「韓国の薬局に行けば、日本にはないニキビ跡のクリームが買えるのではないか」——渡韓を控えた方から、実際によく聞かれる話です。韓国の薬局やドラッグストアの棚を見ると、日本語では見かけない商品がたくさん並んでいますし、期待されるのは自然なことだと思います。
ただ、ここには先に整理しておいたほうがよい前提があります。日本語では「クリーム」とひとことで呼んでいるものが、韓国の制度のうえでは複数の区分に分かれています。 化粧品として売られているもの、医薬外品として承認されているもの、医薬品として承認されているもの。この三つは、買える場所も、書いてよいことも、確認できる情報の量も違います。
そしてもうひとつ。ニキビ跡と呼ばれているものの中には、そもそも塗るものの範囲では動かしにくい状態が含まれています。ここを分けずに「良いクリームを探す」と考えると、いくら棚を見ても答えが出ません。この記事では、韓国の公式サイトと法令の原文を実際に開きながら、その線引きを整理します。

まず、「ニキビ跡」と呼んでいるものを分けます
ニキビ跡という言葉は、肌の上で起きていることが違うものを、まとめて指しています。大まかには、赤みが残っている状態、色が濃く残っている状態、表面に凹凸が残っている状態に分かれます。
このうち、塗るもので向き合いやすいのは、どちらかというと前の二つです。 表面の形が変わってしまっているものは、塗るものだけで元に戻す前提では考えにくく、クリニックで受ける処置の話になります。
ご自身の跡がどれにあたるのかを見分ける方法は、韓国の肌管理でニキビ跡はどこまで変わるのかに、タイプ別に詳しくまとめています。買い物の話に入る前に、まずご自身の状態がどこにあるのかを確かめておくと、無駄な出費を減らせます。
なお、いま炎症が起きている段階のニキビについては、跡の話とは別の対応になります。その段階の考え方は韓国のニキビ治療のほうが近い内容です。
分け方の目安として、鏡の前でご自身の肌を斜めから見てみてください。光の当たり方を変えたときに、色は見えるのに影ができないのであれば、表面の形は保たれていると考えられます。反対に、影ができる場所があれば、そこは形が変わっている可能性があります。これは診断ではありませんが、買い物に行く前の見当をつけるには十分に役立ちます。
もう一つ、時期の感覚も持っておいてください。できてから間もないものと、何年も残っているものとでは、向き合い方が変わります。「いつごろのものか」を思い出しておくだけで、現地での相談の質が変わります。
薬局に並んでいるものは、韓国では区分が分かれています
冒頭に載せた画面は、韓国の食品医薬品安全処(식품의약품안전처、略して食薬処)が運営している医薬品情報の検索画面です。左側に「품목구분」(品目区分)というボタンの並びがあり、そこには次のような区分が並んでいます。
| 韓国語の表示 | 日本語での意味 |
|---|---|
| 의약품 | 医薬品 |
| 의약외품 | 医薬外品 |
| 생물의약품 | 生物医薬品 |
| 마약류 | 麻薬類 |
| 한약(생약)제등 | 韓方(生薬)製剤など |
注目していただきたいのは、この並びに「화장품」(化粧品)が入っていないことです。化粧品はこの検索の対象ではなく、別の枠組みで扱われています。つまり、薬局の棚に並んでいるものであっても、化粧品として売られているものは、この画面では照会できません。
これは実用上、とても大きな違いです。医薬品や医薬外品として承認されているものであれば、承認の記録を公開の画面で確認できます。化粧品として売られているものについては、同じやり方では確認できません。棚の見た目はどちらも似ていますので、外からは区別がつきにくいのが実際です。
承認されているかどうかは、自分で照会できます

医薬品や医薬外品として承認されているものであれば、照会の手順は簡単です。製品名を韓国語で入力して検索すると、製品名・企業名・許可番号・許可日が一覧で表示されます。画面には全体で95,313件と表示されていました。
画面の下のほうには「취소/취하」という絞り込みもあり、「정상」(正常)「취하」(取り下げ)「유효기간만료」(有効期間満了)といった状態で絞ることができます。つまり、いまも有効な承認なのか、すでに取り下げられたものなのかまで見分けられるということです。
会員登録は要らず、費用もかかりません。韓国語の画面ですが、入力するのは製品名だけですので、翻訳機能を使えば十分に扱えます。買おうとしているものの名前を控えておけば、その場でも、帰国してからでも確認できます。
ただし、ここで確認できるのは「承認された記録があること」までです。その製品がご自身の肌の状態に合うかどうか、いま使っているものと一緒に使ってよいかどうかは、この画面からは分かりません。 そこは薬剤師か医師にご相談ください。
韓国では、ニキビの処置がどう分類されているか
塗るもので届かない範囲に入ったとき、韓国ではどう扱われるのか。ここも法令の原文で確認できます。

黄色く示された部分に並んでいるのは、次のような処置の名前です。色素性母斑・そばかす・黒色点・肝斑の治療術、ニキビ治療術、脱毛術、薄毛治療術、毛髪移植術、刺青術および刺青除去術、ピアッシング、脂肪溶解術、皮膚再生術、皮膚美白術、抗老化治療術および毛穴縮小術。
ここに名前が並んでいるということは、韓国の制度のうえで、これらが美容を目的とした処置として整理されているということです。治療を目的とした医療とは扱いが分かれ、費用の考え方も変わります。
薬局で買うものとクリニックで受けるものの間には、この線が引かれています。「クリームで済ませたい」と思っていた方が、現地でクリニックの話になったときは、この線をまたいだのだと理解しておくと、判断がぶれません。
「いろいろな皮膚科に行きましたが、ここが一番大好きな皮膚科です。」
塗るもので届く範囲と、届かない範囲
線引きの実感がつかみにくい方のために、別の例で書きます。ほくろやイボのように「盛り上がっているもの」は、塗って消す前提では考えません。処置として取ることになり、そこには痛みも伴います。
「液体窒素でイボをとった経験がある方なら分かると思いますが、あの痛みです。」
実際に受けた方が書かれているとおりです。表面の形が変わっているものは、形に対する処置になる——この感覚は、ニキビ跡を考えるうえでもそのまま当てはまります。
一方で、赤みや色が残っている段階であれば、日々のケアの積み重ねが意味を持つ場面があります。ここは焦らないほうがよいところで、渡韓中の数日で結論が出るものではありません。「韓国で買ったから早く変わる」ということはありません。
ですので、現実的な進め方はこうなります。まず、ご自身の跡がどの状態にあるのかを確かめる。塗るもので向き合える範囲であれば、続けられるものを選ぶ。範囲を越えているなら、買い物ではなく相談の予定を組む。この順番です。
買う前に、その場で確認できること
棚の前で確認できることを、表に整理します。
| 確認すること | どう確認するか |
|---|---|
| 区分(医薬品・医薬外品・化粧品) | 箱の表示を見る、店員に聞く、公式サイトで照会する |
| 使い方と使用量 | 表示を写真に撮っておく |
| 使ってはいけない場合 | 表示に注意書きがあるかを見る |
| 内容量 | 同じ名前でも容量が違うと金額が変わります |
| 何個買うか | 合わないときのことを考えて、まず一つにする |
まとめ買いは、いったん保留にすることをおすすめします。 「安いから」と複数買って、肌に合わずに全部残る、というのはよくある話です。合うかどうかは数日では分かりませんので、最初は一つにして、次の渡韓のときに買い足すほうが結果的に安く済みます。
表示は必ず写真に撮っておいてください。 帰国してから成分や使い方を調べ直そうとしたときに、パッケージを捨ててしまっていると手がかりがなくなります。人に渡すつもりで買う場合の考え方は、美容のお土産の選び方にまとめています。
貼るタイプのものとは、役割が違います。 炎症が起きている段階のものに貼るタイプの製品については、韓国のニキビパッチの効果はどこまでかに、どの段階で助けになるのかを整理しています。
値段の見え方が違って感じられる理由
同じような商品なのに、店によって金額が違って見えることがあります。これは不思議なことではなく、いくつかの条件が重なって起きています。
| 違って見える理由 | 確認の仕方 |
|---|---|
| 内容量が違う | 箱の表示にある容量を見比べます |
| セット販売になっている | 何個入りかを確認します |
| 免税の扱いが違う | 表示が税込みか税別かを聞きます |
| 販売している場所の性格が違う | 空港・免税店・街の薬局では前提が違います |
| 期間限定の価格になっている | いつまでの価格かを聞きます |

比べるときは、容量あたりで比べてください。 「あちらのほうが安かった」と思っても、容量が違えば比較になっていません。棚の前で電卓を使うのは、現地でも普通の光景です。
そしてもうひとつ。買い物の場では、その場で決めなくてよいということも覚えておいてください。滞在中であれば、翌日にもう一度見に行くこともできます。渡韓の初日に大量に買ってしまうと、あとで同じものをもっと良い条件で見つけたときに困ります。
帰国してから続けるかどうかを、先に決めておきます
ニキビ跡に向き合う話は、数日で終わるものではありません。ですので、買うかどうかを決める前に、それを帰国後も続けるつもりがあるのかを先に考えておくことをおすすめします。
続けるつもりがある場合、確認しておきたいのは入手の経路です。日本でも手に入るものなのか、次の渡韓まで買えないものなのか。後者であれば、いま買う量と、次に来る時期をあわせて考えることになります。韓国でしか手に入らないものを渡韓中だけ使っても、途中で切れてしまいます。
続けるつもりがない場合、つまり「試してみたい」という段階であれば、一つだけ買って様子を見るのが合理的です。合わなかったときの損も小さく済みますし、合ったときには次の渡韓で買い足せます。
そしてもう一つ。施術を受けた日に、買ったものをそのまま使わないでください。 施術後の肌は普段と状態が違います。何をいつから使ってよいかは、施術を受けたクリニックで確認するのが確実です。せっかく受けた施術の経過に影響が出ては、本末転倒になってしまいます。
帰国後にご自身のケアをどう組み立てるかについては、渡韓中に買ったものだけで考えず、いま日本で使っているものとの兼ね合いで決めるほうが現実的です。全部を入れ替えると、何が合って何が合わなかったのかが分からなくなります。
日本語では、どこまで確認できるのか

日本の方にとって、いちばん気になるのがここだと思いますので、正直に書きます。
薬局とクリニックでは、日本語の通じ方がまったく違います。 明洞のように外国からの来訪が多い地域の薬局には、日本語のできる方がいることもありますが、常にいるとはかぎりません。成分や使い方の細かい話になると、翻訳アプリだけでは行き違いが起きやすくなります。
一方で、外国人患者の受け入れを前提にしているクリニックには、日本語の話せるスタッフや通訳が在席していることが多く、状態の説明から費用の確認まで日本語で進められる場合があります。
「受付から案内まで日本語で安心しました」
「スタッフの皆さんも感じ良く、安心して受けられました。」
対応には段階があります。
- 常勤の日本人スタッフや通訳がいる——肌の状態の説明も、費用の内訳も日本語で確認できます
- 日本語の窓口が予約対応のみ——当日の説明や会計では通じないことがあります
- 翻訳アプリでの対応——雰囲気は伝わりますが、条件を詰める場面では取りこぼしが出ます
ニキビ跡の相談は、言葉の精度が結果に直結する部類です。「いつからか」「何をしてきたか」「いま何を塗っているか」を伝えられるかどうかで、提案の中身が変わります。日本語のメモを用意していけば、通訳を挟んでも話が早く進みます。 予約の段階で「肌の状態の相談も日本語でできますか」と一言聞いておくことをおすすめします。
よくある質問
Q. 韓国の薬局のクリームは、日本のものより効きますか。
この記事で比較を申し上げることはできません。国によって、同じ成分でもどの区分で扱われるかが違うことはあります。ただ「韓国のものだから効く」という言い方は成り立ちません。区分を確認したうえで、ご自身の状態に合うかどうかを薬剤師か医師にご相談ください。
Q. 処方箋がなくても買えますか。
品目によります。医薬品のなかには処方が必要なものがあり、その場合は薬局の棚から自分で選んで買うことはできません。買えるかどうかは店頭で確認することになります。区分の見分け方は、この記事の前半でご紹介した公式サイトの照会が手がかりになります。
Q. 日本に持ち帰れますか。
持ち込みの条件は品目の区分や数量によって変わり、この記事で一律には申し上げられません。渡航の時点での最新の公式案内でご確認ください。 人に渡す目的で多めに買う場合は、とくに注意が必要です。
Q. 凹凸が残っている跡は、クリームでは変わらないということですか。
表面の形が変わっている状態については、塗るものだけで元に戻す前提では考えにくい、というのがこの記事の立場です。ただし、状態の見極めは写真だけでは難しく、診察の場で確かめることになります。タイプごとの考え方は、この記事の前半でご案内した記事にまとめています。
Q. 渡韓中にクリニックで相談するなら、いつ行けばよいですか。
処置を伴う可能性を考えるなら、帰国日の直前は避けたほうが安全です。 状態によっては当日の見え方が普段と変わりますし、翌日以降に確認したいことが出ることもあります。相談だけであれば日程の制約は小さいので、初日に相談して、受けるかどうかを滞在中に決める組み方もできます。
※ 本記事は、韓国の公的機関が公開している情報と法令の原文を実際に確認して整理したものであり、特定の製品や医療機関を推薦するものではありません。また、診断・治療・使用に関する助言ではありません。ご自身の肌の状態や使用の可否については、必ず医師または薬剤師にご相談ください。制度や運用は変更される場合があります。