「韓国 クマ取り」で検索すると、体験談が次々と出てきます。ところが読み進めるうちに、多くの方が同じところでつまずかれます。書いてある内容が、記事によってまったく違うのです。注射を受けたという方もいれば、レーザーを当てたという方もいて、手術を受けたという方もいらっしゃいます。それでいて、どの記事も「クマ取り」と書いてあります。
これは、書いている方が間違えているわけではありません。「クマ取り」という言葉が、もともと一つの施術を指していないことが原因です。日本語でも韓国語でも、目の下の悩みに向き合う施術は複数あり、それが一つの言葉でまとめて呼ばれています。ですので、体験談を何本読んでも、自分が受けることになるものが見えてきません。
この記事では、その言葉が実際にどれを指しているのかを分けて整理します。あわせて、韓国の法令ではこれらがどう区分されているのか、費用が決まる仕組み、目元という部位ならではの注意点、そして日本語でどこまで確認できるのかまで、現地の視点でまとめました。なお、クマそのものの三つのタイプの見分け方についてはクマの三つのタイプの見分け方で詳しく整理していますので、そちらもあわせてご覧ください。

「クマ取り」という言葉は、一つの施術を指していません

カウンセリングで案内されるものを整理すると、大きく三つの方向に分かれます。向き合っている相手がそれぞれ違います。
| 方向 | 何に向き合っているか | どんな形で案内されるか |
|---|---|---|
| 色素の方向 | 皮膚そのものに残った色 | レーザーや外用の薬など、色に働きかける施術として案内されます |
| ハリ・厚みの方向 | 皮膚の薄さや質感 | 注射で入れる施術として案内されることが多い方向です |
| 形・ふくらみの方向 | 目の下のふくらみや、その下にできる影 | 手術として案内される方向です |
この三つは、必要な時間も、費用の桁も、施術後の経過もまったく違います。にもかかわらず、料金表では同じ「クマ」の欄に並んでいることがあります。 ここが混乱の入口です。
ですので、メニュー名を見て決めるのではなく、カウンセリングで「これは三つのうちどの方向の施術ですか」と聞いていただくのが確実です。色に働きかけるものなのか、厚みを出すものなのか、形を変えるものなのか。この一言で、話がはっきりします。
実際に受けられた方の口コミにも、肌の状態を診てから提案されたという声があります。
「カウンセリングから、きれいなお姉さんが肌状態を見て診断してくれます。」
「私は目の下のクマと毛穴が悪かったので次はおすすめされたアイリジュランなポテンツァが気になります🫧」
後者の方は、AIによる肌診断を受けたうえで、目の下と毛穴について提案を受けたと書かれています。診てから提案されているかどうかは、口コミを読むときの一つの手がかりになります。口コミの読み解き方は目元の施術の口コミの読み方にも整理しています。
韓国の法令では、これらの区分が分かれています
三つの方向が別物であることは、韓国の法令の書き方にも表れています。韓国では、治療を目的とする医療には付加価値税(日本の消費税にあたる税金)がかからず、美容を目的とする施術は課税の対象として扱われます。その線引きが、付加価値税法施行令に施術名の形で並んでいます。
この記事の最初に載せた画像が、その条文です。黄色く示された部分に、韓国語で「색소모반ㆍ주근깨ㆍ흑색점ㆍ기미 치료술」(色素性母斑・そばかす・黒色点・シミの治療術)や「지방용해술」(脂肪溶解術)、「피부재생술」(皮膚再生術)が並んでいます。色に働きかける施術も、脂肪に働きかける施術も、ここに書かれています。
一方で、手術にあたるものは別の目に置かれています。

この二つの並びを見比べていただくと、韓国の制度の上でも「色や質感に働きかけるもの」と「形を変えるもの」が別の枠で扱われていることが分かります。渡韓される方にとって実務上の意味は一つです。同じ「クマ取り」という言葉でも、比べていい相手と、比べても意味のない相手があるということです。
そしてどちらの枠に入るものであっても、韓国では美容目的として課税の対象になります。ですので、提示された金額が税込みかどうかは必ず確認してください。韓国のクリニックの価格表示は、税込みのところと税別のところが混在しており、桁が大きい施術ほどこの差は無視できません。
なお、日本の医療保険が使える種類の医療とは制度上の位置づけが違いますので、費用は全額が自己負担になります。加入されている海外旅行保険が美容目的の施術を対象にしているかどうかも、渡航前にご自身で確認しておかれると安心です。
注射で入れる方向を提案されたときに、確認すること
三つの方向のうち、渡韓される方がいちばん多く提案を受けるのが注射で入れる方向です。ここは確認事項がはっきりしていますので、そのまま使える形でまとめます。
まず、何を入れるのかです。目元は顔のなかでも皮膚が薄い部位ですので、入れるものによって考え方が変わります。製品名を聞いておくと、あとからご自身で確認できます。韓国の食品医薬品安全処は、承認された医薬品を誰でも検索できる形で公開しています。

次に、量と範囲です。目の下だけなのか、目の周り全体なのか、頬の上のほうまで含むのかで、必要な量も金額も変わります。「この金額に含まれる範囲を、顔の図で示していただけますか」と聞くと、行き違いが起きにくくなります。
三つめが、回数です。1回で完結する前提の金額なのか、複数回を前提としたセットなのかで、総額が大きく変わります。
| 確認する項目 | そのまま使える聞き方 |
|---|---|
| 入れるもの | 「使う製品の名前を教えていただけますか」 |
| 量 | 「1回でどのくらいの量を使いますか」 |
| 範囲 | 「この金額に含まれる範囲はどこまででしょうか」 |
| 回数 | 「これは1回の金額ですか、セットの金額ですか」 |
| 麻酔 | 「麻酔は使いますか。費用は含まれていますか」 |
| 経過 | 「腫れや内出血が出た場合、どのくらいで落ち着きますか」 |
最後の「経過」は、目元だからこそ必ず聞いておいてください。理由は次の章でお伝えします。
もう一点、同じ日にほかの施術を重ねるかどうかも考えておかれるとよいと思います。せっかくの渡韓だからと同じ日に肌の施術を入れると、赤みや腫れが出たときにどちらの影響なのか分からなくなります。「同じ日に受けても差し支えない施術と、日を分けたほうがよい施術を教えてください」と聞いておくと、当日の判断がしやすくなります。
目元は、隠しにくい部位です
顔のほかの部位と決定的に違うのが、目の下はメイクで隠しにくいという点です。頬や額であれば、赤みが出てもある程度は隠せます。ところが目の下は、コンシーラーを重ねるほど目立つことがありますし、そもそも施術の直後にメイクをしてよいかどうかの案内が出ることもあります。
ですので、渡韓の日程を組むときは、帰国後の予定から逆算していただくのが安全です。
- 帰国の翌日に人前に出る予定がある場合は、余裕のある日程に変えられないか検討します
- 撮影や式など動かせない予定がある方は、その日から十分に離した日を選びます
- 施術日を渡韓の最終日にせず、現地で相談できる日を1日は残しておきます
- 帰国後に不安が出たときの連絡先を、渡韓前に確認しておきます
そして「どのくらいで落ち着きますか」と聞くときは、平均だけでなく「早い方と時間がかかる方の幅」もあわせて聞いてください。幅を先に知っておけば、ご自身の経過がその範囲のなかにあると分かるだけで、気持ちがずいぶん違います。ダウンタイムの考え方はダウンタイムの少ない施術の考え方にも整理しています。
費用は「何を・どこまで」で決まります
金額はクリニック・時期・量によって動きますので、この記事では具体的な数字を書きません。代わりに、何が金額を動かしているのかをお伝えします。
- どの方向の施術か(色・厚み・形のどれか)
- 使う機器や製剤の種類
- 1回に使う量、あるいは照射の回数
- 施術する範囲
- 1回の価格か、複数回のセット価格か
- 初回だけの価格が表示されていないか
- 麻酔・薬・再診が含まれているか
- 表示が税込みか税別か
同じ「クマ取り」という名前で並んでいても、この八つが違えば総額はまったく変わります。「この金額に含まれないものを、すべて教えてください」と一度聞いてしまうのが、いちばん早い確認方法です。
口コミには、価格の手頃さに触れているものもあります。
「お手頃価格で施術が受けられるので、気になっていたものをいくつかお願いしました。」
「大きなシミから小さなシミまで丁寧に施術してくださり、いままでコンプレックスだったシミがとれてすごく嬉しいです。」
ただし、口コミに書かれた金額は、その方が受けた条件での金額です。範囲も量も回数も違えば、同じ金額にはなりません。色に働きかける方向の考え方についてはシミ取りの考え方もあわせてご覧ください。
体験談を読むときに、どこを見ればよいのか
冒頭でお伝えしたとおり、「クマ取り」の体験談は内容がばらばらです。とはいえ、読む価値がないわけではありません。見るところを決めて読めば、十分に参考になります。
読むときに確認していただきたいのは、次の五つです。
| 見るところ | なぜ見るのか |
|---|---|
| どの方向の施術か | 色・厚み・形のどれかが書かれていないと、自分と比べられません |
| 何回目の施術か | 初回の感想と、回数を重ねた後の感想では意味が違います |
| いつの話か | 料金も取り扱う施術も変わりますので、時期が古いと前提が違います |
| 費用に何が含まれるか | 麻酔や薬が別だったのかどうかで、金額の意味が変わります |
| 日本語での説明があったか | 説明を受けたうえでの感想なのかが分かります |
逆に、あまり参考にならないのが「痛かった」「痛くなかった」だけの記述です。痛みの感じ方は個人差が大きく、麻酔の使い方によっても変わりますので、そのまま自分に当てはめることはできません。同じように、金額だけが書かれていて範囲も回数も書かれていない記述も、比較の材料にはなりにくいところです。
もう一つ、書き手が何を目的に受けたのかを見てください。同じ目の下でも、色が気になって受けた方と、ふくらみが気になって受けた方では、満足の基準がまったく違います。目的が自分と近い方の体験談だけを読むほうが、結果として役に立ちます。
外国人患者の受け入れ登録は、無料で確認できます
韓国では、外国から来た患者を受け入れる医療機関の登録制度があります。登録した医療機関は、韓国保健産業振興院が運営する公式サイトで誰でも無料で照会できます。

画面の上のメニューから照会の画面に進み、クリニックの韓国語名を入力すると、登録の状態を確認できます。この登録は日本語対応の質を保証するものではありませんが、外国から来る患者を受け入れる前提で体制を整えているという一つの手がかりにはなります。
日本語では、どこまで確認できるのか
ここまでお伝えしてきたことは、どれも日本語で聞けなければ確認できない内容ばかりです。特に目元は、範囲も量も細かい話になりますので、意思疎通の精度がそのまま結果に響きます。
日本語対応と書かれていても、実際の体制には段階があります。
- 常勤の日本人スタッフや通訳の方がいる——方向の違い、範囲、含まれない費用まで、その場で確認できます
- 日本語の窓口が予約対応のみ——予約は取れても、当日の説明や会計では通じないことがあります
- 翻訳アプリで対応——おおまかな内容は伝わりますが、範囲や量を詰める場面では行き違いが起きやすくなります
見分け方として、予約の問い合わせのときに一言添えてみてください。「目の下について、どの方向の施術を提案されるのか、日本語で説明していただけますか」という聞き方です。この質問に方向の話で返ってくるか、メニュー名と金額だけが返ってくるかで、当日の状況がかなり見えます。
もう一つ。韓国では、まずカウンセラーの方が対応し、そのあとに医師が出てくる流れが一般的です。この流れ自体は珍しいものではありませんが、目元のように部位が限られた相談では、医師と直接話せる時間があるかどうかが大きな差になります。「当日、医師と直接お話しできる時間はありますか」と予約時に確認しておくことをおすすめします。当日は、カウンセラーの方と医師のどちらから話を聞くことになるのかも、あわせて確認しておいてください。
よくある質問
Q. 「クマ取り」という名前で予約すれば、同じ施術が受けられますか。
同じ名前でも、クリニックによって指している施術が違うことがあります。色に働きかけるもの、厚みを出すもの、形を変えるものが、同じ言葉でまとめられているためです。予約の前に「どの方向の施術になりますか」を確認してください。
Q. 自分がどのタイプか、事前に分かりますか。
ご自身で完全に見分けることはむずかしく、複数のタイプが混ざっていることもあります。おおまかな見分け方は別の記事に整理していますが、最終的な判断は必ず医師の診察でご確認ください。
Q. 1回で変化を感じられますか。
効果の出方には必ず個人差があり、方向や施術の種類によっても変わりますので、断定してお伝えすることはいたしません。カウンセリングでは「何回くらいを想定した提案ですか」と、前提となる回数を聞いておくと、費用の見積もりが立てやすくなります。
Q. 日本と韓国では、どちらが安いのでしょうか。
金額は施術の方向・範囲・量・回数によって動きますので、比較の数字を書くことはいたしません。比べる場合は、同じ方向の施術どうしで、範囲と回数と税の扱いをそろえてから比べてください。
Q. 施術のあと、すぐに帰国しても大丈夫でしょうか。
可能かどうかは施術の種類とご自身の状態によりますので、担当の医師にご確認ください。日程の組み方としては、目元は隠しにくい部位ですので、帰国前に相談できる日を残しておくほうが安全です。
※ 本記事は用語と制度の整理であり、医学的な助言ではありません。施術の適否、効果、リスクについては必ず医師の診察を受けてご判断ください。掲載した法令および公的サイトの内容は執筆時点で確認できたものであり、制度は改正される場合があります。