韓国の美容皮膚科のメニュー表を見ると、「ピコ」がつくメニューがいくつも並んでいます。ピコトーニング、ピコフラクショナル、ピコ消しゴム、ダブルピコ。名前が似ているうえに金額もばらばらで、どれを選べばよいのか分からなくなります。
ここで知っておいていただきたいことがあります。ピコレーザーというのは機器の名前であって、施術名ではありません。 同じ1台の機器を、当て方を変えて使い分けているだけです。この記事では、モードごとに何が違うのか、機器で何が変わるのかを、現地から整理します。
ピコレーザーは施術名ではありません
まず機器そのものの話を短くします。レーザーは光を当てる時間の長さで性質が変わります。ピコレーザーは、その照射時間がピコ秒(1兆分の1秒)という非常に短い単位の機器です。従来のナノ秒(10億分の1秒)の機器より、さらに短く当てられます。
短く当てるとどうなるか。熱でじわじわ壊すのではなく、衝撃で色素を細かく砕くという働き方に近づくと説明されています。その結果、周囲の組織への熱の影響が抑えられ、かさぶたになりにくいとされています。
ただし、ここが誤解されやすいところです。ピコレーザーだから痛くない、ダウンタイムがない、というわけではありません。 どう当てるか、つまりモードによってまったく変わります。次の章がこの記事の本題です。
3つのモードの違い
韓国のメニュー表に並ぶ名前は、突き詰めると次の3つに整理できます。
| モード | 当て方 | 主な狙い | ダウンタイム | 回数の考え方 |
|---|---|---|---|---|
| トーニング | 低い出力で顔全体に | 全体のくすみ、色ムラ、トーンの均一化 | ほとんどなし | 複数回が前提 |
| フラクショナル | 点状に区切って肌の中へ | 毛穴、肌の質感、ニキビ跡の凹凸 | 数日の赤み・ざらつき | 複数回が前提 |
| スポット | 気になる部分だけに強く | 濃い部分をピンポイントで | かさぶたになることも | 1回で当てて経過を見る |
この3つは、目的も日程の組み方も別物です。 「ピコレーザーを受けたい」だけでは注文が成立しません。
韓国での呼ばれ方
現地のメニュー表では、次のような名前で並んでいることが多いです。
- ピコトーニング — トーニングモード。呼び方は共通です
- ピコ消しゴム — スポット照射を指すことが多い呼び名です
- ダブルピコ — 2つのモードや2種類の波長を組み合わせるメニュー
- トリプルトーニング — トーニングを複数の設定で重ねるメニュー
注意しておきたいのは、同じ名前でも中身がクリニックによって違うことがあるという点です。特に「ピコ消しゴム」や「ダブルピコ」は独自の呼び名なので、カウンセリングで「どのモードを、どこに、何回当てますか」と聞いてください。名前で判断しないほうが安全です。
現地では、この3つを組み合わせて同じ日に受けるのが普通です。
「ピコ消しゴム➕ピコトーニング➕リジュランをしました! 2週間経ちましたが、肌もツヤツヤでまた韓国に来た際にはこちらで予約するつもりです」
スポットで濃い部分に当て、トーニングで全体を整え、さらにスキンブースターを重ねる。役割の違うものを重ねるという組み方です。これが現地の標準的な考え方だと思っていただいて大丈夫です。
「3つ選ぶキャンペーンで、アクアピーリング、ピコトーニングプラスピコ消しゴム、ホクロ除去をお願いしました! この内容とは思えない費用感で、お願いして良かったなと思います。 クリニック自体も商業ビルの中で綺麗でした!」
「3つ選ぶキャンペーン」という形式も韓国ではよくあります。安く組めるのは魅力ですが、選んだ3つの役割が重なっていないかは確認したほうがよいです。同じ狙いのものを3つ選んでも、効率はよくありません。
悩み別の選び分け
考え方の目安として整理します。実際の判断は診察のうえで決まります。
| 気になっていること | 中心になりやすいモード |
|---|---|
| 全体がくすんで、色ムラがある | トーニング |
| はっきりした濃い部分がいくつかある | スポット(そのあとトーニングで全体を整える) |
| 毛穴とざらつき、肌の質感 | フラクショナル |
| ニキビ跡の凹凸 | フラクショナル(ポテンツァと比較されることも) |
濃い部分については、種類によって強く当ててはいけない場合があります。見た目が似ていても中身が違うことがあるためです。ここは自己判断できません。写真や機器での診断をしたうえで、医師に決めてもらってください。「シミ取り放題で全部当ててほしい」と指定して行くと、この判断が飛ばされることがあります。
機器と波長の違い
ピコレーザーは1種類ではありません。韓国のクリニックでは、メニューに機器名が入っていることがあります。
「最近カンナムにオープンしたミオクリニックでピコシュアトーニングと眉間ボト、脇脱毛とワキボトやってきた! 室長が超丁寧にカウンセリングしてくれたし、日本語でも対応してくれるからかなり良かった🩷 そしてクリニックがホテルみたいで良すぎた笑」
「ピコシュアトーニング」のように、機器名とモード名がくっついた形でメニューになっています。
機器で変わるのは使える波長です。波長によって、届く深さと反応しやすい色が変わります。
| 波長のイメージ | 反応しやすいもの |
|---|---|
| 短い波長 | 浅い層の、赤みや茶色寄りの色素 |
| 長い波長 | 深い層まで届き、全体的な色素 |
機器によって持っている波長が違うため、得意な悩みに差が出ます。「どの機器でもピコなら同じ」ではありません。ただし、機器の性能差より誰がどう設定して当てるかのほうが結果を左右する部分も大きいです。機器名だけでクリニックを選ぶのはおすすめしません。
複数の波長やモードを組み合わせるメニューもあります。
「はじめて伺いました! カウンセリングから施術までしっかり対応いただけて、気になる箇所に関しても親身にお答え頂けました。最初に受けたダブルピコについては終始話しかけてくださったので痛みも気にならなかったです。 また伺います。ありがとうございました!」
「終始話しかけてくださったので痛みも気にならなかった」。ここも大事な情報です。痛みの感じ方は、声をかけてもらえるかどうかで実際に変わります。そしてこれは、言葉が通じないと成立しません。
ダウンタイムと渡韓日程の組み方
モードによって、日程の組み方がまったく変わります。ここを間違えると旅行がつらくなります。
| モード | 施術直後 | 数日後 | メイク |
|---|---|---|---|
| トーニング | わずかな赤み | ほぼ残りません | 当日から可のことが多い |
| フラクショナル | 赤みとざらつき | 数日で落ち着きます | 翌日以降の案内が多い |
| スポット | 当てた部分が濃くなる | かさぶたになり1〜2週間かけて取れる | 部分的に注意が必要 |
スポット照射がいちばん厄介です。 当てた直後は色が濃くなり、そのあとかさぶたになります。これは失敗ではなく想定された経過なのですが、帰国後1〜2週間、顔に点々が残った状態になります。ここを知らずに受けると驚きます。
日程の組み方としては次のようになります。
- トーニングだけ — 帰国日に受けても問題になりにくいです
- フラクショナル — 渡韓の初日か2日目に。帰国翌日に予定があるなら避けてください
- スポット — 帰国後の予定を1〜2週間分見てから決めてください
かさぶたは無理にはがすと跡が残ることがあります。取れるまで触らないこと、そして紫外線対策を徹底することを、施術後に必ず確認してください。ここを守れないなら、スポットは次の機会にしたほうがよいです。
費用はどう決まるのか
ピコレーザーの費用は、次の要素で動きます。
| 変数 | 内容 |
|---|---|
| モード | トーニング、フラクショナル、スポットで価格帯が違います |
| 機器 | 使う機器でメニューが分かれていることがあります |
| 範囲・個数 | スポットは個数制と範囲制(取り放題)があります |
| 回数パッケージ | トーニングは5回・10回でまとめると1回あたりが下がります |
| 同日の組み合わせ | 複数モードを組むとセット価格になることがあります |
公開メニューで見かける範囲を、あくまで目安として並べます。
| 内容 | 目安 | 円換算の目安 |
|---|---|---|
| ピコトーニング(1回) | 3万〜10万ウォン | 約3,000〜10,000円 |
| ピコトーニング(5〜10回) | 20万〜60万ウォン | 約20,000〜60,000円 |
| ピコフラクショナル(1回) | 10万〜25万ウォン | 約10,000〜25,000円 |
| スポット照射(部分・個数制) | 5万〜20万ウォン | 約5,000〜20,000円 |
| 範囲制(いわゆる取り放題) | 20万〜40万ウォン | 約20,000〜40,000円 |
※上記は公開メニューで確認できた範囲の目安です。キャンペーン、機器、範囲、回数、クリニックによって変わります。為替も変動しますので、円換算は10,000ウォンを約1,000円として計算した概算とお考えください。金額はカウンセリングの場で提示してもらってください。
見積もりが想定を超えることは実際にあります。
「ピコレーザートーニングと脂肪溶解を一緒に予約しましたが、カウンセリングで予算より高くなってしまったので、顔だけの施術になりました。 日本語が通じてよかったです。」
この方はその場で範囲を狭めて調整されています。これは正しい対応です。予算を超えたときに「やめます」か「全部受けます」の二択だと思ってしまう方が多いのですが、範囲を減らす、回数を減らす、モードを一つ外すという調整ができます。日本語が通じたからこの調整ができた、という点も見逃せません。
日本語は通じますか?通訳とカウンセラー(室長)
ピコレーザーは、日本語が通じるかどうかが結果に直結する施術です。理由は三つあります。
- モードの確認が必要 — どのモードをどこに当てるかで、帰国後の顔が変わります
- 施術中の痛みのやり取り — 出力はその場で調整してもらえます
- アフターケアの説明 — かさぶたの扱いと紫外線対策を正確に理解する必要があります
特に三つ目です。かさぶたをどう扱うかを聞き間違えると、跡が残る可能性があります。 ここは雰囲気で分かったつもりにならず、日本語で確認してください。
韓国のクリニックの日本語対応は、大きく三つに分かれます。
- 日本人スタッフが在籍 — 受付から施術中の声かけまで日本語で完結します
- 日本語ができる韓国人カウンセラー — 医師とのやり取りは通訳を挟むことがあります
- 通訳が同席 — 医師の診察と施術に通訳が入り、その場で訳してくれます
注意しておきたいのは、カウンセリングは日本語だったのに施術室では韓国語だけになるケースがあることです。予約の段階で「施術中も日本語で声をかけてもらえますか」と聞いておくと確実です。
カウンセラー(室長)が先に出てくる流れ
韓国では、医師の診察の前にカウンセラー(室長と呼ばれます)が相談に入るのが一般的です。悩みと予算をここで聞かれ、そのうえでメニューが組まれます。先ほど引用した口コミでも「室長が超丁寧にカウンセリングしてくれた」と書かれていました。室長は営業担当ではなく、メニューを組む役割の人だと考えていただくと分かりやすいと思います。
そして韓国では、複数の施術を同じ日にまとめて受けるのが当たり前です。ピコは所要時間が短いので、ほかのメニューに追加される形で提案されることも多いです。
予約時に日本語で送っておくとよいこと
- どのモードを希望しているか(全体のくすみか、濃い部分か、毛穴か)
- 帰国日と、そのあと1〜2週間の予定(かさぶたが出てよいかどうか)
- 予算の上限
- 施術中も日本語で声をかけてもらえるか
- 過去に受けたレーザーの種類と、そのときの反応
多くのクリニックがLINEやカカオトークで日本語の問い合わせを受け付けています。かさぶたが出てよいかどうかは特に重要なので、文章で残しておいてください。
向いていない方・よくある質問
次に当てはまる方は、少なくともスポット照射は見送ったほうがよいと思います。
- 帰国後1〜2週間に人前に出る予定がある方 — かさぶたが残ります
- 紫外線対策を続けられない方 — 施術後に色素が戻ることがあります
- 1回で終わらせたい方 — トーニングもフラクショナルも回数が前提です
- 妊娠中・授乳中の方、日焼け直後の方 — 受けられない場合があります
Q. ピコトーニングは何回受ければよいですか? 1回では変化を感じにくい施術です。複数回を前提に組まれることが多く、渡韓のたびに1回ずつ重ねている方もいます。
Q. 痛みはどれくらいですか? モードと出力によります。トーニングは輪ゴムで弾かれる程度と表現されることが多く、スポットはそれより強く感じます。
Q. 帰国日に受けても大丈夫ですか? トーニングなら組みやすいです。スポットやフラクショナルは、帰国後の予定を見てから決めてください。
Q. ポテンツァとどちらがよいですか? 狙うところが違います。色ムラやくすみが中心ならピコ、ニキビ跡の凹凸や毛穴の引き締めが中心ならポテンツァが候補になります。両方を組む提案もあります。
Q. 何回か受けたのに変化を感じません。 モードが悩みと合っていない可能性があります。次のカウンセリングで「これまで何を何回受けたか」を伝えて、モードごと見直してもらってください。施術履歴を日本語のメモにして持っていくと話が早いです。
まとめ
- ピコレーザーは機器の名前であって施術名ではありません。当て方で別物になります
- トーニング・フラクショナル・スポットの3つは目的も日程の組み方も違います
- 「ピコ消しゴム」「ダブルピコ」などの呼び名は中身がクリニックで違うことがあります。必ず確認してください
- スポット照射はかさぶたになり、帰国後1〜2週間残ります。日程は逆算して決めてください
- 濃い部分は種類によって当て方を変えます。自己判断で指定せず、診察で決めてもらってください
- 予算を超えたら、範囲や回数を減らす調整ができます。二択だと思わないでください
- かさぶたの扱いと紫外線対策の説明は、必ず日本語で確認してください