「韓国のダーマペンの相場は、だいたいいくらぐらいでしょうか」——渡韓の準備を始めた方から、よくいただくご質問です。そして調べはじめた方は、ほぼ全員が同じところでつまずきます。書いてある金額が、記事によってまるでそろわないのです。
先に結論をお伝えします。金額がそろわないのは、どこかの情報が古いからでも、間違っているからでもありません。「ダーマペン」という一つの名前のもとに、中身の違うものがいくつも並んでいるからです。針を刺す深さも、当てる回数も、いっしょに入れる薬剤も、施術のあとに何をするかも違います。中身が違うものの金額を横に並べても、比較にはなりません。
ですのでこの記事では、具体的な金額は書きません。金額はクリニック・メニュー・時期・為替で動くもので、いま書いた数字は読んでいただく頃には変わっている可能性が高いからです。かわりに、料金がどういう仕組みで決まっているのかを六つに分解します。仕組みが分かっていれば、カウンセリングで出てきた見積もりが自分にとって妥当かどうかを、ご自身で判断できるようになります。施術そのものの説明は韓国のダーマペンにまとめていますので、あわせてご覧ください。

「相場」という言葉が成り立たない理由
相場という言葉には、同じ条件のものが並んでいて、その真ん中あたりの価格帯という前提があります。ダーマペンでは、この前提が崩れています。
理由ははっきりしています。この施術は、機器だけでは完成しないからです。細い針で皮膚に微細な通り道を作るところまでが機器の仕事で、そこに何を入れるか、どのくらいの深さで、何回当てるかは、その日のメニュー設計によって変わります。つまり同じ機器を使っていても、実際に受けている施術は別物になり得ます。
もう一つ、韓国では施術名がクリニックごとの商品名になっていることがよくあります。日本語のメニュー表に載っている名前をそのまま検索しても、同じものが出てこないのはこのためです。名前で比べるのではなく、中身の要素で比べる必要があります。
その中身の要素が、次の六つです。
| # | 要素 | 何が変わるのか |
|---|---|---|
| ① | 針の深さと当てる回数 | 施術の負担、必要な時間、ダウンタイムの出方 |
| ② | いっしょに入れる薬剤 | 金額のいちばん大きな部分。名前も変わります |
| ③ | 範囲 | 顔全体か、部位か。首やデコルテを含むか |
| ④ | 回数のまとめ方 | 一回ごとか、複数回をまとめた形か、初回だけの価格か |
| ⑤ | アフターケアの扱い | 鎮静や保護が含まれているか、別か |
| ⑥ | 税の表記 | 表示が税込みか税別か |
以下、順番に見ていきます。
①針の深さと、当てる回数
いちばん基本の要素です。針をどのくらいの深さまで入れるか、そして同じ場所に何度当てるか。ここが変わると、施術にかかる時間も、施術後の赤みの出方も変わります。
浅く広く当てる組み立てと、深く集中的に当てる組み立てでは、目的そのものが違います。前者は肌全体の調子を整える方向、後者は凹凸のある部分に働きかける方向で提案されることが多いです。同じ「ダーマペン」でも、この二つは受けたあとの数日の過ごし方がかなり違います。
見積もりで確かめることは、次の二つです。
- 今回は、どのくらいの深さで当てる想定か
- 同じ場所に何度当てるのか(一度で終わるのか、重ねるのか)
「深さは当日の肌の状態で決めます」という答えは、誠実な答えです。その場合は「深さによって金額が変わりますか」まで聞いておいてください。ここが変わると総額が動くことがあります。
②いっしょに入れる薬剤——金額のいちばん大きな部分
正直に申し上げますと、金額の差のほとんどはここで生まれます。 機器を当てるだけの施術と、そこに何かを入れる施術では、材料の費用がまるで違うからです。
韓国のメニュー表を見ていくと、たいてい「ダーマペン+◯◯」という形で書かれています。この「◯◯」に入るものが何なのか、どのくらいの量を使うのかで、金額が決まります。組み合わせの詳しい話は施術そのものの記事に譲りますが、価格の観点で押さえるべきは次の三点です。
一つ目は、薬剤の量です。 同じ名前の薬剤でも、使う本数や量が違えば費用が変わります。「何本使いますか」「量はどのくらいですか」は、必ず聞いてよい質問です。
二つ目は、複数のものを組み合わせるかどうかです。 一度の施術で二つ以上を入れる提案を受けることがあります。それぞれの単価と、まとめたときの金額の両方を出してもらうと、判断がしやすくなります。
三つ目は、その薬剤が韓国で承認されたものかどうかです。 韓国の食品医薬品安全処が公開している一覧で、製剤名から承認の有無を誰でも確認できます。カウンセリングで薬剤の名前が出てきたら、その場でメモしておいてください。

高い安いの判断は、この三点が分かって初めてできます。「安い」と感じた見積もりは、入れているものが少ないのかもしれませんし、量が少ないのかもしれません。 どちらも悪いことではありません。ただ、比べるときには条件をそろえる必要があります。
③範囲——どこまでを「一回」と呼ぶのか
範囲の線引きも、金額を動かします。顔全体と書かれていても、額を含むのか、鼻の周りを含むのか、あごの下まで含むのかは、クリニックによって違います。首やデコルテは、たいてい別の扱いになります。
- 顔全体という表示に、どこまで入っているか
- 気になる部位だけを狙う場合、金額はどう変わるか
- 首やデコルテを追加した場合の金額
この三つを聞いておくと、あとから「そこは別料金です」と言われる場面がなくなります。追加が悪いのではなく、追加があることを知らないまま受けるのが問題です。
④回数のまとめ方と、初回価格の読み方
ダーマペンは、複数回を前提に提案されることの多い施術です。ここで金額の見え方が大きく変わります。
| まとめ方 | 表示のされ方 | 読むときの注意 |
|---|---|---|
| 一回ごと | 一回いくら | 総額は回数をかけ算して考えます |
| 複数回をまとめた形 | 何回分でいくら | 途中でやめた場合の扱いを確認します |
| 初回だけの価格 | 初回いくら | 二回目以降の金額を必ず聞きます |
| 他の施術との組み合わせ | 一式でいくら | 内訳を分けてもらいます |
いちばん誤解が起きやすいのが初回だけの価格です。初めての方向けに用意されている価格で、二回目以降は別の金額になります。渡韓して一回だけ受ける方にとっては分かりやすい形ですが、続けるつもりであれば、二回目以降の金額まで含めて考える必要があります。
複数回をまとめた形の場合は、途中でやめたときにどうなるかを必ず聞いてください。日本にお住まいの方は、次の渡韓がいつになるか分からないことが多いはずです。有効期限があるのか、残りを返金してもらえるのか、別の施術に振り替えられるのか。ここは予約の段階では分からないことが多いので、カウンセリングで確認する項目になります。
⑤アフターケアが含まれているか
施術のあとに、鎮静のための処置をするかどうか、保護のためのものを使うかどうか。これが含まれている表示と、含まれていない表示があります。
表示価格だけを比べると、含む範囲の広いほうが「高い」ように見えてしまいます。 これが、金額の比較でいちばん起きやすい誤解です。
聞いておく項目は次のとおりです。
- 施術後の鎮静は含まれていますか
- 塗り薬や貼るものは含まれていますか、別途購入になりますか
- 数日後の再診が必要な場合、その費用は含まれていますか
- 何かあったときの連絡先と、帰国後の相談の窓口はありますか
最後の項目は金額の話ではありませんが、渡韓して受ける以上、いちばん大事な確認です。帰国後に相談できる窓口があるかどうかで、その施術の実質的な価値が変わります。
実際に受けられた方の声にも、金額と満足度が別々の軸であることが表れています。
「到着すると待つことなく、すぐに案内してくださり、カウンセリングも丁寧で、料金も良心的なのに施術も大満足です!」
一方で、こういう考え方をされている方もいらっしゃいます。
「安さよりクオリティを求めるならここがおすすめです。」
どちらが正しいという話ではありません。ご自身がどちらの軸で選ぶのかを先に決めておくと、見積もりを見たときの判断が早くなります。
⑥税の扱い——法令のうえでは課税対象です
最後は税の話です。韓国では、治療を目的とした医療には付加価値税がかかりませんが、美容を目的とした施術は課税の対象として扱われます。これは韓国の付加価値税法施行令に定めがあり、記事の冒頭に載せた画像がその原文です。皮膚再生術や毛穴縮小術といった項目が並んでいます。
実務で効いてくるのは、表示価格が税込みなのか税別なのかという一点です。韓国のクリニックの表示は、税込みのところと税別のところが混在しています。表示だけを見て比べると、税別表示のほうが安く見えます。
ですので、見積もりを受け取ったら必ずこう聞いてください。
「この金額は付加価値税を含みますか」
この一言だけで、比較の土台がそろいます。税の扱いをもう少し詳しく知りたい方は、韓国の美容医療の費用と肌管理の値段はどう決まるのかにまとめていますので、あわせてご覧ください。
条件をそろえてから比べる——比較表の作り方
六つの要素が分かったところで、実際に比べる手順をお伝えします。やることは一つだけで、条件をそろえてから並べるということです。
複数のクリニックに問い合わせるとき、多くの方は「ダーマペンはいくらですか」と聞いてしまいます。この聞き方だと、返ってくる金額の前提がばらばらになり、結局比べられません。かわりに、条件を指定して聞いてください。
| 指定する条件 | 聞き方の例 |
|---|---|
| 範囲 | 「顔全体で、首は含めない場合」 |
| 薬剤 | 「いっしょに入れるものを提案していただいた場合」 |
| 回数 | 「まず一回だけ受ける場合」 |
| アフター | 「施術後の処置と塗り薬を含めた場合」 |
| 税 | 「付加価値税を含めた総額で」 |
この五つを指定して聞けば、返ってくる金額は比べられる形になります。返信を受け取ったら、次のような表にご自身でまとめてみてください。
| 確認項目 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 一回の総額(税込み) | |||
| 入れる薬剤と、その量 | |||
| 範囲に含まれる部位 | |||
| 施術後の処置の有無 | |||
| 二回目以降の金額 | |||
| 日本語で会計まで確認できるか |
埋めていくと、たいてい途中で気づくことがあります。金額の順番と、内容の充実の順番が一致しないのです。安いところは範囲が狭かったり、薬剤の量が少なかったりします。高いところはアフターまで含んでいたりします。ここまで見えて初めて、ご自身にとっての「妥当な金額」が判断できるようになります。
なお、この表を埋める作業は、渡韓の前にすべて終わらせる必要はありません。二つか三つ問い合わせて、返信の内容の差を見るだけでも、現地のカウンセリングでの受け止め方がまったく変わります。何も知らずに提示された金額を受け取るのと、比べる軸を持ったうえで受け取るのとでは、同じ金額でも判断の質が違ってきます。
見積もりを受け取るときに、そのまま使える聞き方
ここまでの六つを、カウンセリングでそのまま使える形にしておきます。順番に聞いていけば、総額が固まります。
- 「今回の内容は、何をどれくらい入れる想定ですか」
- 「深さや回数によって、金額は変わりますか」
- 「顔全体という表示には、どこまで入っていますか」
- 「この金額は一回分ですか。何回を想定していますか」
- 「初回だけの価格ですか。二回目以降はいくらになりますか」
- 「施術後の処置や塗り薬は、この金額に含まれていますか」
- 「この金額は付加価値税を含みますか」
- 「いまの内容を、文字でいただけますか」
八つ目が、いちばん効きます。口頭で聞いた内容は、あとから確かめられません。 メッセージでも紙でも構いませんので、文字にしてもらってください。日本語で対応してもらえるところであれば、この依頼はごく普通に受け入れられます。
日本語では、どこまで確認できるのか
費用の話は、施術の説明よりも一段むずかしい話題です。数字と条件が絡みますので、日常会話ができる程度の日本語では足りない場面が出てきます。
日本語対応と書かれていても、実際には段階があります。
- 予約の窓口だけ日本語——日程は決められますが、当日の金額の相談は別の体制になります
- カウンセリングに通訳が入る——内訳や回数の相談まで日本語で進められます
- 診察と会計まで日本語——追加が出たときの説明も、その場で日本語で確認できます
ダーマペンは、当日に「何を入れるか」を決める施術です。ですので、いちばん通じてほしいのはカウンセリングの場面と、会計の場面になります。予約の段階で、こう聞いておいてください。
「お会計のときも、日本語で内訳を確認できますか」
この一言への答え方で、その医療機関の日本語対応がどの段階までのものか、かなり分かります。段階の見分け方は日本語対応はどこまでかにまとめています。
日本語で相談できたことについて、実際にこういう声があります。
「丁寧に説明してもらえて施術はすぐにおわったので良かったです!」
「丁寧でわかりやすいカウンセリングで必要な施術をおすすめしてくれました!」
二つ目の「必要な施術を」という部分が大事なところです。すべてを提案されるのではなく、必要なものを絞って提案してもらえたかどうか。ここは金額そのものより、満足度に効いてきます。
よくある質問
Q. 相場を先に知ってから渡韓したいのですが、方法はありますか。
金額そのものを事前に確定させるのは難しいのですが、条件をそろえた見積もりを複数から取ることはできます。この記事の八つの質問をそのまま送れば、比べられる形の回答が返ってきます。同じ条件で聞くことが大事です。
Q. なぜ日本より安く見えるのでしょうか。
理由は一つではありません。為替、施術の件数、メニューの組み立て方など複数の要素が関わります。ただし、安く見える金額に何が含まれているかは必ず確かめてください。含む範囲が違えば、比べているものが違います。
Q. 提示された金額が高いと感じたら、値下げの交渉はできますか。
交渉の可否はクリニックによって違いますので、一般化してお伝えすることはできません。ただ、内容を減らして金額を下げるという相談は成り立ちます。入れる薬剤を変える、範囲を狭める、回数を減らす。どこを削れば下がるのかを聞いてみてください。
Q. 現地で追加を提案されたときは、どうすればよいですか。
その場で決めなくて構いません。「今日はここまでにします」と伝えるのは失礼にあたりません。追加の内容と金額を文字でいただいて、次の渡韓のときに検討する、という進め方もできます。
Q. 支払いはどの方法が有利ですか。
手段によって手数料や為替の扱いが変わりますので、一律にはお答えできません。使える手段と、それぞれの条件は医療機関によって違いますので、予約の段階で確認しておくと、当日に慌てずに済みます。
※ 本記事は料金が決まる仕組みを整理したものであり、特定の金額や医療機関を案内するものではありません。実際の費用は、施術の内容・回数・時期によって変わります。金額の条件については、必ず受診される医療機関にご確認ください。