「二つのクリニックで見積もりをもらったのですが、どちらが安いのか分かりません」。リフトアップの施術について、いちばん多くいただくご相談がこれです。金額の数字は出ているのに、比べられない。もどかしい状態だと思います。
原因は、比べようとしている二つが、そもそも同じ土俵に乗っていないことにあります。片方は照射の回数で、もう片方は本数で数えている。範囲も違う。片方には麻酔が含まれていて、もう片方は別料金になっている。この状態で数字だけを見ても、比べたことにはなりません。
この記事では、金額そのものではなく、「比べられる形に整える手順」をご説明します。比較の土俵さえそろえば、あとの判断はご自身でできます。あわせて、韓国の法令の原文で、リフトアップ系の施術がどう分類されているかも確認しました。

比較しようとすると、必ず詰まる三つの理由
ご相談を伺っていると、詰まる箇所はほぼ決まっています。
一つ目は、数える単位が違うことです。 熱で働きかける施術はショット数やラインの本数で数えられ、糸を使う施術は本数で数えられます。注入する施術は量で数えられます。単位が違うものは、そのままでは並べられません。
二つ目は、範囲の定義が違うことです。 「顔全体」と書かれていても、あごの下が入るか、首が入るか、こめかみが入るかは、クリニックによって変わります。範囲が違えば、金額が違うのは当然です。
三つ目は、含まれるものが違うことです。 麻酔、アフターケアの薬、施術後のパック、次回の診察——これらが金額に含まれているか別途かで、支払う総額は変わります。
つまり、比較で見るべきなのは数字ではなく、その数字がどんな条件の上に立っているかです。 ここを揃える作業が、比較の本体になります。
そして、この作業は現地でしかできない部分と、事前にできる部分に分かれます。条件を書き出す枠を先に作っておけば、当日は空欄を埋めるだけで済みます。渡韓の限られた時間のなかで、その場で考えることを減らしておくのが、いちばん効きます。
韓国の法令でも、二つの括りに分かれています
制度の側を見ておくと、この「そもそも同じ列に並んでいない」という感覚がはっきりします。
韓国の「付加価値税法施行令」には、美容を目的とした施術の名前が列挙されているのですが、それが一か所にまとまっているわけではありません。号が分かれています。


一枚目に並んでいるのは、二重まぶたの手術、鼻の手術、豊胸・縮小術、脂肪吸引術、しわ取り術、輪郭の手術、歯の審美に関するものなど、手術にあたるものです。
二枚目に並んでいるのは、色素母斑・そばかす・黒色点・シミ治療術、ニキビ治療術、脱毛術、薄毛治療術、植毛術、タトゥー術およびタトゥー除去術、ピアッシング、脂肪溶解術、皮膚再生術、皮膚美白術、抗老化治療術および毛穴縮小術です。
日本語で「リフトアップ」とひとまとめに呼んでいるものは、この二つにまたがっています。 しわ取り術や輪郭に関するものは一枚目の側に、皮膚再生術や抗老化治療術は二枚目の側に並びます。制度の側でも同じ列に置かれていないものを、メニュー表の上でだけ横並びに比べようとしているわけです。
比較が難しく感じられるのは、ご自身の理解が足りないからではなく、もともと性質の違うものが同じ棚に並んでいるからだと考えてください。
まず、数える単位を確認します
そのうえで、実務に入ります。最初にすることは、それぞれの見積もりが何を単位にしているかを書き出すことです。
| 施術の性質 | よく使われる単位 | 比較のときに聞くこと |
|---|---|---|
| 熱を届けるもの | ショット数、ライン数 | 「何ショット分ですか」「範囲はどこまでですか」 |
| 糸を使うもの | 本数 | 「何本ですか」「どの部位に入れますか」 |
| 注入するもの | 量、本数 | 「どれだけ使いますか」「部位ごとに分けますか」 |
| 筋肉に働きかけるもの | 単位数 | 「何単位ですか」「何か所ですか」 |
| 脂肪に働きかけるもの | 回数、部位 | 「一回分ですか」「何部位分ですか」 |
この列が埋まらないまま金額だけを比べても、意味がありません。 逆に言えば、この列さえ埋まれば、あとは単純な比較になります。
なお、単位の数え方はクリニックごとの決めごとであって、どちらが正しいというものではありません。ですので「そちらは何で数えていますか」と素直に聞くのが、いちばん早い進め方になります。
聞きにくいと感じる方もいらっしゃいますが、これは値切りの交渉ではなく、内容の確認です。現地でも当たり前に交わされているやりとりですので、遠慮は不要です。
比較シートに入れる十項目

実際に二つ以上の候補を並べるとき、書き出しておくとよい項目をまとめました。紙でも、スマートフォンのメモでもかまいません。
| 項目 | 埋める内容 |
|---|---|
| 施術の正式名称 | 商品名ではなく、何の施術かが分かる名前 |
| 単位と数 | ショット数・本数・量・単位数など |
| 範囲 | どこからどこまでが含まれるか |
| 回数の前提 | 一回で完結か、重ねる前提か |
| 次回までの間隔 | 重ねる場合、どのくらいあけるか |
| 麻酔 | 含まれるか、別料金か |
| アフターケア | 薬・パック・次回診察が含まれるか |
| 税の扱い | 表示が税込みか税別か |
| 初回条件 | 初回限定の設定があるか |
| 当日の所要時間 | 麻酔の待ち時間を含めた合計 |
十項目のうち、最後の「所要時間」を入れておくことをおすすめします。 渡韓中は時間そのものが資源です。金額が近い二つで迷ったとき、所要時間の差が決め手になることがあります。
比較のための表そのものの作り方は比較シートの作り方にも整理してあります。金額の見方については相場の読み方のほうが近いかもしれません。
同じ名前でも、中身が同じとは限りません
比較でもうひとつ落とし穴になるのが、名前です。メニュー表に同じ名前が並んでいても、使う機械の世代、当てる範囲、担当する人、一回あたりの出力の設定が同じとは限りません。
ですので、比較のときは名前で照合せず、上の十項目で照合してください。 名前が違っても十項目が同じなら比べられますし、名前が同じでも十項目が違えば比べられません。
施術の種類ごとの性質の違いはリフトアップの施術タイプ別の違いにまとめてあります。まずタイプの違いを押さえてから比較に入ると、作業がずっと楽になります。
実際、現地では複数を組み合わせて受ける方が多く、そうなると「一つの施術名で比べる」こと自体が成り立たなくなります。
「リジュラン、ジュベルク、ピコ、スキンボトックス、コラスターと詰め込みました!」
このような受け方をした場合、比較の単位は施術名ではなく、その日一日の組み立て全体になります。見積もりも、その形でもらってください。
口コミを比較材料にするときの注意
金額以外の材料として、口コミを見る方が多いと思います。有効な材料ですが、比較に使うときには読み方があります。
まず、良い評価の口コミは「何が良かったか」を特定して読みます。 施術の結果が良かったのか、説明が丁寧だったのか、通いやすかったのか。同じ星の数でも、褒めている対象が違えば、ご自身にとっての意味も変わります。
「色んなクリニックに行きましたが、ここはカウンセリングがとても丁寧でした!」
この方が評価しているのはカウンセリングです。説明を重視される方には強い材料になりますが、所要時間の短さを重視される方には別の材料が必要になります。
低い評価の口コミも、同じように「何が不満だったか」で読みます。
「外国人のお客さんが多く、待ち時間はとても長いです。価格面でのメリットも以前ほど感じられません。」
「最大の欠点は、メインの先生が常駐しておらず、スタッフが毎月のように入れ替わる点です。参考にしてください。」
この二つは、施術の結果についてではなく、運営の体制について書かれています。 待ち時間と担当者の継続性は、ご自身が何回か通う前提であれば重い材料になりますし、一回だけの渡韓であれば重みが変わります。
重要なのは、口コミを「良い・悪い」で足し算しないことです。 ご自身の条件に照らして、その指摘が自分にとって重いかどうかで重みづけしてください。口コミそのものの読み方は口コミの読み方に詳しくまとめています。
二つの見積もりを並べる手順

ここまでを、実際の作業手順にまとめます。
- 候補を二つか三つに絞ります——五つ以上を並べると、比較そのものが終わりません
- 十項目の表を作ります——空欄のままで作ってしまってかまいません
- カウンセリングで空欄を埋めます——その場で聞けば、たいてい答えてもらえます
- 単位を揃えます——ショット数や本数を、同じ数え方に直します
- 含まれるものを揃えます——麻酔やアフターケアを、片方に足すか両方から引きます
- 税の扱いを揃えます——税込みか税別かで、必ず片側に寄せます
- 所要時間を書き入れます——当日の予定と照らします
- そのうえで金額を見ます——ここで初めて、数字が比較の材料になります
八番目が最後に来ている点が大事です。金額から入ると、条件を揃える前に結論が出てしまいます。 そして一度「こちらが安い」と思い込んでしまうと、そのあとに出てきた条件の違いを軽く見てしまいがちです。
この手順は、渡韓の前と当日に分けて進めても問題ありません。事前に埋められるのは項目一・四・八あたりで、残りはカウンセリングで埋まります。空欄のまま持っていくのがコツで、埋めるべき欄が目に見えていると、聞き忘れが起きにくくなります。
「今日いくら」ではなく「一巡でいくら」で見ます
比較でもっとも差が出やすいのが、この視点です。
リフトアップ系の施術には、一回で完結する組み立てのものと、間隔をあけて重ねる組み立てのものが混ざっています。この二つを「今日支払う金額」だけで比べると、重ねる前提のほうが安く見えます。ところが、想定される回数まで含めると順序が入れ替わる、ということが起こります。
ですので、見積もりをもらうときには、次の二つを必ず添えて聞いてください。
- 「これは一回で完結する前提ですか、重ねる前提ですか」
- 「重ねる前提なら、一巡は何回で、間隔はどのくらいですか」
この二つが分かれば、一巡分の総額という同じ物差しに置き直せます。渡韓の回数が限られている方にとっては、ここが実質的な比較の中心になります。
もうひとつ、重ねる前提の施術については、「途中で来られなくなった場合、それまでの分はどう位置づけられますか」も聞いておいてください。日本から通う以上、予定どおりに渡韓できないことは十分にありえます。その場合の扱いが最初から分かっていれば、選び方そのものが変わります。
比較しても決まらないときの決め方
十項目を揃えたのに、それでも決まらないということはあります。条件が近いのですから、当然です。
そういうときは、比較をやめて、優先順位を一つ決めてください。 説明の丁寧さなのか、所要時間の短さなのか、通訳の体制なのか、通いやすさなのか。一つだけ選んで、それで決めます。
現地では、こういう決め方をされている方もいらっしゃいます。
「色々大まかに相談言うとカウンセラーが見繕ってくれて助かる」
選択肢を自分で絞りきれないときは、条件と予算を先に伝えて、提案してもらうという方法もあります。 そのうえで、提案されたものに対して十項目を聞き返せば、結局は同じところに着地します。
日本語では、どこまで確認できるのか
ここまで書いてきた十項目は、すべて言葉のやりとりで埋める情報です。 ですので、日本語がどこまで通じるかが、そのまま比較の精度に効いてきます。
日本語対応と書かれていても、中身には幅があります。
- 常勤の通訳や日本語ができるスタッフがいる——十項目のすべてをその場で確認できます
- 予約の窓口だけ日本語——当日の細かい数の確認は、別の手段になることがあります
- 翻訳の道具で対応——施術の説明はできても、単位や範囲の確認では行き違いが起きやすくなります
とくに危ないのが、数の確認です。 ショット数、本数、単位数、量——これらは聞き間違いがそのまま金額の差になります。翻訳の道具ごしだと、数字だけが正しく伝わって、その数字が何の数字なのかが抜け落ちることがあります。
対策としては、その場で紙かスマートフォンに数字を書いてもらうのが確実です。「何ショットですか」と聞いて口頭で答えをもらったら、「書いていただけますか」と続けてください。書かれたものが残っていれば、あとで確認できます。
そして、比較の相談をする段階で、「見積もりを日本語で書面かメッセージでいただけますか」と聞いてみてください。書面でもらえるかどうかは、それ自体が対応の段階を測る材料になります。
よくある質問
Q. 見積もりは、渡韓前にもらえますか。
クリニックによって対応が分かれます。予約の問い合わせの段階で「おおよその内容と条件を先に教えていただけますか」と聞いてみてください。実際の金額は診察のうえで決まりますので、事前の案内はあくまで目安になります。
Q. 施術の名前が違うと、比較できませんか。
名前ではなく条件で照合すれば比較できます。単位・範囲・回数の前提・含まれるもの・税の扱いを揃えれば、名前が違っていても同じ土俵に乗ります。逆に、名前が同じでも条件が違えば比べられません。
Q. 安いほうを選んで問題ないでしょうか。
条件を揃えたうえで金額に差が残るのであれば、その差が何から来ているのかを確認してください。範囲が狭い、回数が少ない、含まれるものが少ないといった理由が見つかることがあります。理由が説明できるのであれば、選ぶ判断はご自身の優先順位によります。
Q. 現地で追加を提案されたら、どうすればよいですか。
その場で決めなくてかまいません。「今日はこの内容でお願いします」と伝えれば、それで進みます。追加を検討する場合は、追加分についても単位・範囲・含まれるものを聞いてから判断してください。
Q. 比較の相談だけでカウンセリングを受けても大丈夫ですか。
カウンセリングは内容と条件を確認する場ですので、その場で受けると決めなければならないわけではありません。ただし予約枠を使いますので、日程には余裕を持たせておくことをおすすめします。
※ 本記事は2026年8月31日時点で確認できた韓国の法令の原文と、日本語で書かれた口コミをもとに整理したものであり、特定の施術やクリニックをおすすめするものではありません。効果や適応には個人差があり、医学的な判断は診察を受けた医師によります。実際の施術の可否・内容・費用は、必ず医療機関にご確認ください。