「韓国で針を使う施術を受けたいのですが、失敗が怖いです」——渡韓を考えている方から、いちばん多くいただく不安のご相談です。細い針で皮膚に微細な通り道を作るもの、薬剤を注入するもの、糸を用いるもの。呼び方はさまざまですが、いずれも針を使うという点で、受ける前の不安が大きくなりやすい施術です。
まず、この記事の立場をはっきりさせておきます。「失敗しません」とも「危険です」とも申し上げません。 どちらも、実際の診察を経ていない立場で言えることではないからです。かわりに、日本語で「失敗した」と語られている内容を実際に分解してみると、性質のまったく違う五つのものが同じ言葉で呼ばれていることが分かります。そして五つのうちいくつかは、受ける前の確認で防げるものです。
ですのでこの記事は、五つに分けて、それぞれがどの段階で防げるのかを整理する記事です。予約の前に防げるもの、当日に防げるもの、帰国後の相談で対応するもの。この三つの段階に振り分けていきます。

「失敗」と呼ばれているものを、五つに分けます
日本語で語られている「失敗」を読んでいくと、次の五つに分けられます。それぞれ、原因も、防ぎ方も違います。
| # | どう語られているか | 実際に起きていること | 主に防げる段階 |
|---|---|---|---|
| ① | 効果がなかった | 回数や期待値の前提がずれていた | 予約前・当日 |
| ② | 内出血や腫れが出た | 起こり得るものと、想定外のものが混在 | 当日・帰国後 |
| ③ | 想像より痛かった | 麻酔の扱いが共有されていなかった | 当日 |
| ④ | 何を入れたか分からない | 薬剤名が記録に残っていない | 当日 |
| ⑤ | 金額が説明と違った | 同意の順番が前後していた | 当日 |
このうち、①と③と④と⑤は、確認の手順を踏むことでかなり防げます。 ②だけは性質が違い、起こり得るものとして受け入れる部分と、想定外として相談する部分に分かれます。順番に見ていきます。
そもそも「針を使う施術」は一種類ではありません
不安を分解するうえで、もう一つ整理しておきたいことがあります。日本語で「韓国式の美容の針」とまとめて語られているものの中身は、実際には性質の違う何種類かに分かれています。どれを受けるのかによって、起こり得ることも、確認すべきことも変わります。
| 針の使われ方 | どういう施術か | 特に確かめること |
|---|---|---|
| ごく細い針を多数、浅く | 皮膚に微細な通り道を作る組み立て | 深さ/いっしょに入れる薬剤 |
| 注射の針で注入する | 薬剤を狙った層に入れる組み立て | 薬剤名と量/注入する部位 |
| 糸を用いる | 皮膚の下に糸を入れる組み立て | 使う糸の種類/持続の目安 |
同じ「針が怖い」でも、心配している中身はこの三つで違います。ご自身がどれを受ける予定なのかを、まず確かめてください。 カウンセリングで「これは針を刺しますか。どういう針ですか」と聞いて構いません。答えが返ってこないことは、まずありません。
そして、この三つはいずれも入れるもの、あるいは残るものがあります。 ですので次の④で触れる「何を入れたのか記録しておく」という作業が、どの種類でも共通して効いてきます。
①効果がなかった——回数の前提がずれている場合
いちばん多いのがこれです。そして、いちばん防ぎやすいのもこれです。
針を使う施術の多くは、一度で完結するものではなく、回数を重ねて変化を積み上げる組み立てで提案されます。ところが、渡韓して一度だけ受ける方は、その一度に大きな期待を寄せがちです。ここで前提がずれます。
防ぐための質問は、たった二つです。
- 「今回の内容は、一度で完結する前提ですか。複数回を重ねる前提ですか」
- 「複数回の前提なら、一度だけ受けた場合はどこまで期待できますか」
二つ目が肝心なところです。「一度だけです」と正直に伝えることで、それに合わせた提案をしてもらえます。隠す必要はまったくありません。伝えたうえで「それなら今回はこうしましょう」と組み立て直してもらえるかどうかが、その医療機関の対応を見るいい機会にもなります。
もう一つ、変化が出るまでの時間についても聞いておいてください。針を使う施術のなかには、直後に実感がある種類と、数週間かけて変化していく種類があります。帰国してすぐに鏡を見て「変わっていない」と感じるのは、時間の前提を聞いていなかったからという場合が少なくありません。
②内出血や腫れ——起こり得るものと、そうでないもの
針を刺す以上、内出血が出ることはあります。ここは「失敗」ではなく、起こり得るものとして事前に共有されているかどうかが問題になります。
実際に受けられた方の記録にも、こういうものがあります。
「インモードを受けましたが、少しアザができたので効果を信じたいです!」
この方は、出たことを受け止めたうえで経過を待っておられます。事前に説明を受けていれば、こういう受け止め方になります。逆に、何も聞かされずに翌朝これが出たら、驚いてしまうのは当然のことです。
ですので、当日に確かめる項目はこうなります。
- 内出血が出る可能性はどのくらいありますか
- 出た場合、どのくらいで落ち着くのが一般的ですか
- 出たときに、してよいこと・避けたほうがよいことは何ですか
- どういう状態になったら、連絡したほうがよいですか
四つ目が、いちばん大事な質問です。「これは経過の範囲」と「これは相談すべき状態」の線引きを、当日のうちに聞いておく。 この線引きを持っているかどうかで、帰国後に一人で不安になる時間がまったく違ってきます。
そして、その連絡先が日本語で通じるかどうかも、あわせて確認しておいてください。
③想像より痛かった——麻酔の扱いを先に聞く
痛みの感じ方には、はっきりと個人差があります。ですので「痛くありません」という説明も、「痛いです」という体験談も、どちらもそのまま自分に当てはめることはできません。
大事なのは、痛みへの対応が用意されているか、そしてそれを自分が使えるかです。
- 麻酔のクリームは使いますか。使う場合、どのくらい置きますか
- 麻酔は料金に含まれていますか、別ですか
- 施術中に痛みが強いと感じたら、伝えて止めてもらえますか
- 痛みが苦手だと先に伝えておくことはできますか
三つ目と四つ目は、遠慮せずに聞いてください。先に伝えておくと、途中で声をかけてもらえたり、進め方を調整してもらえたりします。
不安を抱えて受けられた方の記録に、この様子がよく表れています。
「施術前は正直、少し不安もありました。痛みがあるんじゃないか、ダウンタイムが長引いたらどうしよう…など、色々と考えていたのですが、施術中は温かくて心地よいくらいで、痛みは全くありませんでした。」
「本格的な施術は初めてだったので緊張しましたが、スタッフさんが声かけをしてくださり対応がとても丁寧で安心して施術を受けることができました。」
二つとも、声をかけてもらえたことが安心につながっています。これは技術の話ではなく、体制の話です。予約の段階で「痛みが心配です」と一言添えておくだけで、当日の扱いが変わることがあります。
なお、麻酔のクリームに使われる成分についても、韓国で承認されているものは公式の一覧で確認できます。

痛みそのものについての整理は痛みについてにまとめていますので、あわせてご覧ください。
④何を入れたか分からない——薬剤名を控える
これは、帰国してから困る種類の「失敗」です。何かあったときに、日本の医療機関で相談しようとしても、何を入れたのか説明できないと話が進みません。
防ぐ方法は、とても単純です。当日、施術の前に薬剤の名前を教えてもらい、控えておく。 これだけです。
聞き方も難しくありません。
「今日使うお薬の名前を教えていただけますか。書いたものをいただけると助かります」
この依頼を断られることは、まずありません。名前が分かれば、韓国の食品医薬品安全処が公開している一覧で、承認されたものかどうかを自分で確認できます。記事の冒頭に載せた画像がその一覧の画面で、製品名・企業名・承認番号・承認日まで公開されています。
控えておくとよい項目は次のとおりです。
| 控える項目 | なぜ必要か |
|---|---|
| 施術の名前 | 帰国後に相談するときの出発点になります |
| 使った薬剤の名前 | 同じものを続けるか、避けるかの判断材料 |
| 使った量や本数 | 次回の組み立てに関わります |
| 施術した日付 | 間隔の判断に必要です |
| 次に受けられる時期の目安 | 日本で続きを受ける場合に必要です |
この五つを、スマートフォンのメモに残しておくだけで十分です。記録があるかどうかが、帰国後の選択肢の幅を決めます。 薬剤を使う施術の詳しい話はリジュランにも整理していますので、あわせてご覧ください。
⑤金額が説明と違った——同意の順番
最後は金額です。これも「失敗」として語られることが多いのですが、実際に起きているのは同意の順番が前後しているという現象です。
本来の順番は、こうなります。
- 相談する
- 内容が決まる
- 金額が提示される
- 内容と金額の両方に納得する
- 施術を受ける
行き違いが起きるのは、3と4を飛ばして5に進んでしまった場合です。当日は流れが速く、着替えて横になったあとで追加の提案を受けることもあります。横になってからでは、断りにくくなるのが人情です。
ですので、決めておくことは一つだけです。「金額を文字で見てから決める」 と、自分の中で先に決めておいてください。
- 提示された内容と金額を、紙かメッセージでもらう
- その場で決めきれなければ「今日はここまでにします」と伝える
- 追加の提案が出たら、追加分の金額を単独で聞く
「今日はここまでにします」と伝えるのは、失礼にあたりません。丁寧に説明してくれるところであれば、この一言はごく普通に受け入れられます。
予約前・当日・帰国後の三段階で、確認することが違います
ここまでの五つを、時間の流れに沿って並べ直します。同じ確認でも、するべき時点が違います。
| 段階 | 確認すること |
|---|---|
| 予約の前 | 一度だけか複数回か/痛みが心配だと伝える/日本語がどこまで通じるか/外国人患者の受け入れ登録があるか |
| 当日、着替える前 | 使う薬剤の名前と量/内出血の可能性/麻酔の有無と料金/総額を文字で |
| 施術の直後 | 今日やった内容の記録/今日と明日の注意/連絡先 |
| 帰国後 | 相談したい状態の線引き/次に受けられる時期/日本で続ける場合の情報 |
二段目の「着替える前」が、いちばん抜けやすい段階です。 ここを過ぎると、確認しにくくなります。着替える前に、薬剤の名前と総額の二つだけは押さえておいてください。
外国人患者の受け入れ登録の確認方法は登録の確認方法にまとめてあります。登録の有無だけで良し悪しが決まるわけではありませんが、外国から来る患者を受け入れる体制を届け出ているかどうかは、判断の材料の一つになります。
体験談で「失敗」を読むときに気をつけること
不安なときほど、失敗の体験談を探して読んでしまうものです。読むこと自体は悪くありませんが、読み方があります。
- 何が起きたのかが具体的に書かれているか——「最悪でした」だけの記録からは、何も学べません
- 事前にどんな説明を受けていたか書かれているか——説明の有無が、評価を大きく変えます
- その後どうなったか書かれているか——時間の経過で落ち着いたのかどうか
- その方の前提が書かれているか——回数、目的、これまでの経験
いちばん役に立つのは、説明の有無まで書かれている記録です。同じ現象が起きていても、事前に説明があった場合と、なかった場合とでは、まったく別の話になります。前者は経過であり、後者は行き違いです。
そして、良い記録も同じ基準で読んでください。 「大満足でした」だけの記録も、判断の材料としては多くありません。何を、どういう前提で受けて、どうなったのか。そこまで書かれている記録を探すほうが、不安を減らすには近道です。
日本語では、どこまで確認できるのか
ここまでお伝えした確認は、すべて言葉でするものです。ですので、日本語がどの場面まで通じるかが、そのまま不安の大きさに直結します。
日本語対応と書かれていても、実際には段階があります。
- 予約の窓口だけ日本語——日程の調整はできますが、当日の確認は別の体制になります
- カウンセリングに通訳が入る——薬剤名や回数の相談まで、日本語で進められます
- 診察と会計まで日本語——追加の提案や、施術後の注意まで日本語で確認できます
針を使う施術で確かめたいのは、薬剤の名前、痛みへの対応、内出血が出たときの線引き、そして総額です。どれも当日にその場で確かめるものばかりです。予約の段階で、こう聞いておいてください。
「施術の前に使うお薬の説明と、お会計の確認も日本語でお願いできますか」
段階の見分け方は日本語対応はどこまでかにまとめています。
日本語が通じたことで安心できたという声は、実際にたくさんあります。
「初来店です!対応が素早く日本語が通じるので安心して行えました。」
「安心して」という言葉が繰り返し出てくるのが、日本語で受けられた方の記録の特徴です。不安の多くは、痛みそのものではなく、何が起きているのか分からないことから来ています。 説明が通じる状態を作っておくことが、いちばん確実な備えになります。
よくある質問
Q. 針を使う施術は、韓国のほうが危ないのでしょうか。
国で比べる問いには、お答えできる材料がありません。確かめられるのは、その医療機関が外国人患者の受け入れ登録をしているか、使う薬剤が韓国で承認されているか、説明が言葉の通じる形でなされるか、という個別の点だけです。この記事では、その確かめ方をお伝えしています。
Q. 内出血が出たら、失敗ということですか。
針を使う以上、出ることはあります。大事なのは、事前に可能性を聞いていたかどうかと、出たときにどうすればよいかを聞いていたかどうかです。当日のうちに「どういう状態になったら連絡すべきか」を確かめておいてください。
Q. 帰国後に不安になったら、どこに相談すればよいですか。
まず、受けた医療機関の連絡先に相談してください。そのために、当日のうちに連絡先と、日本語で通じるかどうかを確認しておきます。あわせて、施術名と薬剤名の記録があると、日本の医療機関で相談するときにも話が進みます。
Q. 施術の途中で「やめたい」と言ってもよいのでしょうか。
伝えて構いません。むしろ、伝えられる状態を作っておくことが大切です。施術の前に「痛みが強いときは伝えます」と一言言っておくと、途中で声をかけやすくなります。
Q. 事前にできる準備で、いちばん効果があるものは何ですか。
一つだけ挙げるなら、聞きたいことを紙に書いて持っていくことです。当日は流れが速く、その場で思い出すのは難しいものです。この記事の質問をそのまま書き写して持っていっていただいて構いません。日本語で対応してもらえるところであれば、紙を見せながら進めることもできます。
※ 本記事は確認の手順を整理したものであり、診断や治療の助言ではありません。実際に起こり得る反応やその対処は、施術の内容と個人の状態によって異なります。体調に変化があった場合は、自己判断せず、受診された医療機関または医療の専門家にご相談ください。