「シミもシワも気になるので、韓国でまとめて相談したい」——渡韓を考えている方から、この形のご相談をよくいただきます。滞在できる日数は限られていますし、せっかく行くのだから一度で済ませたい、というお気持ちはとてもよく分かります。
ただ、この二つは並べて語られることが多いわりに、中身がかなり違います。原因が違い、届かせたい層が違い、回数の考え方が違い、施術のあとに表に出るものも違います。韓国の法令のうえでも、実は別の分類に入っています。
この記事では、「どちらを先に相談するか」「同じ日に重ねてよいのか」「予算をどう割るのか」を決めるための材料を整理しました。金額は書きません。金額は施術の種類・範囲・回数・使う薬剤の量で動くもので、条件をそろえないまま数字だけを並べても比べたことにならないからです。
シミとシワは、原因も「届く層」も別のものです
まず、言葉の整理からさせてください。日本語で「シミ」と一口に言っても、そのなかにはいくつもの種類が含まれています。生まれつきに近いもの、紫外線の影響が積み重なったもの、女性ホルモンの影響を受けやすいもの、炎症のあとに残ったもの。見た目が似ていても成り立ちが違うため、同じ機器を当てても反応が変わります。

一方の「シワ」も、ひとつではありません。表情を作るときにできる線、乾燥によって浅く出る線、皮膚そのものがたるんで折りたたまれた線。この三つは、原因になっている場所が違います。
大まかに整理すると、次のようになります。
| 観点 | シミ | シワ |
|---|---|---|
| 主に関係している場所 | 皮膚の色素 | 表情の筋肉・皮膚の弾力・皮膚を支える下の層 |
| 目指す方向 | 濃さを薄くする、境界をぼかす | 折れ目を浅くする、支えを戻す |
| 変化の出方 | 何度か繰り返すなかで、少しずつ | 種類によって、比較的早く出るものと時間がかかるものに分かれる |
| 施術のあと表に出るもの | 色が一時的に濃く見える、薄い皮がつく場合がある | 赤み、腫れ、内出血が出る場合がある |
| 進め方 | 期間を置いて複数回に分けるのが基本 | 対象の層によって、一度で終わるものと継続が前提のものに分かれる |
この表で伝えたいのは、「どちらが優れているか」ではありません。進め方の設計図がそもそも違う、ということです。シミは時間をかけて薄くしていく作業に近く、シワは支えを補ったり、動きを抑えたりする作業に近くなります。同じ渡韓のなかで両方を扱うなら、この違いを前提にして日程を組む必要があります。
シミの施術そのものの中身については、韓国のシミ取りで使われる施術と回数の考え方のほうで詳しく整理していますので、あわせてご覧ください。
韓国の法令では、分類そのものが分かれています
もう少し外側から見ると、この二つの違いは韓国の法令にもあらわれています。
韓国では、美容を目的とした医療は付加価値税の課税対象として扱われます。どの施術が課税対象になるのかは、付加価値税法施行令という法令に具体的な名前で列挙されています。この記事の最初に載せた画像が、その条文の原文です。
黄色く示された部分を読むと、「색소모반·주근깨·흑색점·기미 치료술(色素母斑・そばかす・黒色点・シミの治療術)」「피부재생술(皮膚再生術)」「피부미백술(皮膚美白術)」「항노화치료술(抗老化治療術)」「모공축소술(毛穴縮小術)」といった名前が並んでいます。シミに関する施術は、ここに入っています。
一方、同じ条文のひとつ前の項目には、別の並びがあります。

こちらには「쌍꺼풀수술(二重まぶたの手術)」「지방흡인술(脂肪吸引術)」「주름살제거술(しわ取り術)」「안면윤곽술(輪郭の手術)」といった、手術にあたるものが並んでいます。「しわ取り術」は、シミの治療術とは別の項目に置かれています。
ここで注意していただきたいのは、この分類が「シワの相談はすべて手術になる」という意味ではない、という点です。この条文は税の扱いを決めるためのもので、施術の医学的な分類表ではありません。ただ、韓国の制度のうえでもシミとシワが同じ箱に入っていない、という事実は、二つを一緒に考えないほうがよい理由のひとつにはなります。
なお、この二つの項目に並んでいる施術は、いずれも課税対象として扱われるものです。表示されている価格が税込みなのか税別なのかは、見積もりの段階で必ず確認してください。
どちらを先に相談するか、優先順位の決め方
「両方やりたい」と伝えると、カウンセリングでは両方を含んだ提案が返ってくることが多くなります。そのときに判断の軸を持っていないと、提示された順番をそのまま受け入れることになります。
優先順位を決めるときの考え方を、三つご紹介します。
一つめは、「写真で他人に指摘されるのはどちらか」で決める方法です。 自分の顔を鏡で見ていると、気になる箇所は無限に増えていきます。そこで基準を外に置きます。人に撮ってもらった写真を数枚並べて、いちばん目に入るものを選びます。色なのか、線なのか。ここで選んだほうを主役にします。
二つめは、「今回の渡韓で完結するかどうか」で決める方法です。 シミは期間を置いて複数回に分ける前提のものが多く、一度の滞在で終わりにくい性質があります。次の渡韓の予定が立たない方は、今回で区切りがつきやすいほうを先に置く、という決め方もできます。
三つめは、「帰国後の予定」から逆算する方法です。 人前に出る予定が近くにある場合、表に出やすいものは避けるという判断になります。この判断は、施術の良し悪しとは関係なく、生活の都合で決まります。
どの軸を使う場合でも、決めたことをカウンセリングの最初に伝えてください。「今回はこちらを主役にしたいと思っています」と先に言うだけで、提案の中身が変わります。
実際に韓国のクリニックを利用した方の声にも、この点は出ています。
「2回目の利用ですが前回同様カウンセリングの方がとても丁寧で好印象です。待ち時間もほぼなくとてもスムーズに案内して頂けました。自分に必要か不必要な施術か最適なものをきちんと答えて下さります。他メニューの強要などもありません。」
自分の側に軸があるほど、こういう答え方を引き出しやすくなります。
同じ日に重ねるとき、気をつけること

「せっかくだから同じ日にまとめて」という形は、韓国では珍しくありません。ただ、重ねるときには順番と組み合わせの問題が出てきます。
同じ日に複数を受ける場合、確認しておきたいのは次の点です。
| 確認すること | なぜ確認するのか |
|---|---|
| 同じ日に受けても差し支えのない組み合わせか | 肌に負担が重なる組み合わせは、別の日に分ける判断になることがあります |
| 受ける順番はどうなるか | 順番によって、当日の腫れ方や仕上がりの見え方が変わる場合があります |
| 麻酔はどの施術に必要か | 麻酔を使う施術があると、塗ってから効くまでの待ち時間が入り、所要時間が伸びます |
| 全部でどのくらい時間がかかるか | 当日の後ろに予定を入れている場合、ここが読めないと組めません |
| 追加料金が発生する条件はあるか | その場で範囲や回数が増えると、金額も動きます |
とくに最後の一点は、当日いちばん揺れやすいところです。実際に、こういう体験談があります。
「アクアピールLDM アクアピールで予約し診察した結果LDMも一緒にと勧められてうけたので料金が予定よりも高くなりましたが皆さんとても親切で施術も気持ちよく満足です。」
この方は結果に満足されていますが、予約したときの金額と、実際に支払った金額が違っているという事実は残ります。悪い対応をされたわけではなく、診察の結果として提案が増えた、という話です。だからこそ、増える可能性があること自体を先に知っておくと、その場で落ち着いて判断できます。
対処はむずかしくありません。カウンセリングの段階で「今日の総額はいくらになりますか」と一度確認し、途中で提案が増えたときには「それを足すと総額はいくらになりますか」ともう一度聞く。この二回で、ほとんどのずれは防げます。
回数と期間の前提が、二つでは違います
比較でいちばん事故が起きるのが、ここです。
シミの施術は、期間を置いて複数回繰り返す前提で組まれていることが多くあります。案内されている料金が「1回あたり」なのか「複数回のセット」なのかで、見た目の数字は大きく変わります。
シワに対する施術も、種類によって前提が違います。一定の期間で効果が薄れていくことを前提に繰り返すものもあれば、そうでないものもあります。
つまり、シミとシワを並べて「どちらが高い・安い」と言うこと自体が、条件をそろえない限り成り立ちません。比べたいのであれば、次の形にそろえてから比べてください。
- 何回を前提にした金額なのか
- その回数を、どのくらいの期間で行う前提なのか
- 一回あたりに含まれる範囲(顔全体なのか、部分なのか)はどこまでか
- 表示は税込みか税別か
この四つをそろえないまま並べた数字は、比較ではなく、ただの並記になってしまいます。価格の比べ方そのものについては、価格を比べる前にそろえておく条件のほうで手順として整理しています。
費用は「何で動くか」を先に理解しておきます
金額そのものは書けませんが、何によって動くのかは構造として説明できます。
| 動かす要素 | 中身 |
|---|---|
| 施術の種類 | 使う機器・製剤が違えば、そもそも別の価格表になります |
| 範囲 | 顔全体か、部分か。部分の場合はどこまでか |
| 回数 | 1回なのか、複数回のセットか |
| 量・数 | 照射の回数(ショット数)、注入する量など、数えられるもの |
| 初回かどうか | 初回に限った案内がある場合、二回目以降と条件が変わります |
| 税の扱い | 表示が税込みか税別か |
このうち「量・数」は、当日その場で決まることがあります。次のような体験談があります。
「今回シュリンクユニバースとチューンライナーをしたのですが、ショット数の画面を見せてくれながら施術してくださったり、痛くないかの確認も実施してくださったため安心して施術が受けられました。」
数えられるものを画面で見せてもらえると、あとから「本当にその数だったのか」と考え込まずに済みます。予約の段階で「ショット数は当日確認できますか」と聞いておくのは、遠慮のいらない質問です。
年代によって優先順位そのものが変わってくる、という視点もあります。そちらは年代で変わる肌の優先順位と予算の割り方のほうで整理しています。
帰国日から逆算して、日程を決めます
渡韓の日程を組むときは、施術の日ではなく帰国日から逆算してください。
考え方はこうです。まず、帰国後に人と会う予定、仕事の予定、写真を撮る予定を書き出します。次に、その予定に間に合わせたいのかどうかを決めます。間に合わせたいのであれば、表に出やすい施術は今回は見送る、という選択肢が出てきます。
そして、施術の日を渡韓の初日に寄せておくと、万一気になることがあったときに現地で相談できる時間が残ります。最終日の夜に受けて、翌朝の便で帰る形は、相談する余地がなくなります。
もうひとつ。帰国後のケアで何が必要になるのかを、現地にいるうちに聞いておいてください。日焼け止めの使い方、洗顔の仕方、避けたほうがよいこと。シミの施術は、帰国してからの過ごし方が結果に関わるという説明を受けることが多い領域です。聞き逃したまま帰ると、日本から問い合わせることになります。
たるみが関係してくる線の場合は、扱いがまた変わります。そちらはたるみに対する施術の使い分けのほうにまとめています。
カウンセリングで、そのまま使える聞き方

日本語で伝える場合も、通訳を介する場合も、短い文のほうが正確に伝わります。そのまま使える形で並べておきます。
- 「今日はシミとシワの両方を相談したいのですが、優先するならどちらだと思いますか」
- 「私のシミは、どの種類にあたりますか」
- 「この施術は、何回を前提にした案内ですか」
- 「同じ日に両方受けても差し支えありませんか。分けたほうがよい場合は理由も教えてください」
- 「今日の総額はいくらになりますか。税込みですか」
- 「施術のあと、表に出るものは何がありますか。どのくらい続きますか」
- 「帰国後に気をつけることを、書いたものでいただけますか」
最後の「書いたものでいただけますか」は、意外と効きます。口頭の説明は、帰国したあとに記憶があいまいになります。紙でも画面でも、残る形にしておくと安心です。
説明の丁寧さは、実際に受けた方の言葉にも出ています。
「先生が施術について一つ一つ丁寧に説明してくれたので安心できました」
日本語では、どこまで確認できるのか
シミとシワを同時に相談する場面は、日本語対応の力がいちばん問われるところです。理由は単純で、話す内容が多いからです。
一つの施術だけなら、短いやり取りで済みます。ところが二つを並べると、優先順位、順番、回数、期間、総額、帰国後の過ごし方と、確認すべき項目が一気に増えます。ここで言葉が細切れになると、決めたつもりのことが決まっていない状態のまま当日を迎えます。
日本語対応には、実際には段階があります。
- 常勤の通訳や日本人スタッフがいる——カウンセリングから施術中、会計まで通してやり取りできます
- 予約や問い合わせだけ日本語——当日の細かい確認は、別の手段になります
- 翻訳アプリで対応——単語は伝わりますが、条件を詰める場面では行き違いが起きやすくなります
どの段階なのかは、予約の前に一言聞けば分かります。「カウンセリングと会計のときも、日本語で確認できますか」。この聞き方だと、答えがはっきり分かれます。
実際の声を並べておきます。
「丁寧にカウンセリングしてもらい、日本語しか話せない私にはとても良かったです。」
条件を詰める場面で日本語が通じるかどうかは、満足度に直結します。とくにシミとシワのように複数の相談を同時に持ち込む場合は、ここを確認しないまま予約すると、当日に決めきれないまま終わってしまうことがあります。
よくある質問
Q. シミとシワ、どちらを先にするのがよいですか。
一般論として決まった正解はありません。写真で他人の目に入りやすいほう、今回の渡韓で区切りがつきやすいほう、帰国後の予定に差し支えないほう。この三つの軸のどれを使うかを自分で決めてから、カウンセリングで相談するのが現実的です。
Q. 同じ日に両方受けられますか。
組み合わせによります。同じ日に受けても差し支えないものと、別の日に分けたほうがよいとされるものがあります。判断は肌の状態と施術の内容によりますので、カウンセリングで「同じ日に受けて差し支えありませんか」と直接確認してください。分けたほうがよいと言われた場合は、その理由も聞いておくと納得して進められます。
Q. シミとシワの費用は、どちらが高くなりますか。
条件をそろえないまま比べることはできません。回数の前提、範囲、量、税の扱いがそろって初めて比較になります。見積もりを受け取るときは、この四つを明記してもらってください。
Q. 韓国の法令で、シミとシワは違う扱いなのですか。
付加価値税法施行令では、シミの治療術と「しわ取り術」は別の項目に列挙されています。ただしこれは税の扱いを定めるための分類で、医学的な区分表ではありません。実際にどの施術になるかは、診察を受けたうえでの判断になります。
Q. 帰国したあとに気になることが出たら、どうすればよいですか。
渡韓の前に、帰国後の相談先と連絡手段を確認しておいてください。日本語で連絡できる窓口があるか、写真を送って相談できるか、返信までどのくらいかかるか。この三つを聞いておくと、実際に何かあったときに動けます。
※ 本記事は、韓国の法令原文および現地で確認できる情報にもとづく一般的な整理であり、診断や治療の助言ではありません。施術の適否、回数、費用は個人の状態によって異なります。実際の判断は、医療機関での診察のうえでご確認ください。