「もともと肌が弱いのですが、韓国で唇まわりの施術を受けても大丈夫でしょうか」——このご相談は、渡韓の準備を進めている方から折々いただきます。
ただ、この質問にお答えする前に、確認したいことがひとつあります。「リップ」という言葉が、実はいくつもの違う施術をまとめて指しているということです。唇の色を整えるものと、唇の形にふくらみを足すもの、唇のまわりのくすみに向けたケアでは、肌にかかる負担も、確認しておきたいことも変わります。
そしてもうひとつ。唇とそのまわりは、顔のほかの部位と条件が違います。皮膚が薄く、粘膜に近く、食事や会話で毎日動く場所です。敏感肌の方にとっては、頬や額と同じ感覚で判断しにくい部位でもあります。この記事では、金額や特定の施術をおすすめする代わりに、受ける前に自分で確認できることを順番に整理します。
「リップ」と呼ばれているものを、まず分けます
日本語の記事で「韓国のリップ」と書かれているとき、指しているものは主に次のように分かれます。
| 呼ばれ方 | 何をするものか | 敏感肌の方が気にする点 |
|---|---|---|
| リップのアートメイク | 唇に色素を入れて色や輪郭を整えるもの | 色素・麻酔クリーム・傷が治るまでの期間 |
| 唇のヒアルロン酸 | 注入して形やふくらみを変えるもの | 注入する製品の種類・腫れの出方 |
| 唇まわりのくすみケア | 口のまわりの色ムラに向けた施術 | 照射やピーリングの刺激 |
| 唇のスキンケア | 保湿や角質のケアにあたるもの | 使う外用品の成分 |
同じ「リップ」でも、皮膚に色素を入れるものと、皮下に注入するものと、表面に当てるものでは、確認すべきことがまったく違います。カウンセリングの前に、自分がどれを考えているのかをはっきりさせておくだけで、話がずいぶん進みやすくなります。
「どれが自分に合うか分からない」という場合も、そのまま伝えて差し支えありません。実際に、その場で見てもらってから決めたという声もあります。
「したい施術を考えてきたのですが、肌を直接見て1番いい施術を提案してくれました。無理に痛いことはせず最善のプランをわかりやすくセットしてくれました!」
唇とそのまわりは、条件が違います
敏感肌の方が唇まわりで気にしておきたいのは、次のような点です。
- 皮膚が薄く、粘膜に近い——ほかの部位と同じ刺激でも、反応の出方が違うことがあります
- 毎日動く——食事、会話、飲み物。安静にしていられない部位です
- 乾燥しやすい——もともと乾きやすいところに施術が加わります
- 人目につく——マスクで隠せる時期もありますが、赤みや腫れが出たときの生活への影響は大きくなります
- 口唇ヘルペスの既往がある方は、事前に伝える項目が増えます——過去に出たことがあるかどうかは、必ず申告してください
とくに最後の項目は、ご自身で覚えている情報が判断の材料になります。「以前に唇に水ぶくれができたことがある」という履歴は、忘れずに伝えていただきたい情報です。
肌が弱い方全般に向けた考え方は敏感肌で韓国の肌管理を受けるときの判断にまとめていますので、あわせてご覧ください。
敏感肌の方が、受ける前に確認しておきたいこと
順番に整理すると、次のようになります。
| 確認すること | 具体的に聞く形 |
|---|---|
| 使う麻酔 | 「麻酔クリームは何を使いますか。成分名を教えてください」 |
| 過去の反応 | 「以前に麻酔で反応が出たことがあります」と先に伝える |
| 使う製品 | 「注入する(入れる)製品の名前を教えてください」 |
| 事前のテスト | 「部分的に試してから判断できますか」 |
| 治るまでの期間 | 「何日くらい、見た目に出ますか」 |
| 当日以降のケア | 「その日から何を塗りますか。何を避けますか」 |
| 何かあったときの連絡先 | 「日本に戻ってから相談したい場合はどうすればよいですか」 |

最後の項目は見落とされやすいところです。渡韓して受ける場合、経過を見てもらえるのは滞在中だけになります。帰国後に気になることが出たときの連絡手段を、施術前に確認しておくと安心です。
痛みの感じ方については、施術中の痛みの考え方も参考になります。
麻酔クリームや使う薬は、成分名で調べられます
「何を使うか教えてください」とお願いしたあと、その名前を自分で調べられる場所があります。韓国の食品医薬品安全処(食薬処)が公開している、医薬品などの承認情報を検索できる画面です。

冒頭に載せた画像は、この画面で「리도카인(リドカイン)」を調べたときの結果です。クリーム、注射、貼付剤といった剤形の違う品目が、同じ一覧のなかに並んでいます。つまり、同じ成分名でも、実際に使われるものは形も濃度も違うということです。
ここから分かるのは、「麻酔クリームを使います」という説明だけでは、自分にとっての判断材料としてはまだ足りない、ということです。製品名まで聞いておけば、あとから調べ直すこともできます。
なお、韓国語のみの画面ですが、入力する欄と押す場所は決まっています。ハングルの製品名は、カウンセリングで書いていただいたものをそのまま入力すれば足ります。
注入する製品も、名前だけでは中身が分かりません
唇にヒアルロン酸を入れる場合も、同じ考え方が使えます。同じ検索画面で「히알루론산(ヒアルロン酸)」を調べると、次のような一覧が出てきます。

この一覧には、点眼液のように、美容を目的としない品目も並んでいます。成分名が同じでも、用途も剤形も違うものがあるということです。ですので、「ヒアルロン酸だから安心」「ヒアルロン酸だから不安」という判断のしかたは、どちらもあまり役に立ちません。
唇に入れる製品は、硬さや粘度の違いで仕上がりが変わるものとして案内されます。部位ごとの使い分けについてはヒアルロン酸の部位別の考え方に整理していますので、そちらもご覧ください。
敏感肌の方に関して言えば、注入そのものよりも、施術前の麻酔と、施術後に塗るもののほうが、日々の肌の調子に響くことがあります。ここも同じように、名前を聞いて確認できます。
いまは受けないほうがよい状態
体調や肌の状態によっては、日を改めたほうがよい場合があります。判断は医療機関が行いますが、ご自身で気づける目安として、次のような状態は必ず申告してください。
- 唇や口のまわりに、いま炎症や傷、水ぶくれがある
- 数日以内に強い日焼けをした
- 体調を崩している、発熱がある
- 飲んでいる薬が変わったばかり、または新しく飲み始めた薬がある
- ほかの施術を受けた直後で、肌の状態が落ち着いていない
渡韓の日程が決まっていると、「せっかく来たのだから」と考えてしまいがちです。ただ、唇まわりは見た目にも生活にも出やすい部位です。当日にやめる判断ができるかどうかを、日程を組む段階で考えておくことをおすすめします。予備日を一日入れておくだけで、判断の余裕は大きく変わります。
カウンセリングで伝える順番

伝える内容が多いので、順番を決めておくと落ち着いて話せます。
- 肌が弱いこと——普段どんなときに反応が出るか、具体的に
- 過去の反応——化粧品、薬、麻酔で困ったことがあれば、その名前も
- いまの状態——乾燥している、荒れている、治りかけなど
- 飲んでいる薬・塗っている薬
- 希望——どうしたいのか。仕上がりのイメージ
- 日程——いつ帰国するのか、いつまでに落ち着いていてほしいのか
この順番で伝えると、相手も判断しやすくなります。実際に、時間をかけて相談した方の声もあります。
「そのカウセリングで最適な施術を提案してもらえます。」
痛みについても、その場で確認しながら進めてもらえたという声があります。次の投稿は眉のアートメイクについてのものですが、施術中に確認しながら進むという点は、唇まわりでも同じように大切な部分です。
「施術中も痛みの確認をしながら進めてくださり、仕上がりは想像以上に自然で、自分の眉毛のような美しいデザインになりました。」
「痛みがある施術なので、ドクターも優しく声掛けをしながらスムーズかつ丁寧に施術してくださいました。」
かかる時間の目安も、事前に聞いておくと予定を立てやすくなります。
「施術時間は麻酔クリームの塗布やアフターケアを含めて1時間弱でした。」
カウンセリングそのものの進み方はカウンセリングの流れにまとめています。
同じ日に、ほかの施術も一緒に受けてよいか
渡韓の日程は限られているので、「せっかくなら一日でまとめて受けたい」と考えるのは自然なことです。ただ、敏感肌の方の場合、ここは慎重に決めていただきたい部分です。
理由は二つあります。ひとつは、同じ日に複数の施術を受けると、もし反応が出たときに、どれが原因なのか分からなくなることです。次に受けるときの判断材料が減ってしまいます。もうひとつは、唇まわりの施術は、ほかの部位の施術と回復のしかたが違うことです。片方が落ち着いても、もう片方が残っているという状態になりやすくなります。
判断のしかたとしては、次のように整理できます。
- はじめて受ける施術が含まれる——できるだけ分けて、順番に受けます
- どちらも過去に受けたことがある——同日でも問題ないか、医療機関に確認します
- 帰国までの日数が短い——欲張らず、優先したいほうを一つ選びます
「一日にまとめられますか」と聞くこと自体は問題ありません。まとめられるかどうかの判断を医療機関にゆだねたうえで、分けたほうがよいと言われたら素直に従うという姿勢でいると、結果的に安全に進みます。
「敏感肌の方にも」と書かれた案内は、どう読めばよいのか
日本語の記事やクリニックの案内で、「敏感肌の方にも受けていただけます」という書き方を見かけることがあります。この一文をどう受け取ればよいのか、迷われる方は多いと思います。
考え方としては、その一文は「誰でも大丈夫」という意味ではなく、「相談の入口が開いている」という意味として読むのが安全です。実際に受けられるかどうかは、その方の肌の状態と、これまでの反応の履歴を見たうえでの判断になります。案内文そのものは、個々の肌を見て書かれたものではありません。
読むときの手がかりとしては、次の三つがあります。
| 見る場所 | 読み取れること |
|---|---|
| 条件が書かれているか | 「◯◯の方はご相談ください」と但し書きがあるほど、実務的です |
| 事前の確認について触れているか | 事前のテストや問診に触れている案内は、手順が定まっている可能性があります |
| 断定の強さ | 「絶対に大丈夫」といった書き方は、かえって判断材料になりません |
つまり、案内文からは「そのクリニックが敏感肌の相談を想定しているかどうか」までは読み取れますが、「自分が受けられるかどうか」は読み取れません。ここを分けて考えておくと、情報の集め方が変わってきます。
施術のあと、唇まわりでとくに気をつけること

唇まわりが顔のほかの部位と違うのは、施術のあとの過ごし方でもです。安静にしていられない部位なので、あらかじめ知っておくと戸惑いません。
- 食事——熱いもの、辛いもの、色の濃いものについて、いつから大丈夫かを聞いておきます
- 保湿——何を塗るのか、いつから塗るのかを具体的に確認します
- 触らない——気になっても、指で触ったりむいたりしないよう案内されることがあります
- 紫外線——外に出る時間が長い日程であれば、対策の方法を聞いておきます
- メイク——いつから口紅を使えるのかは、帰国後の予定にも関わります
これらは施術の種類によって変わるため、その場で口頭で聞くだけでなく、書いたものをもらえるかどうかを確認しておくと安心です。日本語の説明書きがあるクリニックもあります。ない場合は、聞いた内容をその場でメモにして、通訳の方に確認していただく方法があります。
日本語では、どこまで確認できるのか
ここまでの確認は、どれも細かい言葉のやりとりになります。「肌が弱い」という一言だけでは伝わらず、どんなときにどう反応するのかまで話す必要があります。だからこそ、日本語でどこまで話せるのかが、そのまま安全の話になります。
日本語対応には、実際には次のような段階があります。
- 常勤の日本人スタッフや通訳がいる——既往歴、麻酔の反応、使う製品名まで、その場で確認できます
- 予約の問い合わせだけ日本語——当日のカウンセリングでは通じないことがあります
- 翻訳アプリで対応——希望は伝わっても、既往歴のような細かい情報は取りこぼしが出やすくなります
敏感肌の方の場合、取りこぼしてはいけない情報が多いという点で、ほかの方より通訳の有無が重くなります。予約の段階で「既往歴やアレルギーについて、日本語で詳しく伝えられますか」と聞いておくと、当日の安心感が変わります。
伝えたい内容を、あらかじめ日本語で書き出して持っていく方法も有効です。書いたものがあれば、通訳の方が訳しやすく、聞き漏らしも減ります。薬の名前は、写真を撮っておくと確実です。
よくある質問
Q. 敏感肌でも、唇まわりの施術は受けられますか。
受けられるかどうかは、肌の状態と施術の種類によって変わり、判断するのは医療機関です。ご自身でできるのは、これまでの反応の履歴、いまの状態、飲んでいる薬を正確に伝えることです。伝える材料がそろっているほど、判断が正確になります。
Q. 麻酔で反応が出たことがあります。どう伝えればよいですか。
「以前、麻酔で反応が出たことがあります」と最初に伝えたうえで、可能であればそのときの薬の名前もお伝えください。名前が分からない場合は、いつ・どんな施術で・どんな症状が出たかを伝えるだけでも材料になります。日本語で書いたメモを持参する方法もあります。
Q. 使う製品の名前は、聞いても教えてもらえますか。
使用する薬剤や製品について確認することは、通常の質問の範囲です。ハングルで書いていただければ、韓国の食品医薬品安全処が公開している検索画面で、ご自身でも調べられます。
Q. 施術のあと、どのくらいで見た目が落ち着きますか。
施術の種類と個人差によって変わるため、一律にはお答えできません。カウンセリングで「何日くらい見た目に出ますか」と具体的に確認し、帰国日から逆算して日程を決めることをおすすめします。予備日を一日入れておくと安心です。
Q. 帰国後に気になることが出たら、どうすればよいですか。
施術前に、帰国後の連絡手段を確認しておいてください。日本語で連絡できる窓口があるかどうかは、クリニックによって異なります。また、症状が出ている場合は、まずお近くの医療機関を受診されることをおすすめします。
※ 本記事は掲載時点で確認できた韓国の公的な情報と、日本語で投稿された口コミをもとに整理したものであり、医学的な助言ではありません。特定の施術や医療機関をすすめるものでも、安全性や効果を保証するものでもありません。受けられるかどうかの判断は、必ず医療機関にご相談ください。