「日本と韓国で、いったい何が違うのか」——渡韓を考えはじめた方から、いちばん多く聞かれる質問です。そして、この質問に「韓国のほうが安い」「韓国のほうが進んでいる」とだけ答える記事が多いのですが、実際に現地で見ていると、違いはもっと手前の、言葉の使い方や進め方のところにあります。
たとえば、日本で「美容皮膚科に行く」と言うときと、韓国で同じことを言うときとでは、想定されている一日の過ごし方が違います。カウンセリングで誰が出てくるかも違いますし、料金表に何が書かれているかも違います。ここを知らないまま行くと、値段の話にたどり着く前に戸惑うことになります。
この記事では、渡韓の前に知っておくと戸惑わない違いを、順に整理します。どちらが優れているという話ではありません。前提が違うものを同じものさしで測ろうとすると、比較そのものが成り立たなくなるからです。金額については、具体的な数字を書きません。金額はクリニックごと・時期ごとに変わるもので、記事の数字を持って行っても使えないからです。

違い①「肌管理」という入口が、独立して存在します
いちばん大きい違いは、ここだと思います。韓国では、肌の状態を整える施術のまとまりが「肌管理(ピブカンリ)」という一つの入口になっています。
日本では、悩みごとに施術名を選んで予約することが多いはずです。「シミのレーザーを予約する」「毛穴の治療を予約する」といった形です。韓国では、それに加えて「今日は肌管理をお願いします」という入り方があり、その中で何をどの順番で受けるかを、その場で組んでいくことがよくあります。
| 日本でよくある入り方 | 韓国でよくある入り方 | |
|---|---|---|
| 予約のとき | 施術名を決めて予約します | 悩みを伝えて予約することがあります |
| 当日 | 決めた施術を受けます | 状態を見てから組み合わせを決めることがあります |
| 所要時間 | 一つの施術ぶんです | 複数を続けて受け、長くなることがあります |
| 会計 | 予約した施術の金額です | 当日に決めた内容の合計になります |
右の列は、良いところと注意すべきところが表裏になっています。 その日の状態に合わせて組めるのは利点ですが、当日に内容が決まるということは、当日に金額も決まるということです。 ここが、あとで「思っていたより高くなった」という話になりやすい構造の正体です。
対策は難しくありません。予約の段階で「今日の予算はここまでです」と先に伝えておくことです。上限を伝えたうえで組んでもらえば、その範囲の中で提案してもらえます。
違い②カウンセリングに、複数の担当者が出てきます
日本では、医師の診察がカウンセリングを兼ねている形が多いはずです。韓国では、相談の担当者(カウンセラー)と、施術をする担当者が分かれていることがよくあります。 さらに、日本語の通訳が加わることもあります。
つまり、一度の来院で三人と話す場面があるということです。ここを知らないと、「誰に何を聞けばいいのか分からない」まま時間が過ぎてしまいます。
役割を整理すると、次のようになります。
| 誰と話しているのか | その場で聞けること |
|---|---|
| 相談の担当者 | 施術の組み合わせ、金額、条件、次回の目安 |
| 医師 | 肌や体の状態、その施術が向いているかどうか |
| 施術の担当者 | 当日の進み方、痛みの調整、当日の注意点 |
| 通訳 | 上の三つを日本語でつなぐこと |
金額の話は、相談の担当者との場面で完結させておくのが安全です。 施術が始まってからでは、金額の相談はしにくくなります。カウンセリングの流れ全体はカウンセリングはどう進むのかに整理しました。
実際の記録を読むと、この担当者との相性が満足度をかなり左右していることが分かります。
「いつもお世話になっているクリニックです。
カウンセリングのヒョンジュさんがとても親切で、こちらの要望に合わせて提案してくれます。
無理な押し売りもなく、安心して相談できます。」
「無理な押し売りもなく」という言い方が出てくること自体が、その反対の経験もありうる、という前提を映しています。 提案を受けること自体は普通のことですので、受けるか受けないかを自分で決められる状態にしておくことが大切です。
違い③「今日はやらなくていい」と言ってもらえるかどうか
これは制度の違いではなく、クリニックごとの差ですが、渡韓の満足度をいちばん左右する部分です。
「今回は、PRP注射「ブラドナ」5.5cc+クライオセルを受けました。
初めての渡韓から何度もお世話になっているクリニックですが、
カウンセリングで「今はやらなくていい施術」ははっきり伝えてくれるので、以前からとても信頼しています。
院内も清潔感があってきれいで、日本語対応のスタッフさんによるカウンセリングが受けられるのも安心ポイント。
施術内容についてもしっかり説明してもらえますし、施術中も「今から何をするか」を簡単な日本語や英語で声掛けしてくれるので、終始リラックスして受けられました。
またタイミングが合えば、ぜひお願いしたいクリニックです😊」
「今はやらなくていい施術」を伝えてもらえたことが、信頼の理由として書かれています。 提案の数ではなく、引き算をしてもらえたかどうかが評価されているわけです。
カウンセリングでこれを引き出す聞き方があります。「この中で、今日は受けなくてもよいものはありますか」——提案を全部受ける前提で聞くのではなく、削る前提で聞いてみると、優先順位が見えてきます。
違い④料金表の書き方が違います
日本の料金表は、一回あたりの金額で書かれていることが多いはずです。韓国の料金表では、数え方が混在します。
- 「一回」——その施術を受ける回数です
- 「一本」——薬剤の容器や、一定量のまとまりです
- 「一部位」——打つ場所の数です
- 「セット」——複数の施術の組み合わせです
- 「初回」——初めての来院に限った条件つきの価格です
数え方が違うものを並べても、比較にはなりません。 比べる前に、それぞれが何を数えた金額なのかをそろえる必要があります。そして最後に、表示価格が税込みかどうかを確認します。韓国では美容を目的とした施術は課税の対象として扱われていますので、税込みか税別かで最終的な支払額が変わります。
聞き方は一言です。「この金額は、付加価値税を含んでいますか」
日本より安く見える理由がどこから来ているのかについてはなぜ韓国は安いと言われるのかに、機器を使う施術での日本との比較の考え方はポテンツァの日本と韓国の比較に、それぞれ整理しています。
違い⑤「通訳」という工程が加わります
日本で受けるときには存在しない工程が、韓国では一つ増えます。通訳です。これは負担ではなく、確認の材料が一つ増えるということでもあります。
「カウンセリングが親切丁寧でした。施術がスムーズで先生も親切でわかりやすかったです。通訳のイムソヒさんがとても丁寧で親切でした!通訳のソンミンさんがイケメンで是非一度来てください!とてもいいクリニックです♪」
通訳が入る場合、確認しておくとよいのは次の三つです。
| 確認すること | なぜ必要か |
|---|---|
| 通訳はどの場面までいるのか | 相談だけか、施術中も、会計もか |
| 金額の話も通訳を通せるか | 数字の話でこそ通訳が必要になります |
| 予約時に通訳の手配が要るか | 当日いない日もあります |
「相談のときはいたが、会計のときはいなかった」という状況がいちばん困ります。 予約の段階で「会計のときも日本語で確認できますか」と聞いておくと、この行き違いは防げます。
違い⑥外国人の受け入れについて、公的な登録制度があります
日本にはない仕組みとして、韓国には外国から来た方を受け入れる医療機関の登録制度があります。登録している医療機関は、公式サイトで誰でも無料で確認できます。

登録があることは「良いクリニックである」という保証ではありません。ただし、外国から来る方を受け入れる前提で手続きをしているという事実は分かります。日本語対応の体制を見るときの、材料の一つになります。
違い⑦一日にまとめて受けるかどうか
日本では、通いながら少しずつ進めることが前提になりやすいのに対し、韓国では滞在の日数が限られている前提で組むことになります。ここから、いくつか実務上の違いが生まれます。
| 日本で受ける場合 | 渡韓して受ける場合 | |
|---|---|---|
| 間隔 | 通える範囲で調整します | 滞在の日程が先に決まっています |
| 一日の量 | 分けて受けやすいです | まとめて受けたくなります |
| 施術後の確認 | 通って確認できます | 帰国後になることがあります |
| 連絡の手段 | 電話や来院で済みます | 連絡の方法を決めておく必要があります |
帰国後に何かあったとき、どこへ連絡すればよいか。 これは日本で受けるときには考えなくてよいことですので、抜けやすい確認事項です。連絡の窓口と、日本語で連絡できるかどうかを、帰る前に聞いておいてください。
違い⑧記録の残り方が違います
日本のクリニックでは、次に行ったときにカルテが残っています。渡韓の場合、次に同じところへ行くとは限りません。 ですので、記録を自分の側にも残しておく必要があります。
残しておくとよいのは、施術名・使った製剤の名前・量・受けた日・支払った総額の五つです。次のカウンセリングで、この五つを見せられると、話がまったく違う速さで進みます。写真を残しておく方も多くいらっしゃいます。
違い⑨「初回価格」の扱い方が違います
料金表でいちばん目に入りやすいのが、条件つきの価格です。日本でも初回限定の価格はありますが、渡韓の場合は事情が少し変わります。次に来られるのが半年後や一年後になることが多いからです。
よくある条件を並べます。
- 初めての来院に限る——二回目以降は別の金額になります
- 回数をまとめて申し込むことが条件——一回だけでは同じ金額になりません
- ほかの施術と一緒に受けることが条件——単品では対象外です
- 支払いの手段が指定されている——現金のみ、といった条件がつくことがあります
- 期間が区切られている——掲示された時期を過ぎている場合があります
条件つきの価格は、嘘の価格ではありません。条件を満たしたときに成立する価格です。確認すべきなのは金額そのものではなく、自分がその条件に当てはまるかどうかです。
とくに「回数をまとめる」条件は、渡韓では注意が要ります。まとめて申し込んでも、次に韓国へ来られるのがいつになるか分からないためです。「残った回数はいつまで使えますか」——この一言を、申し込む前に必ず聞いてください。有効期限の扱いはクリニックによって違います。
違い⑩「比べ方」そのものを、自分で用意する必要があります
日本国内であれば、通える範囲のクリニックを二、三か所回って比べることができます。渡韓の場合、現地でいくつも回るのは日程的に難しく、比較の大半を日本にいるうちに済ませることになります。
そのため、問い合わせの文面をそろえておくと効率が変わります。同じ質問を同じ順番で送れば、返ってきた答えをそのまま並べられるからです。
| そろえて聞く項目 | なぜそろえる必要があるか |
|---|---|
| 施術名と、含まれる内容 | 同じ名前でも中身が違うことがあります |
| 数え方(回・本・部位のどれか) | 数え方が違うと金額を比べられません |
| 表示価格が税込みかどうか | 最終的な支払額が変わります |
| 日本語で対応できる場面 | 相談だけか、施術中も、会計もか |
| 施術後の連絡の方法 | 帰国後に確認したいことが出た場合に効きます |
返信の速さや書き方そのものも、材料になります。 五つの質問に順番どおり答えてくれるかどうかで、当日の説明の丁寧さもある程度は想像がつきます。
日本語では、どこまで確認できるのか
ここまで挙げた違いは、ほとんどが「その場で確認できれば解決する」ものです。 逆に言えば、確認できないと全部が不安のまま残ります。日本語対応の中身は、クリニックによってかなり幅があります。
- 常勤の通訳や日本人スタッフがいる——組み合わせも金額も、その場で決められます
- 日本語の窓口が予約対応のみ——当日の会計の場では通じないことがあります
- 翻訳アプリでの対応——説明はできても、条件を詰める場面では行き違いが起きやすくなります
実際に、日本語で相談できたことが決め手になったという記録があります。
「これまで韓国で色んなクリニックへ行きましたが、こちらが一番丁寧なカウンセリングと施術でした!
カウンセリングのジュンヒョンさんは、特に日本語が堪能で、肌に合った施術をご提案いただいたり、施術前に不安なことがないかなど、とても丁寧にカウンセリングいただきました。
施術いただいた先生方もみなさん優しく、また伺いたいクリニックです!
また他院と比べ施術内容ごとに部屋が変わることなく、最初から最後まで同じベッドだったのでリラックスできました。」
「他院と比べ」と書かれている点に注目してください。 複数のクリニックを回った方ほど、施術そのものよりも進め方の違いを書いています。日本と韓国の違いというより、クリニックごとの違いのほうが大きい部分もあるということです。皮膚科の選び方の全体像は韓国の美容皮膚科の選び方にまとめました。
よくある質問
Q. 日本と韓国で、受けられる施術の種類は違いますか。
国ごとに承認されている製剤や機器が異なるため、名前が同じでも中身が違う場合や、片方でしか見かけない名称もあります。使う製剤や機器の名前を控えておけば、韓国では公開されている承認の情報で確認できます。
Q. 日本語の資料はもらえますか。
クリニックによります。日本語の説明書きを用意しているところもあれば、口頭のみのところもあります。当日にメモを取ることを前提にして、施術名と数量を書いてもらえるかを予約時に聞いておくと確実です。
Q. カウンセリングだけ受けて、当日決めなくてもよいですか。
問題ありません。「今日は相談だけで、決めるのは次回にします」と伝えて構いません。その場で決めない選択肢があることを、最初に伝えておくほうがお互いに進めやすくなります。
Q. 帰国後に相談したいことが出たら、どうすればよいですか。
連絡の窓口と方法を、帰る前に確認しておいてください。日本語で連絡できるか、返信までにどれくらいかかるかも聞いておくと安心です。あわせて、受けた内容の記録を手元に残しておいてください。
Q. 日本と韓国、どちらで受けるのがよいのですか。
この記事では、どちらがよいという結論は出しません。滞在の日程、確認したいことを日本語で聞ける状態か、施術後に通えるかどうかなど、条件は人によって違います。判断の材料になる違いを並べましたので、ご自身の条件に当てはめてお考えください。
※ 本記事は、日本と韓国の美容医療をめぐる運用上の違いを整理したものであり、特定の医療機関・施術・金額を推奨するものではありません。制度や運用は変更される場合があります。実際の判断は、受診される医療機関にご確認ください。掲載した口コミは、日本語で投稿された原文をそのまま引用しています。