだけにします」と言える準備をしておくこと。 そして「持ち帰って考えます」と言えること。この二つを事前に決めておくだけで、当日の判断がぶれにくくなります。
逆に、良いクリニックはこの点でも姿勢が出ます。
「すごくきれい。日本語ができるスタッフが通訳して施術を決められます。変な押売りもないし、むしろ、これがしたい。と言ったら、あなたにはこっちの方がいいと、安い方を勧められたので、ちゃんと肌を見て診断してくれている感じがしました。」
高いほうではなく、安いほうをすすめられたという点が、この声の要点です。肌の状態を見たうえで判断してくれているかどうかは、こういう場面に表れます。
「カウンセリングが丁寧で、要望にもきちんと答えて頂き大変満足いたしました。」
質問にきちんと答えてもらえるか。ここは、金額の高低とは別の軸で見ておく価値があります。
江南というエリアの、価格に関する前提
江南は、美容クリニックが集中しているエリアです。その分、選択肢が多く、価格帯にも幅があります。
一方で、エリアだけで安い・高いが決まるわけではありません。 同じ江南のなかにも幅がありますし、他のエリアにも幅があります。「江南は高い」「明洞は観光地だから高い」といった一般化は、実際に価格表を見比べていくと、そのまま当てはまらないことが分かります。
エリアの選び方については、江南エリアのガイドに、アクセスや街の性格とあわせてまとめています。
価格の観点で言えば、エリアよりも次の点のほうが効きます。
- 宿泊先からの移動時間——移動が長いと、その日の予定が圧迫されます
- 再訪のしやすさ——経過を見てもらう可能性があるなら、近いほうが有利です
- 予約の取りやすさ——旅程が変わったときに調整できるか
安さだけで遠いクリニックを選んで、往復に時間を取られ、その日の観光ができなくなった——これは、金額には表れない損失です。旅程全体で見て、何が安いのかを考えてください。
出発前に決めておく、費用まわりの準備
- 上限額を先に決めておく——「今回はここまで」と決めてから行くと、当日ぶれません
- 受けたいものに優先順位をつけておく——予算内で何を優先するかが決まります
- 同じ質問を全クリニックにする——答えを並べて比べられます
- メモを取る——カウンセリングと会計で担当が変わることがあります
- 支払い手段を確認しておく——使えるものと使えないものがあります
- キャンセル・変更の条件を聞いておく——旅程が変わったときに困りません
このうち、一つ目が最も効きます。上限を決めずに行くと、その場の提案に流されやすくなります。 決めておけば、「予算がここまでなので、この範囲で提案してください」と言えます。この一言は、相手にとっても親切です。予算を伝えたほうが、現実的な提案が返ってきます。
価格表を見比べるときの、実際の手順
抽象的な話だけでは動きにくいと思いますので、渡韓前にできる作業として並べておきます。特別な道具は要りません。表計算のアプリでも、紙のノートでも足ります。
手順1 候補を3〜4か所に絞る 数が多すぎると比べきれません。エリア、受けたい施術、日本語対応の三つで絞ると、だいたいこのくらいの数になります。
手順2 同じ項目の列を作る 施術名、表示価格、税の扱い、麻酔の扱い、アフターケアの扱い、回数、条件。この七つの列を作ります。
手順3 空欄のまま出発する ここが大事なところです。事前に埋まらない欄があって当然です。 公開されていない情報は、カウンセリングで聞くことになります。空欄が残っている状態こそが、当日に聞くべきことのリストになります。
手順4 同じ順番で聞く クリニックごとに聞く内容が変わると、あとで比べられなくなります。順番まで固定しておくと、答えを並べたときに見比べやすくなります。
手順5 その場で埋める 記憶に頼らず、その場で書き込んでください。カウンセリングを何件か受けると、どこで何を言われたかが混ざります。
この作業をしておくと、価格の高い安いではなく「条件の違い」で見られるようになります。 そうすると、同じ施術名でも中身が違っていたことに気づけます。気づいたうえで安いほうを選ぶのであれば、それは納得のいく選択です。
「初回価格」との付き合い方
韓国のクリニックでは、初回限定の価格やキャンペーンが案内されることがよくあります。渡韓して受ける方にとっては、これが判断を難しくする要素になります。
初回価格そのものは、悪いものではありません。実際に、お得に受けられたという声もあります。ただし、確認しておきたい点が三つあります。
- その価格は今回だけか——次に来たときは通常価格になるのか
- 条件はあるか——当日決済のみ、他の施術との同時申込が必要、といった条件があるか
- 次回以降の価格はいくらか——継続を前提に考えるなら、そちらのほうが重要です
継続して通うことを考えている方は、初回価格ではなく2回目以降の価格で比べてください。 渡韓のたびに同じところへ行くつもりなら、長い目で見た金額のほうが実際の負担に近くなります。
一方、今回一度きりと決めているのであれば、初回価格をそのまま活用する判断で構いません。自分がどちらのつもりなのかを先に決めておくと、案内を聞いたときの判断が早くなります。
日本語では、どこまで確認できるのか
ここまで挙げてきた質問は、すべてお金の話です。施術の説明よりも、一段むずかしい話題になります。
日本語対応をうたっているクリニックでも、対応の範囲には幅があります。
- 通訳が同席する——費用の内訳も、追加の提案も、その場で確認できます
- 受付だけ日本語——カウンセリングや会計の細部では通じないことがあります
- 翻訳アプリのみ——金額の条件を詰める場面では、行き違いが起きやすくなります
費用の行き違いは、あとから取り返しがつきません。予約の段階で、次の二点を確認しておくことをおすすめします。
- カウンセリングに日本語の通訳は同席しますか
- 会計のときも、日本語で内訳を確認できますか
二つ目まで聞いておくのが要点です。カウンセリングは通訳が入るのに、会計は韓国語のまま、という状況が起こり得ます。金額の話でこそ、日本語が必要になります。
実際の声を見ると、日本語で細かく相談できたことを評価する記述が多く見られます。
「細かいカウンセリングもしてもらえるし、日本語で話せるのがとても有難いです。」
「細かい」というのが要点です。大枠ではなく、細部まで日本語で詰められるかどうか。それが、費用の納得感を左右します。
よくある質問
Q. 江南の美容クリニックは、日本より安いのですか。
このページでは、確定した金額での比較はしていません。施術の内容、含まれる範囲、税の扱いが異なるため、単純に数字を並べても比較になりにくいためです。比べるのであれば、表示価格ではなく、麻酔・アフターケア・薬代まで含めた総額どうしで比べてください。本文の六つの質問が、その材料になります。
Q. 表示価格が安いクリニックは、避けたほうがよいですか。
そうとは限りません。安いこと自体は問題ではなく、何が含まれていないかを確認しないまま決めることが問題です。麻酔代やアフターケアが別なのか、コース契約が前提なのか、初回限定の条件があるのかを聞いたうえで、総額で比べてください。
Q. 韓国では美容の施術に税金がかかるのですか。
韓国の付加価値税法施行令には、美容を目的とする施術が課税対象として列挙されています。本文に載せた法令の原文の画像で、施術名が並んでいるのが確認できます。そのため、価格表示が税込みか税別かで、支払う総額が変わります。まず「この金額は付加価値税を含みますか」と確認してください。
Q. 当日に別の施術をすすめられたら、どうすればよいですか。
その場で決めなくて構いません。「今日は予定していたものだけにします」「持ち帰って考えます」と伝えられるよう、行く前に決めておくことをおすすめします。すすめられた内容が良い場合もありますが、金額と内容を落ち着いて比べる時間は必要です。
Q. 費用を抑えたいのですが、何から削ればよいですか。
削る前に、優先順位をつけることをおすすめします。いちばん気になっている悩みを一つに絞り、その一点に予算を寄せるほうが、複数を薄く受けるより納得しやすいという声が多い印象です。そのうえで、上限額を先に伝えて、その範囲での提案を出してもらってください。
※ 本記事は、韓国の法令原文と、公開されている日本語の口コミをもとに現地から整理したものです。医療上の助言でも税務上の助言でもなく、特定の医療機関を推奨するものでもありません。費用、施術の適応、リスクについては、必ず医療機関で直接ご確認ください。法令は改正される場合があります。