韓国の脂肪溶解注射の値段を調べていると、同じ施術に見えるのに金額の幅がとても大きいことに気づかれると思います。数万ウォンと案内されているところもあれば、その十倍近い金額が出てくるところもあります。
これは、どちらかが極端に安いという話ではないことが多いようです。そもそも数えているものが違うためです。
この記事では、韓国の脂肪溶解注射の値段が何によって動くのかを、韓国の法令の原文と、実際に受けた方が残された声をあわせて整理します。金額そのものは医療機関ごとに違いますので、ここでは「比べられる形にそろえる方法」までをお伝えします。
「脂肪溶解注射」は、ひとつの施術名ではありません
まず前提として、日本語で「脂肪溶解注射」と呼ばれているものは、韓国の現場ではいくつかの呼び名に分かれています。
- 顔に使う場合は「輪郭注射」「小顔注射」と案内されることがあります
- あご下だけを指して案内されることもあります
- 体に使う場合は部位ごとに分けて案内されることが多いようです
呼び名が違うということは、含まれている内容も違う可能性があるということです。ある医療機関の「1回」と、別の医療機関の「1回」が、同じ量・同じ範囲とは限りません。値段だけを並べても比べたことにならないのは、ここが理由です。
比較を始める前に、次の三つがそろっているかを確認しておくと、話が早くなります。
- 何本(何ccか、何バイアルか)
- どの部位に、何か所
- 何回のセットなのか、1回あたりなのか
この三つがそろっていない見積もりは、金額の大小を判断する材料にはなりにくいと思います。
韓国での呼び名と、日本での呼び名
現地で案内されるときの言い方も、日本語の資料とは少しずれています。予約のやりとりで出てきやすいものを並べておきます。
| 韓国で使われる言い方 | だいたいの意味 |
|---|---|
| 지방융해술(チバンユンヘスル) | 脂肪融解術。法令に出てくる正式な言い方です |
| 윤곽주사(ユンガクチュサ) | 輪郭注射。顔に使う場合によく使われます |
| 브이라인 주사(ブイライン注射) | あごのラインを指した案内で見かけます |
| 이중턱(イジュントク) | 二重あご |
| 부위(プウィ) | 部位 |
| 회차(フェチャ) | 回数。「3회차」なら3回目という意味です |
「何本ですか」と聞きたいときは、日本語が通じる相手であればそのままで大丈夫です。数字と単位だけは、紙に書いてもらうか画面に出してもらうと確実だと思います。
聞き取りで一番ずれやすいのが回数と本数です。「3」と言われたときに、それが3本なのか3回なのかで金額がまったく変わります。ここは復唱して確認しておきたいところです。
韓国の法令では、どう分類されているのか
値段の話に入る前に、ひとつ押さえておくと理解が早くなることがあります。韓国では、この施術が税のうえでどう扱われているかが法令にはっきり書かれています。

黄色く示した部分が、韓国の付加価値税法施行令が「美容を目的とするもの」として並べている施術です。その中に 「지방융해술」(脂肪融解術) が入っています。
つまり韓国では、脂肪溶解注射は治療ではなく美容を目的とした施術として扱われ、課税の対象になります。案内されている金額に税が含まれているのかどうかで、最終的に支払う額が変わってくるということです。
日本から来られる方が気にされる「免税(付加価値税の還付)」については、制度そのものの期限が条文上は2025年12月31日で、延長の規定は確認できませんでした。この点は韓国の美容医療の免税(付加価値税の還付)はいつまでかに条文の画面とあわせてまとめています。
値段が動く四つの軸
一つめ:本数(量)
脂肪溶解注射の金額は、使う量で動きます。同じ「あご下」でも、1本で終えるのか複数本を使うのかで金額が変わります。
カウンセリングで実際に顔や体を見てから本数が決まることが多いため、予約の時点で提示されていた金額が、そのまま当日の金額になるとは限りません。ここが、他の施術より金額が動きやすい理由のひとつだと思います。
二つめ:部位
顔と体では、必要な量が違います。あご下だけなのか、頬も含むのか、腹部なのか。部位が増えれば量も増えるという単純な関係になりやすい施術です。
案内文に「1部位」と書かれていた場合、その「1部位」がどこからどこまでを指すのかは、確認しておいたほうがよさそうです。
三つめ:製剤
どの製剤を使うかでも金額が変わります。これは医療機関の判断によるところが大きく、こちらから指定できるとは限りません。
ただ、何を使うのかを聞くこと自体はできます。 韓国では医薬品の承認情報が公開されていて、製品名や成分名から誰でも調べられるようになっています。

カウンセリングで製剤名を聞いておくと、帰国後にご自分で確認することもできます。説明を受けたその場ですべてを判断しなくてよい、という意味でも聞いておく価値があると思います。
ただ、この調べ方には気をつけたい点がひとつあります。成分名で検索すると、名前の似た別の薬が一緒に並んでくることです。

上の画面は、脂肪溶解でよく名前の挙がる成分を韓国語で入れて照会したものです。並んでいる製品をよく見ると、「우르소데옥시콜산」(ウルソデオキシコール酸)という別の成分の内服薬が中心になっています。名前が似ているだけで、使われ方がまったく違う薬です。
つまり、成分名を検索窓に入れただけでは判断できないということです。製品名まで聞いておく、あるいは許可番号を控えておくほうが確実だと思います。この点は日本語の情報だけを追っているとまず気づけないところですので、あえて書いておきます。
四つめ:セットかどうか
韓国では、複数の施術を組み合わせたセット価格で案内されることがよくあります。脂肪溶解注射も、単体ではなく他の施術と一緒に案内されることが多い施術です。
実際に受けた方の中には、こういう受け方をされた例もありました。
「シュリンク、オンダリフト、エラボトックスの施術+レビュープレゼントで顎下の脂肪溶解注射をしました」
セットの一部として入っている場合、その施術単体の金額は見積もりに出てこないことがあります。「いくらのものが、いくらで含まれているのか」が分からないまま総額だけを比べると、判断が難しくなります。
セットで案内されたときは、単体だといくらになるのかもあわせて聞いておくと、他と比べる材料になります。
表示価格に含まれるもの、含まれないもの
韓国の医療法には、掲示した金額についての決まりがあります。

第45条では、医療機関はあらかじめ費用を告知・掲示することとされていて、第3項では「고지ㆍ게시한 금액을 초과하여 징수할 수 없다」=告知・掲示した金額を超えて徴収することはできないと定められています。
ここで大切なのは、これが「掲示された内容の範囲について」の決まりだという点です。掲示されていない追加の施術を当日にあらためて受ける場合は、また別の話になります。だからこそ、当日に何が追加されたのかを、その場で確認しておくことが意味を持ちます。
実際、予算の感覚を先に伝えたことで、当日の組み立てが変わったという声もありました。
「当日は私の顔を見て、第三者視点でアドバイスをいただけたのと、予算感を合わせ合う施術を選んでくださったので大満足です」
金額を先に伝えるのは遠慮のいることのように感じられるかもしれませんが、実際にはそのほうが話が進みやすい場面が多いようです。
当日、金額が動く場面
これまでの口コミを読んでいくと、金額が動くのはだいたい決まった場面でした。
- カウンセリングで、必要な本数が予定より増えたとき
- 別の施術をあわせて提案されたとき
- 「今日だけ」の価格が案内されたとき
- 麻酔やアフターケアが別の項目になっていたとき
どれも珍しいことではありません。大切なのは、その場で合計額を確認できるかだと思います。
一度に決めてしまわず、「今日はここまで」と区切ることもできます。次の渡韓で続きを受けるという組み方も、記録が残っていれば可能です。
「脂肪溶解注射をしてきました! カウンセリングから施術までとてもスピーディにしていただき対応も丁寧で素晴らしかったです!」
進行が速いのは良い面でもありますが、速いぶん、聞くことを先に決めておくほうが落ち着いて受けられるはずです。聞きたいことをメモにして持っていく方も多いようです。
日本語では、どこまで確認できるのか
この施術は、当日に金額と量が決まる場面が多いぶん、言葉が届くかどうかが結果に直結します。
日本人の方が残された声を読むかぎり、予約とカウンセリングまでは日本語が届くことが多い一方で、施術中の声かけと会計の説明で途切れることがあるようです。脂肪溶解注射の場合、金額が動きやすいのは後半の会計の場面ですので、ここが通じるかどうかは先に確かめておきたいところです。
予約の前に送っておくと役に立つのは、次のような内容です。
- 当日、日本語で対応できる方はいらっしゃいますか
- カウンセリングで本数と合計額を日本語で説明していただけますか
- 会計のときに、明細を出していただけますか
- 使用する製剤の名前を教えていただけますか
この四つは、返ってくる内容そのものが判断の材料になります。具体的に答えが返ってくるかどうかで、当日の対応もある程度は見えてくるように思います。
日本語対応の見極め方そのものについては、韓国の皮膚科は日本語で受けられるかに場面ごとの整理をまとめています。
予約の前に、確認しておくこと
金額の話とは別に、受ける場所についても確認できることがあります。

韓国では、外国人患者を受け入れる医療機関に登録の義務があります。条文には、診療科目ごとに専門医を置くことや、賠償責任保険に加入することが要件として並んでいます。
そして、その登録があるかどうかは公式サイトで誰でも無料で確認できます。

医療機関名を入れて照会するだけですので、予約の前に一度見ておくと安心材料になります。空欄のまま照会すれば、登録されている機関の全体を見ることもできます。
費用そのものの比べ方については、韓国の肌管理は本当に安いのかに渡航費まで入れた考え方をまとめています。小顔を目的とした施術の選び方は韓国の小顔施術もあわせてご覧ください。
帰国してから見返すために、残しておくもの
この施術は、一度で終わらないことが多いという特徴があります。次にどうするかを決めるには、今回の記録が必要になります。
残しておくと後で役に立つのは、次の四つです。
- 明細(何を、何本、いくらで受けたか)
- 製剤の名前(次に比べるときの基準になります)
- 施術した日付と部位
- 受けた直後と、数日後の写真
とくに明細は、その場でしかもらえないことがあります。会計のときに「明細をください」と伝えておくと確実です。韓国の医療法では、診療に関する記録の写しについての決まりも置かれていますので、必要なときは求めることができます。
写真は、同じ場所・同じ明るさで撮っておくと比べやすくなります。鏡の前の自撮りだと角度が変わりやすいので、誰かに撮ってもらうか、固定した位置から撮るほうが後で役に立ちます。
次の渡韓で続きを受ける場合、この記録があれば「前回は何本だったので今回は」という話ができます。記録がないと、また最初から説明することになってしまいます。
「1回目の院長先生に施術していただいた糸リフトが痛みや腫れもなくイメージ通りだったので、2回目もぜひこちらでと再訪しました」
同じところに続けて通われる方も多いようです。その場合も、ご自分の手元に記録があるほうが話が早くなります。
よくある質問
Q. 韓国の脂肪溶解注射の値段は、日本より安いのですか
施術単体の表示価格だけを見れば、韓国のほうが低い金額で案内されていることが多いようです。ただ、本数や部位の数え方が違うことがありますので、同じ条件にそろえてから比べる必要があります。渡航の費用まで入れると結論が変わる場面もあります。
Q. 見積もりは、予約のときにもらえますか
目安としての金額は案内されることが多いのですが、確定するのはカウンセリングの後になることが一般的のようです。実際に見てから必要な量が決まるためです。予約時の金額は目安として受け取っておくほうがよさそうです。
Q. 表示価格に税は含まれていますか
ここは医療機関によって表記が違います。韓国では美容を目的とした施術は課税の対象として扱われますので、税込みなのか税別なのかを先に確認しておくと、当日の会計で驚かずに済みます。
Q. セットで勧められたとき、どう判断すればよいですか
単体だといくらになるのかをあわせて聞いてみてください。セットの総額だけでは、その施術が自分に必要なものなのかが判断しにくくなります。今日必要なものと、次でもよいものを分けて考えるほうが、結果的に納得しやすいと思います。
Q. 当日に本数を増やすと言われたら、断ってもよいのですか
もちろん断ることができます。「今日はここまでにします」と伝えるだけで大丈夫です。提案そのものは医学的な判断から出ていることもありますので、なぜ必要なのかを聞いたうえで決めるとよいと思います。
まとめ
韓国の脂肪溶解注射の値段は、本数・部位・製剤・セット構成という四つの軸で動きます。金額の幅が大きく見えるのは、これらの条件がそろっていないまま並べているためであることが多いようです。
比べる前に条件をそろえること、当日に合計額を確認すること、税の扱いを先に聞いておくこと。この三つで、見え方はかなり変わってくるはずです。
なお、ここに書いた金額の考え方はあくまで目安であり、最終的な費用はカウンセリングで確定します。効果や必要な量には個人差がありますので、実際の判断は診察を受けたうえで行ってください。